日本を代表する総合エレクトロニクスメーカーの富士通では、双方向でつながるコネクテッドカー時代の到来に向けて、同社が培ってきた通信、情報処理、電子デバイスといったICT技術を活用し、モビリティ事業を推し進めている。

未知の脅威には成長する技術で安心・安全を確保します。

クラウドの活用で車が市場で成長し続ける

真のコネクテッドカー時代の到来。これが今回、富士通が掲げている大きなテーマだ。同社Mobility IoT事業本部事業部長の神俊一氏は、その背景を次のように話す。

「ネットワークの進化、車の知能化、IoT化という3つの要素によって、真のコネクテッドカーは双方向でつながる世界を実現しつつあるからです」

これまで同社が扱ってきたコネクテッドカーは、ナビゲーションやETCなど片方向での情報が主だった。しかし、双方向の通信のやりとりによって車が大きく変化。従来型の内燃機関の市場はアジア、中南米、アフリカを中心に100兆円程度の市場規模が維持されるものの、一方で全く新しいモビリティ産業が形成されていくという。

「コネクテッドカーの他に、カーシェアリング、自動運転、電動化という4つの新しいモビリティ産業が今まさに動こうとしています」(神氏)

新たなモビリティ産業ではプロダクトからサービスへの潮流が加速するため、車も買った時が最新の状態ではなく、市場の中で成長し続けるという。

「ここで注目されているのが、コネクテッドにおけるクラウドとのコミュニケーションの活発化です。2020年には新車の54%がコネクテッドに対応するという予測もあり、ICTメーカーである当社としても積極的に取り組んでいます」(神氏)

車の保有形態が保有から利用へと変化することで急増するのが、カーシェアリングだ。欧州では、大手自動車メーカーによるカーシェア専用車両の開発や、パーキングのマッチングサービスへの出資も始まっている。

「自動運転は2020年代にはレベル4が始動し、安心・安全が満たされることで人々はモビリティ環境での快適性を求めるようになるでしょう。電動化については世界的なZEV規制の強化によって、ますます加速していくものと思われます」(神氏)

モビリティ社会が育っていくためには、乗っている車が常に安心・安全・快適という領域において成長する仕組みが実現されなければならない。例えば、コネクテッドカーにおけるセキュリティ確保には、成長するセキュリティソリューションとして、アタック検知という技術が注目されている。

安心を維持するための成長するセキュリティ技術

進化するセキュリティの脅威に対して、垂直統合によりセキュリティの成長サイクルを実現し、成長するセキュリティ技術によって安心を維持する

未知なる脅威にも対応するセキュリティの提供

「アタック検知した情報をクラウドに上げ、それをクラウド分析してセキュリティライブラリを成長させ、再び戻すという成長サイクルによって、新たな脅威にも対応できます」(神氏)

こうした技術に用いられているソフトウエアのスムーズなアップデートを可能にするために、同社ではスマートフォンの開発経験者を組織し、その経験知を最大限に生かしている。

また、自動運転に必要なダイナミックマップサービスのプラットフォームの構築に向けた技術開発については、富士通が代表企業となってコンソーシアムを形成。さらに、自動運転によって移動空間の快適性の追求が進むことを想定して、移動者の趣味嗜好(しこう)を検知して成長するサービスでは、ディープラーニングなどの技術も利用。その際の個人認証には、生体情報を車外に拡散させずにクラウドに上げるFIDOというネットバンキングなどでも使われている技術を活用するという。

「コネクテッドカー時代において必須となる要素は、これからもまだまだ出てくると思います。例えば、自動車のビッグデータの70%を占める画像データを圧縮保存する技術など、当社のICT技術を最大限に活用して開発を進めていきたいと思います」(神氏)