変わるリビングのあり方

生活スタイルの変化により、近年は日本の住宅事情も様変わりしつつある。特にリビングの概念は以前とだいぶ異なっている。さらに、2020年までに、全ての新築住宅に対して省エネ基準への適合が義務化されるなど、変化を遂げつつある住宅業界のトレンドを探った。

リビング学習が推奨されて間取りへの意識が変化した

近年では、子供部屋ではなく、リビングに学習机を置いて勉強させる家庭が増えてきた。親の目が届くことや、親子の会話が増えることでコミュニケーション力が高まるといった、リビング学習のメリットが教育専門家から指摘されている。

「以前は、子供に静かな環境を与えたほうが勉強に集中できると考えられていましたが、最近はそんな見解が否定されてきました。さらに、10年ほど前から帰宅した子供が自分の部屋に入る前に必ずリビングを通るような設計が増えています。注文住宅では、2階の子供部屋に上がるための階段をリビングに設けることも多いですね」

また、昔はリビングに大型のテレビを置いて、家族団らんの中心となっていたが、最近は生活スタイルが変化して、テレビがリビングの中心ではなくなっている。

「壁掛けタイプのテレビを希望する人も増えました。近年では、リビングにテレビ自体を置かない傾向も目立ちます。娯楽が多様化して、昔のように家族全員で同じ番組を楽しむというスタイルが減ったという事情がありますね。テレビが中心でなくなったことで、学習机を置くなど、リビングの自由度が高まったことは事実でしょう」

2020年までに省エネ基準の適合を義務化

ほかに近年の住宅事情の傾向として顕著なのは、やはり省エネ意識の高まりだ。日本における住宅の省エネ基準は、1980年に初めて設けられて以来、度々強化されてきたが、特に1999年の改正は全面的な見直しを伴うもので「次世代省エネ基準」と呼ばれた。そして、2013年に導入されたのが「改正省エネ基準」だ。2020年までには全ての新築住宅を対象に省エネ基準の適合が義務化される予定だ。ZEHの実現を目指し、各メーカーも高断熱外皮や制御機構、再生エネルギーなどを意識した住宅づくりに取り組んでいる。

国の進める低炭素化社会へ向けてのロードマップ

「ここ数年で、日本のメーカーは三重サッシの内部に特殊なガスを注入して断熱性や遮へい性を高めた高性能サッシなどを続々と開発しています。このような窓に替えるだけで、冷暖房効率は格段に向上し、ヒートショックも減らせます。冬場は、湯上がりに寒い洗面所などに入って急に血管が収縮して倒れる事故が多くなりますが、洗面所のサッシを変えることで、かなり防止できるはずですよ。エネルギー効率ばかりでなく、断熱性の低い住宅は壁内部の結露によって寿命が低下してしまいます。特に木造住宅は水の問題で傷んでいくので、結露や雨漏り、水漏れなどの対策によって長寿化を図ることができます。だからこそ、住宅にとっては省エネが重要なテーマになります。かつて、日本の木造住宅の寿命は約30年といわれていました。点検やメンテナンスをきちんとしていないから、30年でダメになってしまう。しっかり手入れをすれば現在の日本の住宅なら、100年は十分保ちますよ」

個性的過ぎる間取りだと中古市場で敬遠される

省エネ性の高い住宅は後述する資産価値の面でも有利。資産価値を高めるという観点から、住宅の間取りについても注意が必要だという。

「注文住宅の場合、あまり個性的な間取りにしてしまうと、他人には非常に住みにくい間取りになってしまい、売れにくくなります。必要がないのに2階にリビングを設けるなど使い勝手が悪い家は中古市場では敬遠されてしまいますね」

また、将来的に家族の構成人数が減ることを想定する必要もある。子供が独立して夫婦だけで暮らすことになると、住宅の一部を賃貸用に改装するケースも少なくない。あるいは、個室を多めにして4LDKの間取りを広めのリビングをもつ3LDKに改装するという場合もみられる。そのような可変性のある設計にしておくことが望ましい。

「最近は大手ハウスメーカーも将来の改装を見越してアドバイスするようになっていますが、施主がワガママなタイプだと提案しにくいのです。自分の好みの間取りにしたい気持ちは分かりますが、家を建てる際には、設計段階で将来の生活の変化や資産価値まで考えておくことが必要ですね」

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