中小企業の健康経営支援から見える パソナの本気

Case study 株式会社パソナ

「社会の問題点を解決する」を企業理念に掲げ、「人を活かす」こと、人々の心豊かな生活の創造を支援する「ライフプロデュース」を使命に事業展開し、今年で40周年を迎えたパソナグループ。

同グループは、創業以来、女性の社会進出を支援するテンポラリーワークシステムをはじめ、女子大生の就職支援や中高年・シニアの雇用創造等、その人の才能を活かした多様な働き方を支援してきた。また、企業内保育所、介護サービス、在宅勤務制度など、誰もが安心して働くことができる社会インフラを構築してきた功績も大きい。そして、今後は、これから日本社会が迎える高齢化問題に対し、働き続けたいと願う全ての方が「いきいき働きけること」をキーワードに、従業員個人の健康を守る仕組みや、企業の健康経営に対する様々なソリューションを提案し続けるという。

さらに、現在、健康経営を世の中に浸透させるための課題の1つに、中小企業での普及促進が挙げられるが、パソナでは企業の状況に応じたヘルスケアソリューションによって中小企業の健康経営を支援するサービスも展開している。ここでは、その取り組みについて、株式会社パソナ 取締役専務執行役員 石田正則氏に説明していただいた。

健康経営に二の足を踏みがちな中小企業

株式会社パソナ
取締役専務執行役員
石田正則氏

労働安全衛生法にも定めがあるとおり、社員の健康と安全を守ることは、規模の大小を問わず企業経営の大前提です。しかし、従業員50人以上に義務づけられている産業医の選任がコスト面で難しいという声を聞くことも多く、社会的な課題であると考えています。

また、「健康経営」というトレンドも中小企業の間では広く普及しているとは言いがたい状況です。健康経営という言葉を耳にしても「お金をかけて何か新しいサービスや設備を導入したり、投資したりしなければいけないのだろうか」「そもそも何をやっていいのかわからない」と、コスト面や実施方法での不安を抱える中小企業経営者も少なくありません。

2015年3月に発表された健康経営銘柄の選定は上場企業に限られており、健康経営に向けた投資やサービス導入でどのような成果が出るかがわからない点も、中小企業が本腰を入れて健康経営に取り組むことに二の足を踏んでしまう理由のひとつです。

中小企業こそ健康経営に取り組むべき

しかしながら健康経営は、大企業以上に中小企業こそ取り組むべきテーマと言えます。中小企業では社員やその家族が病気や休業状態になってしまうと、大企業よりも大きなインパクトが生じます。限られた人数で業務を行う中小企業においては、社員が一人欠けるだけでも業務に大きな支障をきたしますし、社内外からの代替人員も補充しにくいためです。

パソナも多くの中小企業のお客様とお取引をさせていただいておりますが、急遽の欠員などの理由で「早急に人材を派遣してほしい」というご依頼を頂戴するケースは非常に多いです。

また、社員の平均年齢が上がっていく一方で、新卒採用などを通じて若手人材を採用するためのノウハウやブランド力が不足している企業も少なくありません。そうした企業では、従業員の高齢化が進むことにより社員の健康リスクは年々高まっていきますし、大企業の新卒採用が増える中では、中小企業に入社する若手人材は限られているため、状況を放置すれば深刻なマンパワー不足に繋がります。

人員が不足する中での経営は、労災が発生したり、病気や職場環境を背景とした訴訟が起きる可能性もあり、企業イメージの悪化によりさらに採用力が低下するという悪循環にも陥りかねません。

このように、中小企業にとって社員の健康は大きな経営課題のひとつなのです。

アウトソーシングで効果的に取り組む

しかしながら、多くの中小企業では、従業員の数が限られているため専任担当者を配置できていなかったり、ストレスチェックの義務化にあたって前提となる産業医の選任ができていないケースなども見受けられます。

こうした企業にとって、ピンポイントで自社の弱みを補うことのできる「ヘルスケアアウトソーシング」を活用することは非常に効果的です。

昨今お問い合わせが増えているのは、健康管理室業務の一括アウトソーシングのサービスです。ストレスチェック義務化を機に会社全体の健康管理体制を見直していこうと考えている企業も増えています。アウトソーシングを通じて、これまでアナログだった仕組みをIT化していくことや、健診の結果を経年で追っていくことなど、従来自社のみでは実施できていなかった取り組みに、今後注力していこうという企業は多いです。

また健康管理室業務の一部である、ストレスチェック業務のみをアウトソースするケースもあります。

これまで産業医を選任はしているものの、今後、ストレスチェック等により産業医の業務負担が増えることで、現状では従業員の健康管理が不十分ではないかと懸念されている中小企業も多いのではないでしょうか。

医師にとっても、ストレスチェック業務に時間を割くことは大きな負担となります。そうした中で、アウトソーシングを活用することで、産業医に依頼する業務自体を大きく圧縮することが可能です。

さらに、企業の健康管理を支えるベースとなる仕組みして、EAPサービスの導入も有効です。パソナでは協力会社である株式会社セーフティネットと連携し、24時間、社員だけではなくご家族も利用可能な相談サービスを提供しており、中小企業から大企業まで幅広く導入いただいています。

自社の状況に応じた取り組みを

中小企業ではコストや人手の観点から大企業と同じ取り組みはできませんし、大企業の好事例をそのまま真似してもうまくはいきません。自社の状況に応じてどのような施策が有効かを考え、限られたリソースを活用して社員を巻き込んでいく必要があります。

そのためにも、経営者自らが健康のことはもちろん、仕事や生き方なども含めた健全な生活のあり方などについて、社内外にメッセージを発信することも重要となるでしょう。

また、日々の生活での歩数や禁煙などの健康に向けた取り組みを、全社であるいは部門別に競い合うなど、遊び心を取り入れながら実践することも、社員の健康意識の醸成のためには効果的です。

このように、社内リソースの有効活用はもとより、外部へのアウトソーシングなど、自社の状況に合わせて施策をいろいろと検討してはいかがでしょうか。

さらに今後、中小企業の海外進出が今以上に増えていくことが予想されます。現地で就業する駐在員の健康管理や、帰国後のフォローなどに力を入れていくことも重要なテーマのひとつにあげられます。

社員が海外で大きな挑戦をできる環境を作るためにも、業務面だけではなく健康面でもサポートを行う、パソナグループの海外ネットワークを生かしたソリューションを活用いただけたら幸いです。
(2016年1月発行「HR VISION Vol.14」パソナグループ発行より)

パソナが中小企業の健康経営推進を後押し 地方銀行と協力して「健康経営セミナー」開催!

パソナグループでは、健康経営推進に向けた取り組みの一環として、中小企業を対象にした健康経営の推進も支援している。平成28年2月19日(金)には、地方金融機関である横浜銀行との共催で『健康経営セミナー~健康な従業員こそ収益の高い会社を作る!健康経営とストレスチェック対策について~』を開催。経済産業省 商務情報政策局 ヘルスケア産業課の担当者や神奈川県のヘルスケア・ニューフロンティア推進局の担当者等を講師に招き、企業の健康経営を取り巻く最新動向と合わせて、パソナグループの各種健康経支援サービスを紹介。セミナーには定員一杯となる約200名の企業担当者らが参加し、健康経営に対する関心の高さを窺わせる様相となった。

セミナー内の講演で、パソナメディカル東京営業部 部長の中野健二氏は「従業員の健康を促進していくためには、個人の健康管理、仕事と家庭との両立、いきいき働くための働き方改善の3つの観点からのサポートが必要」との認識を示した上で、パソナグループの健康経営支援についてこう述べた。

「パソナグループでは、健康管理室のアウトソーシングや健康診断の事務代行など従業員の健康そのものに対するサポートを行っています。加えて、福利厚生の充実や仕事と介護の両立支援など、従業員個人の家庭への支援やワークライフバランスの実現に向けた支援も可能です。さらに、会社全体の社員就業環境整備に向けた専門人材の活用や働き方改革等、企業経営の視点でも健康支援をワンストップで提供しています」

そして、今後の展望について「企業、職種、業界によって抱える健康経営への課題は様々であるため、個々の会社に合う健康支援に向けた施策を共に考えていきたい」と語った。

健康経営に取り組むことが
ステータスとなるような風土にしたい

「健康管理」(Health Management)から「健康経営」(Healthy Company)へ本フォーラムの目的は、これまで企業の人事・健保セクションで進められてきた従業員等の健康管理の在り方を経営という視点で捉え直し、健康経営の実践を通じて企業の新たな価値創造を促すという「攻めの経営」(「健康管理」(Health Management)から「健康経営」(Healthy Company)へ」に係る潮流を生み出していくことにあります。

そのため、本フォーラムでは本活動にご賛同頂く企業・団体様と協力し、下記に示す4つの活動フィールドにフォーカスを当て、企業価値向上に向けた各種取り組み情報を集約・共有化し、次代に求められる健康経営のプロトタイプを構築していきたいと考えます。

具体的には、企業にとっての「社会的価値」(Social Value)、「事業的価値」(Market Value)という2つの価値領域に、「Management」(管理)と「Action」(行動)という2つの実践的要素を組み合わせ、4つのフィールドにおける健康経営の価値と意義を可視化し、健康経営の重要性をより多くの経営者層に訴求していきます。