「21世紀に間に合いました」のキャッチフレーズで、トヨタが世界初の量産HV(ハイブリッド車)、初代「プリウス」を発売したのが1997年のこと。あれから20年がたち、自動車の省エネや燃料の多様化は大きく進んだ。HVからPHV(プラグインハイブリッド車)、そしてFCV(燃料電池車)へと開発を進めるトヨタの今後の方向性とは?

省エネルギーと燃料の多様化への対応を同時並行して進める

20世紀以降の工業や科学技術のグローバルな発展は、化石燃料の大量消費をもたらし、その結果として石油枯渇への不安、CO2排出量の増加による温暖化、そして大気汚染の拡大といった数々の問題を発生させた。都市部の大気の悪化や温室効果ガスに起因する異常気象は、今や我々の日常生活の大きな脅威となっている。

「こうした問題解決のためにトヨタでは、省エネルギー、燃料多様化への対応、エコカーは普及してこそ環境への貢献、の3つの考えの下、今後どのような次世代車を普及させていくべきかということに取り組んできました」と、同社MS製品企画チーフエンジニアの田中義和氏は語る。

しばらくは石油が自動車燃料の主流である以上、HVやPHVの普及を図りながら、同社では天然ガス、バイオ燃料、電気、水素といった燃料の多様化に対応したパワートレーンの開発も、同時並行して進めていくという。

「トヨタが進化させてきたHVの要素技術は、PHVやEV、FCVといった次世代環境車にも共通するため、私たちは車両電動化のコア技術と位置づけて開発を進めています」(田中氏)

トヨタが2014年に世界に先駆け発売したFCV「MIRAI」

トヨタが2014年に世界に先駆け発売したFCV「MIRAI」

取り組みは全方位ながら本格的な水素社会に向けてFCVの普及を急ぐ

石油の代替燃料にはそれぞれ一長一短あるため、トヨタの取り組みは全方位に及ぶ。PHVをHVに次ぐ次世代環境車の柱として開発を進め、EVの普及に向けては全固体電池の開発を加速させている。併せて、同社が力を入れているのが1992年から進めてきたFCVの開発だ。

「使用過程でCO2を一切発生しない水素は、多様な一次エネルギーから作り出せるので、枯渇の心配がありません。しかも地産地消でき、再生可能エネルギーの変動を吸収することもできます。FCV技術を進化させていくことは、日本の経済にとって高い付加価値を生むことになります」(田中氏)

トヨタではFCVを究極のエコカーと位置づけ、FCシステムを自社で開発している。2020年代には本格的な普及期に移行したい考えだ。そのため、エネルギー会社やインフラ事業者と連携して、水素ステーションの普及に向けた取り組みを進めている。