“見える化”でムダが見えてくる  新時代の業務改善「HIT.s法」

シナノケンシ株式会社 100年企業は未来創造企業へ 7つのポイントが“働き方改革”を成功に導く

システム科学の「HIT.s法」に基づいて“働き方改革”を推進し、生産性および
社員のワークライフバランス向上を実現した長野県の産業機械メーカー、シナノケンシ。
前回のトップインタビューに続き、現場で実際に活動を率いる同社業務連携改革本部副本部長代理の
清水賢一氏に取り組みの内容と成果について聞いた。「実績と納得感のある実践手法や活動に対するトップの理解など、7つのポイントが“働き方改革”を成功に導いた」と清水氏は指摘する。

経営トップの理解とリーダーシップが支えに

シナノケンシ株式会社
業務連携改革本部
副本部長代理

清水 賢一

Kenichi Shimizu

――part.1では、シナノケンシが「HIT.s法」に基づいて始めた「S-BPI活動」(Shinano-Kenshi Business Process Innovation)の概要について、金子元昭代表取締役社長にうかがいました。現場で活動をリードしておられる立場から、改めて活動の経緯や成果についてお聞かせいただけますか?

そもそも当社のHIT.s法との出会いは2011年9月にさかのぼります。金子の話にもあったように、当時のシナノケンシでは主力事業のひとつであった光ディスクドライブ事業の採算性が急速に悪化。しかもリーマンショックによる受注の急減というダブルパンチを受けて青息吐息の状況でした。

全社を挙げて起死回生を模索する中、当時のCMビジネスユニット(自動車産業向けビジネスユニット)のリーダーであった土屋修司と、現在、業務連携改革本部 BPR推進室 業務改革チームの係長を務める小池伸一の2名が「日経ビジネス 課長塾」のセミナーに参加しました。そこでHIT.s法の考え方に非常に感銘を受け、同ユニットから活動を開始することになったのです。

――CMビジネスユニットが「S-BPI活動」を開始したのは翌2012年9月のことですね。

HIT.s法の開発元であるシステム科学にフルカウンセルを依頼し、2012年9月から2014年初めにかけて基本活動、専門活動、定着活動とステップを踏みながら取り組んできました。2013年初めからは新たに5部門、同年半ばからは9部門が活動に参加し、2014年後半以降は全16部門、44ブロック、470名で継続的な活動を繰り広げています。

より一層業務の“見える化”や“ムダ取り”を進めるため、「S・B・M各チャートの鮮度向上」「有効工数精度向上」「テーマ活動推進」「システム化による業務改革」を図ることが、現在のS-BPI活動の主なテーマです。

――実施済み改善提案件数が累積7万3000件以上、創出された有効工数削減時間が累積約29万時間(2016年11月1日時点)と非常に大きな成果が表れています。成功の秘訣は何だったのでしょうか?

①実績と納得感のある実践手法、②経営トップの理解とリーダーシップ、③推進体制の構築、④進捗管理の仕組みづくりと見える化、⑤基本・専門活動からテーマ活動への発展、⑥S-BPI社内資格認定制度の制定と教育体制の整備、⑦表彰制度の創設――という7つのポイントが活動を成功に導いた大きな要因であったと考えています。

HIT.s / S-BPI活動 7つのポイント 
				1 実績と納得感のある実践手法
2 経営トップの理解とリーダシップ
3 推進体制の構築
4 進捗管理の仕組みづくりと見える化
5 基本・専門活動からテーマ活動への発展
6 S-BPI社内資格認定制度の制定と教育体制の整備
7 表彰制度の創設

まず「実績と納得感のある実践手法」ですが、2011年9月に土屋と小池がセミナーでシステム科学の石橋博史代表取締役社長と出会い、的確なアドバイスやメリハリの利いた叱咤激励を直接受けたことが大きかったです。これが後に当社の経営トップである金子の心をつかみ、S-BPI活動を全社的な活動へと発展させるきっかけとなりました。

――2つ目のポイントである「経営トップの理解とリーダーシップ」に結び付くわけですね。

S-BPI活動は当社の中期経営計画に組み込まれ、経営トップや役員が全員参加する「アウトプット検討会」が毎月実施されることになりました。この検討会の場で発表・承認され、コツコツ積み重ねた改善の取り組みが、約29万時間という膨大な時間の余裕を会社と社員にもたらしたのです。

HIT.s法の成功事例の多くは現場からのボトムアップによるものだと聞いていますが、全社を挙げて取り組み、より大きな成果を継続的に上げていくためには、トップダウンで活動を推進させることが有効なのではないかと思います。少なくともシナノケンシはトップにいる金子が積極的に動いてくれているのが大きいですね。

S-BPI 活動概要

2012年9月に第1期としてCMビジネスユニット(1部門・7ブロック)からスタートした活動は、その後、2013年初めからの第2期(5部門・20ブロック)、2013年半ばからの第3期(9部門・27ブロック)と参加部門を広げていった。

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協力

株式会社 システム科学
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