今、イスラエル発の企業が世界を席巻している。
名だたるグローバル企業がイスラエルに研究開発拠点を構える動きも顕著だ。
その秘密を探るべく、国際ジャーナリスト・蟹瀬誠一氏がイスラエルへ向かった。

写真=笹野 忠和

蟹瀬 誠一 PROFILE
安定と繁栄の美しき技術大国
安定と繁栄の美しき技術大国

イスラエルは先進国として多くの注目すべき特長を備えている。四国ほどの面積で人口約870万人と小さい国でありながら経済力は強大で、2008年の世界的な経済危機でもプラス成長を成し遂げた。紛争のイメージを引きずる人がいるかもしれないが、空の玄関口、ベン・グリオン空港を出てすぐに、その不安は払拭されるはずだ。商都テルアビブはモダンなビルが立ち並ぶ先進都市であり、華やかなビーチリゾートとしての一面も持つ。古都エルサレムは伝統的な石造りの建物と近代的なビルが混在する街並みが美しい。治安は良好であり、たいてい英語が通じるから旅行先としても快適な地だ。

イスラエルは雨が乏しいにもかかわらず、先進的な農業・水処理技術を駆使して95%ともいわれる食糧自給率を達成している農業立国。一年中、新鮮な野菜やフルーツに事欠かず、肉や乳製品もおいしい。世界中から帰還したユダヤ人がいることから、レストランでは上質な食材を使った世界各地の料理をイスラエルワインと共に楽しめる。

上/テルアビブ市内の海沿いの街ヤッファ 下/左からエルサレム旧市街の歴史的建物、夜のエルサレム、新鮮な野菜が並ぶマーケット

上/テルアビブ市内の海沿いの街ヤッファ 下/左からエルサレム旧市街の歴史的建物、夜のエルサレム、新鮮な野菜が並ぶマーケット

多国籍企業が集積する「中東のシリコンバレー」
多国籍企業が集積する「中東のシリコンバレー」

現在、イスラエルの産業の主軸は研究開発にある。高度な学校教育と兵役中のトレーニングプログラムなどにより、優秀なエンジニアが育成される社会構造になっている。国民1人当たりのエンジニアの数は世界一。得意なのはライフサイエンス、サイバーセキュリティー、IoT、モビリティー、グリーンテック、フィンテックなどのハイテク分野だ。起業家精神旺盛な国民性を背景にスタートアップが多数存在するのも特筆すべき点だ。テルアビブ、エルサレム、ハイファの3都市をつないだ狭い範囲に6000ものスタートアップが存在するといわれ、「中東のシリコンバレー」とも称される。高度な技術の集積密度は、シリコンバレーをはるかに上回っているだろう。

イスラエルは国内需要が限られていることから、スタートアップといえども最初期から世界展開を目指して活動するのが一般的だ。サイバーセキュリティーのCheckPointや高度運転支援システムのMobileyeなど、スタートアップから世界市場でばく大なイグジットを達成した例も数多く、投資家たちの動きも活発だ。

テルアビブの街並み

テルアビブの街並み

さらに、多国籍企業の研究開発拠点も集積している。グーグル、アップル、マイクロソフト、アマゾン、フェイスブック、インテル、GM、HP、サムスン、シーメンスなどその数は300を超え、この恵まれた環境でこぞってオープンイノベーションに力を入れている。学術界、スタートアップ、投資家、VC(ベンチャーキャピタル)、多国籍企業などイノベーションを起こすためのプレイヤーが、比較的小さなコミュニティーに存在し、緊密な連携をとっている。このユニークなビジネスエコシステムこそが、イスラエルの産業の強さの源泉だろう。

今回、既に世界的に関心を集める企業、ブレイク間近と目される企業、スタートアップを支える意欲的な人々を訪ねることができた。現地で見た“イスラエルの今”をリポートする。

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主催:イスラエル大使館 経済/協力:日経BP総研
主催:イスラエル大使館 経済/協力:日経BP総研

お問い合わせ先:イスラエル大使館 経済部
Israeljapaneconomy@israeltrade.gov.il