特別対談:ICTは顧客満足にどこまで貢献できるのか? 顧客の「万一」に寄り添う最適な仕組みとは 損保大手が推進するデジタル戦略
SOMPOシステムズ株式会社 取締役 専務執行役員 CTO 損保システム第一本部長 損保システム第二本部長 小澤 淳氏
F5ネットワークスジャパン合同会社 代表執行役員社長 古舘 正清氏

顧客のライフスタイルにあわせてビジネスも変える

古舘氏顧客接点が対面からWebにシフトするなど、現在はビジネスの現場が大きく変わっています。そうした中では、従来型の顧客満足度向上施策が、通用しないケースも増えてきています。この状況をどうご覧になっていますか。

小澤氏デジタル技術でライフスタイルが変われば、当然、リスク要因も変化します。万一の際の安心・安全を担保する保険事業においては、今のお客様の暮らしにどのようなリスクが登場してきているのかを正しく認識し、先回りしてセーフティネットを張るようなサービスを用意することが求められています。

 そのために、当グループではかねて環境変化への適応を推進してきました。具体的には「国内損保」「国内生保」「海外保険」という既存の事業領域に加え、新規事業の開拓にも積極的に投資。例えば2015年度には、介護・ヘルスケア領域の企業をM&Aによってグループ化しました。これにより、高齢化社会を迎えた日本のお客様に対し、新たな悩み・不安の解消をお手伝いするための体制を整えています。

 また、2016年4月にSOMPOホールディングスが、東京と米国シリコンバレーの2拠点でSOMPO Digital Labを開設しました。当社も連携し、急加速しているデジタル技術の活用を強力に支える体制の強化を進めています。

小澤 淳氏 と 古舘 正清氏

万一に備える保険サービスで、システム停止は許されない

古舘氏事業領域と組織体制の見直しによって、顧客満足を追求していくということですね。そんな中、グループの活動をICTで支えるSOMPOシステムズ様は、どのような取り組みを行っておられますか。

SOMPOシステムズ株式会社 取締役 専務執行役員 CTO 損保システム第一本部長 損保システム第二本部長 小澤 淳氏

小澤氏ご存じの通り、保険は代理店様経由で提供する形態が主です。つまり、時代にあった保険商品の提供をはじめとする保険契約者様向けの施策はもちろん、全国の代理店様への支援策を強化することも、当社の顧客満足度向上施策の1つとなります。

 この考え方の下、代理店様の業務の利便性向上のため、インターネットの普及にあわせて、保険商品の案内や申し込み、保険料計算などをWeb上で行える「代理店オンラインシステム(SJNK-NET)」を2002年から提供してきました。保険は、お客様の不測の事態をサポートするもの。それを担うシステムが頻繁に停止するようでは本末転倒です。そこで当社は、SJNK-NETをはじめ、ビジネスに欠かせないシステムの安定稼働を担うインフラとして、F5ネットワークスの「BIG-IP」を利用しています。

古舘氏ありがとうございます。製品のどんな点をご評価いただけているのでしょうか。

小澤氏SJNK-NETが扱うトラフィックは膨大です。しかも保険商品は、冬場に路面が凍結すると、その翌日に自動車保険の支払い処理が急増するといったことがあり、トラフィックの増減が激しく、予想も難しいという特性を持っています。BIG-IPはその際のシステムの負荷を分散する装置として、当社のビジネスを支えてくれています。

 評価したのは処理が高速なことと、信頼性・安定性が高いこと。SJNK-NETとほぼ同時期の2002年に導入してから、BIG-IPに起因する障害は発生していません。もしお客様の目の前で保険料の計算を行っている時にシステムが止まったら、お客様に不安を与えてしまいます。その意味では、BIG-IPは顧客満足度向上に欠かせないインフラといえます。

F5ネットワークスジャパン合同会社 代表執行役員社長 古舘 正清氏

古舘氏BIG-IPは当初、ネットワークの負荷を分散する装置としてリリースしましたが、現在はトラフィック制御に関する機能を統合的に備えた製品へと進化しています。これにより、例えば様々な業務アプリケーションに対して統一したセキュリティポリシーを一度に適用することが可能。個別設定の手間の削減や、コスト最適化を図れます。このような観点でも有効活用いただいていると思いますが、いかがでしょうか。

小澤氏はい。代理店様は約6万2千社あり、SJNK-NETを閲覧する際のWebブラウザやシステム環境も多種多様です。当然、通信暗号化手法の1つであるTLS(Transport Layer Security)もバージョンは様々なのですが、そのままだと、古いバージョンで行われる通信がセキュリティホールになり、SJNK-NET、ひいてはそれを使うほかの代理店様のシステムにリスクをもたらす可能性があります。

 とはいえ、すべての代理店様に最新バージョンへのアップデートをお願いするわけにもいきません。そこで、TLS1.0/1.1をお使いの代理店様との接続は、BIG-IP側で自動的に最新バージョンTLS1.2に変換するようにしています。そうすることで、当社も代理店様も現行のシステムに手を加えることなく、安全な通信環境をスピーディに実現できるという仕組みです。

保険契約者向けにもICTを使った新サービスを提供

古舘氏最近は、保険契約者向けにも、ICTを使ったサービスを拡充されているそうですね。

小澤氏最近、新たに保険契約を締結する契約者向けに、運転診断結果に応じて新規契約の保険料が最大20%割引となるテレマティックス保険を発表しました。これは、個人向けにスマートフォンアプリを提供し、先進技術を活用して安全運転度合いを分析、保険料(割引率)を算出する仕組みです。

古舘氏そうしたIoTの活用が進めば、扱うトラフィックはさらに増えます。またIoTのデータの場合、「小さなデータを頻繁に送受信する」といった、一般的な業務データとは異なる特性を持ちます。その点、BIG-IPはそれぞれのデータの特性にあった処理を、単一のプラットフォーム上で行えるため、余計なシステム投資も抑えることができるはずです。

小澤氏それは心強いです。将来的には、このアプリのユーザー様に向けた新サービスを、本業である保険事業の側から提供することも計画しています。そのほか、システム運用の自動化を進め、当社内部の負荷削減にも取り組んでいきたいですね。

小澤 淳氏 と 古舘 正清氏

古舘氏ICTによるビジネス改革が必須となった現在、企業がフォーカスすべきは、成長の要となる多彩なアプリケーションやサービスを、いかに迅速かつ安全にユーザーに提供するかだと当社は考えています。そのためには、情報システム部門がシステムの運用管理やセキュリティ対策といった負担から解放され、いち早く先進的なICT活用に取り組める体制を整備する必要があるでしょう。

 当社は、日本の品質管理担当役員を米国本社に配置し、製品開発プロセスから“日本品質”のエッセンスを注入する取り組みを続けています。これにより、セキュアで安定した、手間のかからないシステム基盤を実現し、お客様企業のビジネスを強力にご支援します。

小澤氏最適な技術を取り入れ、グループのユーザーやお客様に価値あるサービスを提供するのが私たちの務め。セキュリティを含むサービス品質はもちろん、ICTのライフサイクル短期化に対応した提供スピードの向上、コスト最適化まで、検討すべきことは多岐にわたりますが、BIG-IPをはじめとするソリューションで、これからもご支援いただきたいと思います。

古舘氏こちらこそ、ぜひよろしくお願いします。本日はありがとうございました。
Corporate Profile
社 名
:SOMPOシステムズ株式会社
設 立
:2014年9月(損保ジャパン日本興亜システムズ)
社員数
:1485名(男性1028名、女性457名/2016年12月現在)
概 要
:2016年10月、前身である損保ジャパン日本興亜システムズから現社名へ変更して誕生。損害保険大手のSOMPOホールディングスにおける戦略的ICT企業として、ビジネスの推進力となる様々なICTソリューション/サービスを提供する。
関連リンク
お問い合わせ
F5ネットワークス合同会社
URL:https://f5.com/jp  お問い合わせフォームはこちら