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不動産証券化の新たな投資先として高まる首都近郊エリアの魅力

日本で物流センター、ケア施設を開発するアジアREIT

 野口氏によると、シンガポールやマレーシア、タイなどのアジアREITは、2011年頃から日本市場における存在感を高めてきたという。

 世界のREIT市場の時価総額を見ると、米国、日本、オーストラリアがトップ3を占めるが、シンガポールが世界6位にランク入りするなど、アジアREITのシェアは少しずつ拡大している。そしてアジアREITの動きで特徴的なのは、自国内のみならず、海外の不動産も積極的にポートフォリオに組み入れていることだ。

「とくにアベノミクス以降は、円安の進行を受けてアジアREITが日本の不動産を取得する動きが加速しました。ほかの国・地域に比べて割安とされる日本の不動産がさらに安く手に入るようになったからです」(野口氏)

 ただし、彼らが主に物色しているのは、日本の“J-REIT”が運用しているような「都心5区」(千代田区・港区・中央区・新宿区・渋谷区)のビルやマンションではない。これらの物件は、すでにオリンピックへの期待などによって価格が大きく上がり、利回りが下がっているからだ。

 野口氏によると、「アジアのREITが注目しているエリアは、都心に比べて地価が安く、相対的に高い利回りが見込める首都近郊や地方。それらの土地に、最新機能を備えた物流センターや老人ホーム・介護施設などのケア施設を開発する動きが顕著です」という。

 たとえば東南アジアの中心部に位置し、国際物流ハブとして機能してきたシンガポールは、その歴史的経緯から、物流センターの開発・運営については高いノウハウを持っている。そのノウハウを生かしながら、シンガポールのREITが地方にサード・パーティー・ロジスティクス(3PL)の拠点を開発する動きが活発だ。

 また、「今後、日本でさらに少子高齢化が進み、老人ホームや介護施設の需要がますます高まるということもしっかり研究したうえで、それらを投資対象に組み入れるアジアREITの動きも目立ちます」と野口氏は指摘する。

アジア地域のREIT制度の導入状況/世界10カ国・地域の上場REIT市場規模

金融市場の整備とともにREIT制度を導入するアジアの国・地域は増加。シンガポールのREIT市場の時価総額は世界6位を誇る。

都心よりも利回りは高いが、地方物件には思わぬリスクも
野口氏

 周到なマーケティングのもと、相応のリスクを取りながら、日本で積極的に物件を開発するアジアREITの動きは、国内のREITにも刺激を与えているようだ。

 彼らを追い掛けるように、地方や首都近郊の事業用地を取得して物流センターやケア施設を開発する“J-REIT”もここ数年、少しずつではあるが増え始めている。

 また、そこまで大胆ではないものの、すでに利回りが確保しにくくなっている都心から地方や首都近郊にエリアをシフトして、ビルやマンションなどの既存物件を取得する“J-REIT”も増えているようだ。

 ただし、「価格が安い地方の物件は、たしかに計算上は都心のビルやマンションに比べて利回りが1〜1.5%ほど高くなりますが、賃料は都心の相場とそう大きく変わらないので、テナント確保に苦労しやすいというデメリットがあります。地方の既存物件を取得する場合、いかにテナントの確保や長期契約が見込める物件を選ぶかが重要になってくるでしょう」と野口氏は指摘する。

 そうした物件がなければ、アジアREITのように、需要を掘り起こせるような物件を自ら作り上げていく取り組みも求められるのではないだろうか。