日本の農業が正念場を迎えている。少子高齢化に伴い新規就農者が増えず、高齢者の中には体力の低下を理由に農地を放棄する人もいる。一方でTPP(環太平洋経済連携協定)が発効されれば、海外で生産された作物との競争は激化が予想される。この問題を、技術とコミュニケーションで解決しようとしているのが国際航業だ。空から大地から、日本の農業の基礎体力向上に貢献している。

01 労力半分、経験値ゼロでも空から見ると知りたいことが分かる

空からの視点で、働き方はどう変わった?

北海道岩見沢市  小麦生産者 梶 俊忠 さん / 俊太郎 さん / 忠昇 さん

家族経営の大規模農家である梶さんは、広域や共同で農業を営んでいる農家にこそ、空から診る営農支援サービスが必要と考えています。

「このサービスで得られるデータと刈り取った時の穂水分(穂が含む水分の割合)がほぼ一致しているから、安定した収穫ができる。安定的に収穫できれば、その後の乾燥機の稼働効率が良くなる。家族経営でもその感触を得ているので、協同で営農している人にはなおさらのこと、もっとメリットを実感できるんじゃないかと思う」(父:俊忠さん)

「所有する圃場(ほじょう)が多くなるほど、管理する面積が拡大します。その一つひとつを見て歩かなくてよいことで、農作業の効率が上がります」(長男:俊太郎さん)

「トラクターなどの自動化が進んでいますが、圃場を可視化するこのようなサービスと組み合わせるとさらに便利になり、圃場を増やすきっかけにもなると思います」(次男:忠昇さん)

北海道浜中町  酪農家 石橋 慶健 さん

「正直に言うと、最初はこのサービスを信用していませんでした。しかし、衛星写真と解析データを見ると、実際の圃場の状態、今生えている草の状態ときれいに一致していた。正確であることにまず驚きました。

牧草地は、前回使った時から年数のたった古い部分から更新をするのが一般的ですが、解析データを見て判断できるようになってからは、牧草が雑草に変わってしまっている、植生の悪い部分から更新できるようになりました」

02 営農支援サービス『天晴れ』が農家・酪農家の生産性向上を支援する

なぜこんなことができるのか?

国際航業株式会社 事業開発本部 3Dセンシング事業部 開発グループ 営農支援サービス担当部長 鎌形 哲稔 / 国際航業株式会社 事業開発本部 3Dセンシング事業部 開発グループ 営農支援サービス担当 大島 香

人工衛星や航空機、ドローンなどで撮影した画像から、特殊な解析を行い、様々な情報を可視化するリモートセンシング。そのパイオニアの国際航業は農業分野への応用にも積極的に取り組んできた。それが、営農支援サービス『天晴れ(あっぱれ)』だ。冒頭で紹介したのは、このサービスを先行導入している生産者の生の声だ。

リモートセンシングを農業に活用しようというアイデアは以前からあったが、近年はICTの進化に加え、衛星の小型化と運用数の増加が進んだことで、データの利用料金が下がってきている。以前よりもずっと手軽に、また知りたい地域を絞り込んで、農作物がどの程度まで育っているかが分かるようになっている。それだけでなく、品質に直結するたんぱく質の含有量、小麦の収穫時期に大きな影響を与える穂水分なども把握できる。これにより、いつから収穫を始めるか、広い圃場のどこから手をつけるべきかなど、従来は経験に基づく勘に頼ることが多かった場面で、科学的な根拠に頼れるようになった。「リモートセンシングと聞くと、『お金がかかるのでは』とおっしゃる方々もいますが、国際航業がお届けする『天晴れ』は特別なシステムや初期費用は必要ありません。既にお持ちのPCやスマートフォンで確認できます。プリントアウトした紙面でお届けすることもできます」と担当の鎌形と大島は話す。

こういったサービスの背景には、国際航業が長年培ってきたリモートセンシングの技術があるが、もう一つ欠かせないのは、農家・酪農家の課題を共有するために、現場に入り込む人間力だ。自社製品を押しつけることなく、生産者や農業関連団体の困りごとを聞きながら、解決できる提案をするという順序を守っている。担当の鎌形は「自分ごととして考えること」を開発のモットーとして、何度も生産の現場に足を運び生産者や農業関連団体とディスカッションを重ねている。

営農支援レポート例
小麦穂水分率マップ | 小麦の収穫判断に活用
牧草地診断マップ | 圃場管理に活用

農業に関わるすべての人の笑顔のために

このサービスを通じて、生産者や農業関連団体の人々の省力化と高収入化を実現することで、「日本の農業を豊かに、そして農業に関わる人の笑顔を増やしたい」と思いを語る担当は、「もっと便利に使えるサービスがつくれないか?」と様々な方向から可能性を探り、具体的な内容の検討を積み重ねている。

その先に見据えているのは、日本の農業・酪農を元気にすること、そして、日本の精密農業を世界に広めていくことだ。

「世界には、日本に比べて単位面積当たりの収穫量が低い地域がたくさんあります。そのような地域に日本の精密農業の手法を発信していくことで、世界の食糧問題解決に貢献していけるのではないか?と思っています」(鎌形)

「適切なタイミングで施肥や収穫をするということは、エネルギーの利用効率を高めることになります。地球というコミュニティをより豊かに健やかに保ち、次世代へ託したいです」(大島)

確かな技術に基づいた空からの視点、そして地に足のついた活動は、日本の農業、そして地球の未来を大きく変えていくことになりそうだ。

日本アジアグループ株式会社
国際航業株式会社