車離れがささやかれる一方、世界には欲しくても買えない人たちが大勢いる。また地方では、移動手段利用の格差も浮き彫りに。パネルディスカッションでは、こうしたモビリティー社会の課題を解決する事例として、各社の取り組みが紹介された。

モビリティーニーズに応える自動車金融プラットフォーム

「誰もがモビリティーを利用できる社会」をビジョンに掲げるGlobal Mobility Service(GMS)は、FinTechを活用した新しい自動車金融プラットフォームを提案する。同社CEOの中島徳至氏は、「車を買いたくても与信審査に通らない人は日本国内で年間190万人、世界では20億人にも上ります。GMSは遠隔制御デバイスの開発により、支払いリスクの問題を解決。金融機関、車両販売店、ローン・リース契約者の各者が豊かになれる価値を提供します」と話す。

従来は提供不可能であった層への安全なファイナンス提供を実現することで、モビリティー社会の進展を図るのが狙いだ。既にフィリピンとカンボジアで業務提携を果たし、今後の動向が期待されている。

オンデマンドの乗り合い車両システム

一方、公共モビリティーが抱える課題解決に向け、新公共交通システム「Smart Access Vehicle(SAV)」を提案するのは、未来シェア取締役会長の中島秀之氏。

「SAVとは、デマンド型のタクシーと乗り合い型の路線バスの長所を融合した、オンデマンド乗り合い車両システムです。アプリでの呼び出しに応じてクラウド上のAI(人工知能)が最適な組み合わせを計算し、リアルタイムに走行ルートを決定します。未来の都市型公共交通システムを目指しています」

このシステムに、NTTドコモが着目。両者はAIで需要を予測する「AI運行バス」の開発に取り組み、2018年度中の実用化を目指しているという。天候や渋滞など交通状況のプローブカーとしても有効で、SAVシステムの活用には様々な可能性が広がりそうだ。

車の楽しさを広める新形態カーシェアリング

個人間カーシェア「Anyca」により、モビリティーカルチャーに新風を吹き込んだのは、DeNAだ。2015年のサービス開始以来、会員登録数は9万人以上、登録車両数も3500台を超えた。

「カーシェアを通じて、人と車の関係をもっと気軽で楽しいものにしたい、というのが発想の原点。単に個人間の需給をマッチさせるだけでなく、会員同士の交流イベントや乗車キャンペーン、撮影会などを企画し、カーライフの楽しさを広めています」と、同社でAnyca事業を担当する馬場光氏。

安心・安全の仕組みを徹底するだけでなく、シェア実績に応じて専用のスマートキーデバイスを提供するなど、利便性向上にも貢献。車離れを解消するサービスとしても注目される。