9月は障害者雇用支援月間 障害者雇用が企業の成長を促す―

平成30年4月から障害者の法定雇用率が引き上げられる。障害者雇用をどう進めるかは、少子高齢化時代の企業の成長戦略にとって大きな意味をもつ。積極的な取り組みが社員の成長につながるとする企業の例を紹介する。

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マッチング、定着支援など専門機関のサポートを

駒澤大学 文学部 社会学科教授 桐原宏行氏

駒澤大学 文学部 社会学科教授
桐原宏行氏

高齢・障害者雇用支援機構(現高齢・障害・求職者雇用支援機構) 障害者職業総合センター 研究員などを経て、2001年より現職。専門は雇用問題・就労支援。社会での適応に困難を抱える社会的マイノリティーのソーシャルインクルージョンについて、就労支援の側面から研究を行っている。

我が国は急速に少子高齢化がすすみ、労働力人口が減少する傾向にあります。そのため高齢者、女性、障害者など多様な労働者が労働市場に参入し、経済活動のにない手となることが求められています。

しかし、障害者雇用を見てみると現在、法定雇用率を達成している企業の割合は48.8%にとどまっています。この数字は前年比で+1.6ポイントと、障害者雇用は徐々に伸びていますが、実は半数以上の企業が法定雇用率を満たしていないのです。

さらに統計を紐解くと、法定雇用率未達成企業のうち66.4%が、1人雇用すれば法定雇用率を満たすという事実が見えてきます。つまり、それぞれの企業が少し努力をすれば、法定雇用率の達成割合は大幅に向上するという訳です。

とはいえ、これまで障害者を雇用した経験のない企業がいきなり障害者を受けいれてうまくいくかというと、それほど簡単なことではありません。しかし、専門機関のサポートがあれば、話は異なります。

法定雇用率達成企業の割合は、昨年と比べて1.6ポイントと上昇傾向にあるものの、48.8%と依然半数を超えていない

法定雇用率達成企業の割合は、昨年と比べて1.6ポイントと上昇傾向にあるものの、48.8%と依然半数を超えていない

出所:厚生労働省「平成28年障害者雇用状況の集計結果」

障害者雇用で大切なのが、適材適所ということ。障害者の職業能力と企業の職場環境をアセスメントしマッチングさせることが大切です。これから障害者雇用を始めようという企業は、そうした支援をしている専門機関と連携して進めることが大切です。障害者職業センターでは、障害者職業カウンセラーやジョブコーチなどの専門スタッフが採用前の準備から採用後の定着まで企業と障害者それぞれに支援を行っています。

雇用後は周囲の理解が重要になります。いくら事業主が熱心でも、一緒に働く同僚の理解と協力がなければ円滑な職業生活を送ることはできません 。そのためにも、コーポレート・ガバナンス(企業統治)を利かせながら、組織的な対応を行う必要があるでしょう。具体的な方法としては、全社員を対象とした研修会の実施など組織全体の(人権)意識を高めるための取り組み(全体的理解の促進)と障害のある労働者の合意に基づきその人に必要なサポートなどを職場で共有する取り組み(個別的理解の促進)を複合的に行うことが考えられます。

障害者雇用は多様な人材活用への対応力を向上させるチャンス

ひと口に障害者と言っても障害特性や必要な配慮は一人ひとり異なります。

個々の障害者の希望、能力、適性を生かした雇用管理の経験は障害者に限らず、労働者一人ひとりの状況をふまえた柔軟な対応力向上につながるでしょう。

このように企業は障害者雇用をきっかけとして、今後、必要とされてくる“多様な人材に対応する雇用管理能力”を高めることができると考えられます。

また、採用活動への影響も見逃せません。一人ひとりの置かれた状況に応じて、多様な働き方が可能であることを示せば、すべての労働者が安心して働き続けることができる企業だと認識されるのではないでしょうか? 障害者雇用を通して共生社会の実現に貢献することにより、信頼性が向上し、国内外で企業価値が上がっていくのです。

いずれにせよ、障害者雇用を自分たちのビジネスと別次元のことだと考えずに専門機関からの支援を受けつつ、自社において許容される職務内容・勤務条件等について再検討し、多様な人材確保に向けた積極的な第一歩を踏み出すことが大切です。

改正障害者雇用促進法への対応について

現在、民間企業の法定雇用率は2.0%ですが、平成30年4月1日から2.2%に引き上げられる(編注:平成33年4月までに更に0.1%引き上げとなる)ことになりました。

これは平成30年4月から法定雇用率の算定基礎の対象に、身体障害者と知的障害者だけでなく精神障害者が加えられることに伴うものです。その結果、障害者を雇用しなければならない民間企業の規模が従業員50人以上から45.5人以上に拡大することになります。(2.3%になった際には従業員43.5人以上に広がります)

はじめて障害者雇用が義務付けられる企業で新たな取り組みが必要なことはもちろんですが、すでに障害者雇用を行っている企業でも、さらなる障害者雇用が求められます。

平成30年4月から3年を経過する日より前に、民間企業の法定雇用率は2.3%となる。

平成30年4月から3年を経過する日より前に、民間企業の法定雇用率は2.3%となる。

詳しくは、厚生労働省ホームページへ

障害者雇用の理解を深める「働く広場」

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