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「ポスト2020年」も進化を遂げる東京とそれを支える首都近郊エリアの可能性

日本の首都からアジアの国際都市へ。2020年を控え、訪日客の急増やグローバルビジネスの拡大とともに、東京が再び大きく生まれ変わろうとしている。だが、都市としての機能や魅力を高め、競争力を上げていくためには、もっと長い時間軸で物事を考えなければならない。「ポスト2020年」の東京はどうあるべきか? また、国内外から流入するヒト・モノ・カネの受け皿として、“グレーターTOKYO”(東京圏)とも言える首都近郊エリアの果たすべき役割とは? 経済財政諮問会議議員で日本総合研究所理事長の高橋進氏に聞いた。

協力:UR都市機構

経済財政諮問会議 議員、株式会社 日本総合研究所 理事長 高橋 進 氏

1976年一橋大学経済学部卒業。住友銀行(現・三井住友銀行)を経て株式会社 日本総合研究所へ出向。2005年から2年間、内閣府政策統括官を務め、政策立案等も担当した。2007年に副理事長として株式会社 日本総合研究所へ復帰し、2011年、同理事長に就任。2013年より内閣府経済財政諮問会議 議員を務める。テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」などのコメンテーターとしても活躍。

アジアの国際都市として再び脚光を浴び始めた東京

「かつての東京は、国際都市としての地位が下がり続けていると懸念された時期がありました。しかし、その状況は少しずつ変わり始めています」と高橋進氏は語る。

 2020年東京オリンピック・パラリンピックを4年後に控え、訪日外国人客の急増や、日本に進出するグローバル企業の増加といった“追い風”が強まってきた。

 一方で、年2ケタの成長率を誇っていた中国経済はここ数年スローダウン。その結果、「いずれ東京に取って代わると言われた北京や上海、香港などの勢いにもやや陰りが見られるようになりました。そうした中、他のアジアの大都市と比べて治安がよく、都市交通などの社会インフラも整った東京の魅力が再認識され始めているのです」(高橋氏)

 少子高齢化とともに労働力不足が深刻化し、潜在成長率は0%台前半と“伸びしろ”がほとんどなくなっている日本経済。だが、その中でも「東京にはいまだに日本全体からヒト・モノ・カネが流入していますし、さらにアジアを中心とする海外からの資金や人材の流れが太くなれば、国際都市としてのプレゼンスはますます高まることになるでしょう」と高橋氏は明るい未来を展望する。

 ただし、「都市としての競争力を確かなものにするためには、東京をもっと暮らしやすく、ビジネスのしやすい街に変えていかなければなりません。そのために乗り越えるべき課題は、山積しているのが現状です」(高橋氏)。

年次別訪日外国人客数の推移

訪日外国人客数はここ数年急増。日本観光における「ゴールデンルート」(東京〜京都・大阪)の玄関口である東京は、その経済的恩恵を最も受けている。

「ポスト2020年」を見据えた都市づくりを
高橋氏

 大きな課題の一つとして高橋氏が挙げるのは、老朽化した社会インフラの更新だ。

「首都高速道路など、今日の東京を支える社会インフラの多くは前回の東京オリンピックが開催された1964年前後に整備されたもので、すでに50年以上が経過しています。これをいかに更新していくかが東京の抱える喫緊の課題です。私が提言したいのは、同じ場所に同じようなものを造り直すのではなく、これを機に、曲がりくねっている首都高速道路をまっすぐなルートに変更したり、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)を活用して交通渋滞の少ない状況を実現できるようにしたりと、21世紀だからこそ利用できる、最新テクノロジーやアイデアを駆使して都市機能を高めていくことです」(高橋氏)

 1964年に開通した首都高速道路は、用地確保や工期の問題などから、地権がなく、工事も速やかに進められる河川や運河の上などに建設された。その結果、ルートは曲がりくねり、道幅も狭いものに仕上がってしまった。

 高橋氏が指摘するように、現在の最新工法なら大深度の地下トンネルを掘って、車線が多くまっすぐな道路に造り直すことも可能だ。「移動の効率性が高まるのはもちろん、道路を高架から地下に移すことで損なわれてしまった景観を取り戻すことができます。機能だけでなく、400年以上の歴史を持つ江戸東京の文化や美しさの魅力も高まるわけです」(高橋氏)。

 もちろんそうした大変貌は、「2020年まで」という短い時間軸では実現しない。もっと長期的な、「ポスト2020年」を見据えた都市づくりが求められるはずだ。