近年、地域ごとに医療の機能分化が進展してきている中、患者さんの治療へのアクセス向上と、医薬品の正しい情報を提供するための体制を整えた中外製薬。その先には、患者さん一人ひとりに寄り添う医療の実現がある。変わり続ける医療環境に的確に対応すべく実施した営業組織の再編と、安全性情報を含めた各種ソリューションの整備について、営業本部長の加藤進氏と医薬安全性本部長の大箸義章氏にお話を伺った。

地域医療の多様性とペイシェント・ジャーニーの流れを踏まえ、きめの細かいサポートを実現する

地域医療の多様性とペイシェント・ジャーニーの流れを踏まえ、きめの細かいサポートを実現する

中外製薬株式会社 上席執行役員 営業本部長 加藤 進氏

――今回、組織改革を行われたそうですが、その概要と意図をお聞かせください。

加藤患者さんの病気の罹患、受診、診断、処方、治療継続に至るまで(ペイシェント・ジャーニー)、我々はその疾患領域全体の課題解決に協力する必要があると考えています。例えば、ご自身の病気に気づいていない患者さんに医療機関を受診していただくことや、医療従事者の方々に適切な検査の実施や、治療継続のための副作用マネジメントを推進して頂くことも当社の役割だと思っています。ただ、医療環境にはかなり地域差があります。国もそれを踏まえて地域医療構想の策定を義務化し、都道府県にそれぞれの地域特性に合わせた医療提供体制の構築を求めています。我々は2017年、そうした地域医療の多様性に対応するため、支店数を従来の11から36に細分化しました。さらに、医療従事者からの情報ニーズの専門化・高度化に伴い、MR(医薬情報担当者)の配置も機能に合わせて再編成しました。近年は、特定の疾患に関する専門性の高い情報が必要とされる一方で、例えばかかりつけ医ががん治療に関わる機会も増えており、求められる活動が多岐にわたるようになっています。そこで、専門性の高い情報はもちろん、今後ますます細分化される医療機関の機能分化に合わせて、最適なソリューションを提供できるようにしました。

中外製薬株式会社 上席執行役員 営業本部長 加藤 進氏

――セイフティエキスパート(以下SE)という新たな職責も設けられたそうですね。

大箸医薬品は両刃の剣といわれ、有効性と安全性のバランスの上に成り立っています。そのため国は医薬品医療機器法を改正し、医薬品の有効性と安全性への理解を国民にも求めるようになりました。そうなると、製薬企業の責務として、副作用の情報や適正使用の方法をこれまで以上にしっかり発信する必要があります。そこで、医薬品の安全性に関するエビデンスに精通した医薬品安全性本部の社員と、総合的な情報提供に長けた従来のMRからも選抜し、SEという職責を新たに設けました。このSEが活動することにより、質の高い安全性情報を医療従事者に提供できるようにしました。

加藤SEが臨床試験や国内外での使用で蓄積された安全性に関する科学的エビデンスをもとに、必要な製品の安全性情報を確実にお伝えし、医師にご理解いただければ、画期的な新薬の適正使用を推進できると考えました。

リアルワールドデータを通して適正かつ安全な使用を促し医薬品の価値向上に努める

リアルワールドデータを通して適正かつ安全な使用を促し医薬品の価値向上に努める

中外製薬株式会社 執行役員 信頼性保証ユニット長 兼 医薬安全性本部長 総括製造販売責任者 薬学博士 大箸 義章氏
中外製薬株式会社 執行役員 信頼性保証ユニット長 兼 医薬安全性本部長 統括製造販売責任者 薬学博士 大箸 義章氏

大箸SEの具体的な業務の1つは、患者さんに安心して医薬品を継続服用していただくために、医療従事者に医薬品リスク管理計画(RMP)およびRMPに紐づく適正使用資材の重要性をお伝えすることです。2つ目は、目の前の患者さんの副作用やその対処法について、より専門的かつ科学的に情報提供することです。弊社ではそのためのツールとして、患者さんの特性に応じた適正使用情報を提供する「調査データベースツール」と最新の副作用情報を提供する「副作用データベースツール」を他社に先駆けて構築しました。そして3つ目は、質の高い副作用情報を収集し、迅速に世界に発信することです。我が国では市販後に確認されたすべての副作用の情報を規制当局に提出することが義務付けられていますが、「副作用と薬剤との関連性を評価するために必要な詳細情報」を迅速に収集することは容易ではありません。そのため優れた効果がある医薬品でも、結果によっては使用が制限されてしまうことがあります。SEはその専門性をもとに、時々刻々と蓄積される医療現場の真の情報、すなわちリアルワールドの安全性データを正確に収集・提供し、優れた医薬品の普及と適正使用の徹底を促す役割を担っています。

患者の特性に応じた適正使用情報の提供

――今後について、どのようなお考えをお持ちでしょうか。

大箸近年の医療現場では患者さんを中心に、地域のかかりつけ医と病院の医師、看護師、薬剤師などが情報を共有し、1つのチームとなって治療に関わることが重要と考えられています。私はこのチームに、医薬品開発の担い手であり、医薬品情報を最も多く持っている製薬会社もぜひ加えていただきたいと考えています。医薬品は国民の皆さんからご批判、ご評価をいただきながら、一緒に育てていくものです。患者さんや医療従事者とのコミュニケーションを大切にしながら、安全性と有効性のより高い医薬品の開発に今後も努めていきたいと思います。

加藤我々の営業活動の対象は医療従事者が中心ですが、一般市民を対象とした疾患啓発に直接関われる機会も必要と考え、異業種との連携を模索しています。最近は、大手化粧品会社や生命保険会社などと協力して、一般の方々に向けた啓発活動なども開始しています。また、地域の医療機関や行政と連携して市民公開講座も開いています。繰り返しになりますが、我々の使命は弊社の薬を待ち望んでおられるすべての患者さんに確実にお届けすることです。安全性と適正使用の情報を全国の隅々までしっかりお伝えし、治療アクセスの向上と、医薬品の価値向上に尽力していきたいと考えています。

創造で、想像を超える。中外製薬の挑戦 新CM

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「未来人からのバイオメッセージ」篇