“Zoom-Zoom”とは子供が車の走る様子を表現する「ブーブー」の英語表現であり、フォード傘下で経営再建中だった2001年にマツダが定めたブランドメッセージでもある。そんな初心を忘れずに“走る歓び”にあふれた車の提供を目指す、マツダの車づくりについて紹介する。

メッセージの継続に込められた強い思いで社内外に覚悟を示す

経営も大幅に改善されてきた2007年、マツダでは2001年から掲げてきた“Zoom-Zoom”というブランドメッセージをどうするかの議論が行われた。出された結論はメッセージの継続であり、結果、2007年3月に発表された「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言」という長期ビジョンの下、同社の業績回復を支えてきたスカイアクティブ技術や現在の商品群が生まれた。

「宣言ではあえて『走る歓び』と『優れた環境・安全性能』というトレードオフの関係にある言葉を使い、我々はエコだけの車は作らないという覚悟を社内外に示しました」と語るのは、同社執行役員の工藤秀俊氏だ。

マツダでは今年8月、「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言2030」を発表。美しい地球と心豊かな人・社会の実現を使命として、環境技術戦略と安全技術戦略を進めている。

“全ての人に走る歓び”を提供できるメーカーを目指すマツダは、現在3車種市場導入している手動変速機仕様の拡大も予定している

“全ての人に走る歓び”を提供できるメーカーを目指すマツダは、現在3車種市場導入している手動変速機仕様の拡大も予定している

理想の内燃機関の開発でCO2削減に貢献しながら走る歓びも提供する

EVと内燃機関はとかく対立軸で語られがちだが、温暖化ガスや排ガスを低減するには、CO2の発生を走行中だけでなく発電所レベルで考える必要があり、地域ごとのマルチソリューションが必要だというのが同社の考えだ。

「グローバルには電気すらない地域も多く、そこでは内燃機関の改善のほうがCO2削減に貢献できます」(工藤氏)

事実、国際エネルギー機関(IEA)による2035年時点での動力源予測はEV11%、FCV5%となっており、残り84%には内燃機関が関わっている。そこでマツダは理想の内燃機関の実現に向けて、次世代エンジン「スカイアクティブX」を開発。ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの“いいとこ取り”を可能にした。

「将来の化石燃料の枯渇に対応すべく、微細藻類から人工的に次世代の液体燃料を作る研究も、産学官の連携で開始しています」(工藤氏)

一方、安全技術についても、機械中心で考える自動運転と、走る歓びを提供する非自動運転の2つのルートによるマルチソリューションが必要だという考えで、開発を進めている。

「車の運転を通じて、いくつになっても心と体を活性化する、そんな社会をつくりたいと思います」(工藤氏)