“見える化”でムダが見えてくる  新時代の業務改善「HIT.s法」

特別対談 現代日本が抱えるマネジメントの課題-可視化の必然性- supported by 課長塾

HIT.s法とインバスケット思考の共通点とは

鳥原 ムダな時間を削減して、勉強など利益につながることに使う考え方は、インバスケット思考でも同じです。以前、加工食品の売り場の業務にかかるスピードを計測して改善に取り組んだことがあるんです。1人当たり1時間ほど業務時間を短縮できたのですが、その分パートさんの労働時間をむやみに減らすのではなく、より利益が出ている商品の販売やライバル店の調査、食品工場の見学などに充てました。そうすることで、利益が生まれるサイクルができてくるんです。

──お二人のお話を伺っていると、インバスケット思考とHIT.s法には共通する部分も多いように感じます。

鳥原 インバスケット思考にも実際の作業を細分化して自分が置かれている環境を把握したり、時間を意識したりするトレーニングがあります。目指しているところは同じで、融和性も高いと思います。

石橋 インバスケット思考にHIT.s法を加えると、より効率化するのではないかと感じました。インバスケット思考では、業務を棚卸しして問題を発見して分析したり、業務の優先順位を付けたりする。この棚卸しの部分で、チャートや数値で業務を可視化するHIT.s法を活用すれば、さらに情報が細分化されて見えてくるので、問題の発見や優先順位も付けやすくなるのではないでしょうか。

インバスケット優先順位のマトリックス 緊急度と重要度の度合でABCDに区分する

緊急度・重要度が共に高い業務が「A」、緊急度は低いが重要度は高い業務が「B」、緊急度は高いが重要度は低い業務が「C」、緊急度・重要度が共に低い業務が「D」に分類される。「D」の仕事はすぐにやめるべきで、「C」の仕事も本来、管理職がやるべきことを再考する必要がある

鳥原 HIT.s法で驚かされるのは、システマティックに可視化できるチャートの仕組みです。確かに数値やチャートで可視化するのは重要。我々はハンドメイドでやっていたのですが、インバスケットでは「優先順位のマトリックス(右図)」に当てはめて1週間の業務内容を細かく分析することで、自分が本来やるべき仕事をより明確にします。

石橋 「優先順位のマトリックス」は仕事の優先順位を付けるものですが、私たちも優先度管理という作業を行っています。ただしこれは、管理職の業務というよりも、経営に対してのアプローチ。会社全体の状況を半年ほどであぶり出して、「緊急で必要なもの」「今後、時間をかけて変えていかなくてはいけない制度やシステム」といった分類をしていきます。まさに、インバスケット思考ですね。

鳥原 実は、インバスケット思考でも、優先順位設定は会社全体で取り組むことをオススメしているんですよ。やはり、考え方の根本は通じるものがありますね。

効率化の目的はリストラではない

──インバスケット思考、HIT.s法。いずれも、うまく活用すれば業務が効率化されていきます。それは、管理職の減少、ひいては、人員の削減にもつながりませんか。

石橋 そう直結して考えてしまう人は多いでしょう。確かに、これまでの効率化や改善業務は、リストラにつながりました。しかし、目先の改善では、組織を利己主義に陥れてしまいます。リストラをしなくても競争には勝てる。HIT.s法の目的は社員を切り捨てることではなく、新戦力化することです。社員の仕事の内容や質まで可視化されるので、技術・品質・教育の強化など、各部署が欲しがっている人材を適材適所で配置することが可能になります。

鳥原 インバスケットも、単純に効率だけを求めるといった考えではありません。効率性を目的とすると、仕事は際限なく増えていきます。そうではなく、重要度の高い仕事に注力し、より質が高い仕事を行うことが目的です。

石橋 それに、先ほども話したように、効率化で生まれた時間で勉強をすることもできる。遅くまで会社に残って、ダラダラと仕事をする悪習もなくなるでしょう。ちなみに弊社では、17時になれば電気を落として、退社するように実践しています。

鳥原 それはすごいですね。現場では、遅くまで会社にいる人間が評価をされやすい傾向が多い。これは錯覚です。業務内容を可視化すると社員も帰りやすくなるでしょうね。

石橋 日本の現場では管理職が疲弊しています。ここを元気にすることが、日本の会社を元気にするポイントのひとつになる。インバスケット思考とHIT.s法をうまく使いながら、これを機会に何かできれば嬉しいですね。

「HIT.s法」が行う3つの改善

1	業務プロセスの可視化
2	業務プロセスのムダとり
3	業務プロセスの定量化

HIT.s法は、業務を誰もが共有できるチャートに体系化することで、これまで属人的になりがちなホワイトカラーの業務を可視化するためのツール。所要時間・人材の投入量・コストに対する業務の価値を数値化して比較できるようにすることで、ムダの実態が評価基準を持って理解できるようになる。改善すべき業務は、チャートから取り除いて簡略化していくことで、より効率的なフローを実現。最終的には、マネジメントレベルの改革、経営レベルの革新へとつながる。

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協力

株式会社 システム科学
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