※本企画に掲載の製品名、社名、その他は各社の商標または登録商標です。

題字中塚翠涛氏

2017 REVIEW
電通国際情報サービス
顧客価値起点のアプローチで
デジタルビジネスの創出を推進
IoT/AIによる価値創出を目指す動きが一段と加速しているが、なかなか思うような成果が上がらず悩んでいる企業も多い。その大きな要因の1つが、データ/技術ありきで取り組みを進めている点だ。デジタルビジネスを成功に導く上では、まず「顧客にとっての価値」に着目することが不可欠だ。その上で仮説の設定や事業実現性の検証を行っていけば、今後の成長を下支えする新たなビジネスモデルを効果的に創出することが可能になる。日時:2017年6月9日(金) 会場:六本木アカデミーヒルズ

製品の機能や性能だけでは価値を訴求できない時代、
製品とITの融合が大きなカギに

 IoT/AIなどのデジタル技術をビジネスに活用する場合には、2通りのパターンが考えられる。まず1つは、自社の業務プロセスへの適用を行って従来業務の高度化を図るケース。もう1つは、自社製品への適用を行って顧客への新たな価値提供を目指すケースだ。

株式会社 電通国際情報サービス ビジネスソリューション事業部 エンタープライズソリューション事業開発室 室長 飯島 義崇氏  「それぞれの目的を一言で述べると、前者はコスト削減を、後者は収益向上を目指す取り組みといえます。どちらも重要な取り組みですが、モノの機能や性能による価値が認められにくくなった現在においては、後者の取り組みに力を入れることがより重要になってきています。しかし、そこには様々な問題が立ち塞がっています」と電通国際情報サービス(ISID)の飯島 義崇氏は説明する。

 これまでは、製品そのものの機能・性能を強化することで価値を訴求できた。しかし、製品のコモディティ化が進んだ現在では、これだけで顧客に価値を提供することは難しい。

 「お客様に価値を感じてもらうためには、自社の『製品』をIoT/AIを用いた『サービス・プラットフォーム』へと進化させ、顧客が実際に『製品』を利用する中で様々な成果を得られる仕掛けを提供することが必要です」と飯島氏は続ける。

 ただし、これはそう簡単なことではない。IoT/AIを自社の業務プロセスに適用する場合には、目的が「業務の改善」など自社業務の延長線上にあるものとして明確であるため、自社内から収集したデータを可視化/分析して、業務改革を成し遂げた時点で成果になる。しかし、自社製品に適用する場合は、それによってどのような価値を顧客に提供するかを明確にすること、つまり製品に付帯した情報サービスによる新たな価値を顧客に認めてもらうことで初めて成果となる。このハードルが非常に高いのが現状だからだ。

 「実際にお客様と会話していても、『とりあえずデータを取ってみてPoC(概念実証)をやってみたものの、そこから先が進まない』という企業が少なくありません。この課題をいかに解決していくかが、デジタルビジネスを成功に導くカギと言えます」と飯島氏は話す。

顧客にとっての価値をベースに
新たなビジネスモデルを考える

図1 ISIDのデジタル価値創出手法 図1ISIDのデジタル価値創出手法 ISIDでは、3つのステップで新たな価値創出を目指す手法を提唱。まず顧客価値にフォーカスし、それをPoCで検証した上で実装・運用フェーズに進むことで、IoT/AIの効果的な活用を実現する  ISIDでも、企業のデジタル活用を支援する様々な活動を展開している。「ポイントは、『テクノロジ』『ビジネスモデル』『実装と運用』の3つの論点でIoT/AI活用を考えること。しかし、IT/デバイスベンダーの技術ありき、つまり『テクノロジ』だけで、何ができるかを考えるようなケースが散見されます。当然これでPoCを行ったところで、結局ビジネスモデルにはつながりません。なぜなら、『お客様にどのような価値を提供するのか』ということを抜きに取り組みを進めても、PoCの結果を評価することができないため、決して前には進まないのです。また、本来は、実装・運用についても、誰がサービス・プラットフォームの基盤整備を行うのかをしっかり考えておく必要があるのですが、そこまで検討できている企業はごくわずかです」と飯島氏は説く。

 こうした課題を解消すべく同社が提唱しているのが、「1. 顧客価値に基づくビジネスモデルの仮説立案」「2. 仮説に基づいた事業実現性の検証」「3. 事業化に向けたIoT基盤実装と運用体制の確立」の3つのステップで価値創出を目指す考え方だ(図1)。最初に顧客にとっての価値を検討し、それが正しいかどうかをPoCで検証。これを基に事業計画を作成し、具体的な実装・運用手段にも落とし込んでいくというわけだ。

図2 K-Matrixを用いた潜在価値発掘 図2K-Matrixを用いた潜在価値発掘 人の欲求に着目することで、表面には表れない潜在的な価値を発掘する「K-Matrix」。これを人の置かれた状況や制約条件と掛け合わせることで、新たなビジネスモデルを生み出すことが可能になる  さらに飯島氏は、それぞれのステップの具体的な進め方についても紹介。「最も重要なのが最初のステップです。ここでは、人間が持つ「本質的な欲求」と、人間の行動に影響を与える「環境の状況・制約条件」を掛け合わせる『K-Matrix(潜在価値創出マトリックス)』により顧客の潜在的な価値を創出します。この2つの項目を強制的に組み合わせることで、普段は気付かない欲求や潜在的な価値を掘り起こすことができます」と話す(図2)。環境の状況・制約条件には市場動向や人口動向などの社会的な情報が必要となるが、同社では電通グループの調査資料なども利用できるという。

 こうして発案した価値を、今度は「要素バラシ」と呼ばれる手法を用いて、より具体的な要件、機能へとブレイクダウンし、最終的にIoTやAIの要素技術と必要なデータまで落とし込む。これにより、どのようなデバイスやセンサーが必要か、データはどれくらいの精度やタイミングで取る必要があるかといったことを明らかにする。

 「このK-Matrixと要素バラシは、弊社独自のメソドロジーで、既に企業における製品企画や事業開発で豊富な実績のある手法です。今回IoT/AIによるビジネス創出にこの手法を適用します。新たな発想を生む上では、対象への想いである『心』、発想の基となる『知』に加え、発想手法である『技』、の3点が不可欠です。お客様の製品に対する『心』と、お客様はその業界、当社はテクノロジ、の双方の『知』、にこの手法の『技』を掛け合わせることによって、新たなビジネスモデルを創出することができます」(飯島氏)

仮説評価基準に基づくPoCで事業の成立性を綿密に検討

 続いて2番目のステップでは、K-Matrixと要素バラシで見いだした価値の事業実現性を検証する。ここで重要となるのが「仮説評価基準」の策定だ。まず、第一ステップで創出した価値を「CVCA(Customer Value Chain Analytics)」と呼ばれる手法を用いて、誰がどのようなメリットを享受されるのかを明確化し、マネタイズも含めたビジネスモデルの仮説を立案。その上で、市場における優位性とターゲット、利用シーンなどを定義し、仮説の評価基準として策定する。その上でPoCをまわして、その結果をこの仮説評価基準に照らし合わせて評価していく。こうすることで初めてPoCの結果を評価できるという。「求める基準を決めた上でPoCを行わなければ、結果を評価することはできません」と飯島氏は強調する。

 仮説評価基準に対してPoCをまわし、その結果をまた仮説評価基準にフィードバックし、それを繰り返して事業計画の精度を高めていく流れになる。同社では迅速にPoCを行えるようにツールやプラットフォーム、分析基盤などをパッケージとして既に用意しているという。

 最後のステップでは、IoTビジネスを支えていく社内基盤と運用体制を検討。IoTやAIを「新しい価値を創出するビジネス基盤」とする場合、その仕組みは自社の事業サービス基盤となるが、その実装と運用は社内システムの延長でできるほど単純なものではない。

 IoT/AIによるシステム基盤は、「デバイスから得られたデータを、ゲートウェイを通じてクラウド基盤に蓄積してAIで分析する」といった一連の仕組みを、自社の製品とあわせてサービスとして顧客に提供することが求められるため、ビジネス基盤として高い信頼性を担保しなければならない。その実装と運用にはソリューションを提供するデバイスメーカーやITベンダーだけでは不可能で、もちろん自社の情報システム部門でも手に負えるものではないだろう。IoT/AIのビジネス基盤を支えるためには、デバイスやゲートウェイを含むOTと、クラウドやAIの仕掛けからバックオフィスシステムにいたるITの双方を複合して提供し運用できるパートナーが求められる。

 「とりあえず手元にあるデータで取り組みを始めても、途中で行き詰まってしまうことは必至です。しかし、この3つのステップを踏めば、IoT/AIによる新しいビジネスの創出を着実に進められます」と飯島氏。企画からPOS、そして事業化とその運用にいたるまで、IoTやAIを使った新たなビジネス価値創出に向けて顧客企業を全面的に支援していく考えだ。
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株式会社 電通国際情報サービス
URL:https://www.isid.co.jp/
ビジネスソリューション事業部
E-mail:erp-info@isid.co.jp
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