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企業がワークスタイル変革に取り組むべき理由とは?

──なぜ今、ワークスタイル変革が求められているのでしょうか。

渥美人口減少社会に入って、これからは総力戦。男性だろうが管理職だろうが、介護や子育てをしながら働く人たちが増えていきます。僕自身、会社員・子育て・家事・介護・看護を実践していますが、時間的・空間的制約はITツールである程度クリアできている。ギリギリまで働く覚悟を決めれば、なんとかなるというのが結論です。それ故に、制約を抱えた誰もが活躍できるよう、職場に人を合わせるのではなく、働く人に合わせた環境整備、制度づくりが重要になってきます。子育てや家庭の事情などで、職場メーンでは仕事ができなくても、在宅なら十分に能力を発揮できるというケースは今後ますます増加していくでしょう。そういう人たちを切り捨てないためのワークスタイル変革というのは、大きな流れの一つとしてあると思います。

松本様々な場所と時間をうまく使いながら働ける環境というのは、ワーク・ライフ・バランス(WLB)の観点からも重要です。ワークスタイル変革は、モチベーションを上げるためのツールだと私たちは考えています。

渥美どこにいようが働ける環境を整備しておいたほうが、イノベーションも起きやすい。何より経験の多様性は、どんな仕事においても武器となります。僕が介護や子育てをしながら働けるのは、それぞれの場での経験が他の面でも役立ち、相乗効果を得られるという手応えを得ているから。そうした経験の多様性、多面性を持った人たちが個性を発揮できる職場というのは強い。その意味でも、ワークスタイル変革やダイバーシティは福利厚生的な発想ではなく、企業の成長戦略の柱として取り組むべきでしょう。

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ワークスタイル変革は、企業が生まれ変わるチャンス
ワークスタイル変革に必要なのは、「制度」「風土」「リード」

──ワークスタイル変革への取り組みに当たって重要なことは?

渥美ワークスタイル変革に必要なのは、「制度」「風土」「リード」。働き方を変えるのであれば、人事制度や就労規則、セキュリティポリシーなどの制度も変更しなくてはなりません。次に、新しい制度を利用するための風土づくりです。いくら制度が変わっても、それを利用しづらい社内風土や価値観がはびこっていては変革は進みません。そこで重要となるのがリード、つまりトップメッセージです。

松本変えていくんだという強い意志をトップが示すわけですね。

渥美たとえ経営者でなくても、「自分たちの仕事の価値を高めるためには、制約社員のモチベーションを向上しなくてはならない」と現場の管理職が気づけば、変わっていけるはずです。今の働き方改革の問題は、とにかく部下を早く帰して管理職はその分をかぶるという企業が圧倒的に多いこと。結果、管理職は疲弊し、職場のロールモデルにもなり得ない。それでは将来の希望も持てません。一方、本気でワークスタイル変革に取り組む企業は、まず管理職にメスを入れようとします。管理職の業務を洗い出して徹底的にムダを減らし、さっさと帰らせる。そういう判断を下せるリーダーの存在は重要ですね。

松本今までと同じ時間、同じ作業量での働き方改革はあり得ないですからね。効率化するってことは、取捨選択して必要なところに集中するということ。それを実現するために、現場にもある程度の裁量が与えられる環境づくりが望まれます。

渥美大前提として、仕事の質は高めなければいけない。でも就労人口が減っていく中、隙間なく仕事を積み上げていくというこれまでのやり方はもう通用しない。ジェンガ(ブロックを高く積み上げるバランスゲーム)のように、抜いて載せるというのをうまくやっていかないと。そのためには多様な視点や経験が不可欠となり、それを活用する手段がダイバーシティであり、ワークスタイル変革なんです。変わることは勇気のいることですが、今までできなかったことを試せるチャンスと考え、前向きに取り組んでいただきたいですね。

ワークスタイル変革を成功に導く「共感の連鎖」とは?