10月は高年齢者雇用支援月間 ビジネスの躍進は高齢者が支える

65歳までの雇用確保措置が義務化されているが、65歳以降も働き続けたいと考える元気な高齢者が増加している。今後、少子高齢化が進む人口減少社会の中で、企業の成長は高齢者の活用なしにはありえない。ここでは、事業拡大の担い手として高齢者を積極的に採用している社会福祉法人の例を取り上げ、高齢者活用の秘訣を探る。

みのり村内の「Cafe m・歩っ(えむほ)」で調理や会計業務を担当する阿部さん(68歳)。
「一緒に働いている障害者は、皆いい人たちで毎日仕事が楽しい」と語る
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多様な働き方を提示し働きをきちんと評価する

東京学芸大学 教育学部 教授 内田 賢氏

東京学芸大学 教育学部 教授
内田 賢氏

1982年、横浜市立大学商学部卒業。中越学園長岡短期大学助教授などを経て、現在、東京学芸大学教育学部教授。専門は人的資源管理論。2015年から東京学芸大学附属特別支援学校校長も務める。高年齢者雇用開発コンテスト審査委員。

厚生労働省が発表した平成28年「高年齢者の雇用状況」集計結果によれば、現在、65歳までの従業員に対して、安定した雇用を確保するために何らかの措置を実施している企業の割合は、従業員数51人以上の企業で99.7%に上っています。統計上は、高年齢者雇用は社会に浸透しているように見えますが、その一方で、現場からは「高年齢者を活かしきれない」「どのように付き合えばよいのか分からない」「メリットが実感できない」などの声があがっているのも事実です。

高年齢者雇用は、企業と労働者双方が恩恵を感じられなければ成功したとはいえません。そのためにも、まずは企業側が高齢社員が活躍できる環境をしっかりと構築することが求められます。例えば体力や健康の問題が生じる高年齢者には、画一的な労働環境ではなく、柔軟な働き方を用意する必要があるのです。

また、企業に貢献している高齢社員をきちんと評価する制度を設けることも大切。評価方法は何も昇給に限りません。例えば、よくあるのが、技術職なら「監」の字を付けて「技監」など、高齢社員向けの新役職を与える方法。いずれにせよ「会社は貢献する社員をしっかり見ている、認めている」というスタンスを示すこと——それが個々の仕事のパフォーマンスを向上させる要因になるのです。

とはいえ、実際に取り組みを進める際、制度設計や設備改善など、具体的に何をすればよいのかは、ノウハウのない企業には知る由もありません。そこで高年齢者雇用アドバイザーなど、専門家のサポートを受けることをおすすめします。

彼らは専門家として、個々の企業の状況に応じたベストプラクティスをたくさん持っているので、新たに取り組みをスタートするにしろ、現在の制度を改善するにしろ、色々な知恵を授けてくれるでしょう。

高年齢者雇用はビジネスの成功に不可欠

企業にとって、高年齢者雇用のメリットはさまざまです。労働力人口が減少する中で、知識や技術の確かな高年齢者を雇用することは、企業と社員の安心感につながります。また、企業や業界独特のルールを知っている高年齢者は、若手社員の教育役としても大きな役割を果たすでしょう。

法定雇用率達成企業の割合は、昨年と比べて1.6ポイントと上昇傾向にあるものの、48.8%と依然半数を超えていない

企業の人事担当者への調査によると、高年齢者の専門能力(専門知識・熟練技能等)などに対して満足度が高い。

※「60歳代前半層」とは、59歳以前に正社員として雇用し、かつ60歳以降も正社員、または非正社員として雇用する60〜64歳の社員のことをいう

出典:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構『高齢者の人事管理と人材活用の現状と課題−70歳雇用時代における一貫した人事管理の在り方研究委員会報告書−』

さらに、マーケティングにおけるメリットも見逃せません。

現在、少子高齢化によって日本全体のマーケットが縮小している一方で、シニア世代向けのマーケットは拡大傾向にありますが、このターゲットのニーズを捉えるのなら、若い世代より同じ世代の方が向いているという訳です。また、例えば高齢者向け介護など、同じ世代の人からサービスを受ける方が安心できる場合もあります。つまり、世の中の流れを考えると「ビジネスにおいて高年齢者はサービスの担い手として重要な存在」ということが言えるのです。

まず、企業は、このようなメリットをしっかり認識すべきだと思います。結局、高年齢者雇用推進の取り組みを成功させるのは、経営者が「高齢化社会の中で、高年齢者が持つ知恵や経験を使って、会社を強くしよう」と考え、そのことを企業風土として社内に浸透させている企業です。

これが実現できれば、たとえ他の社員の中に高年齢者に対するネガティブな意識があったとしても「積極的に高齢社員から学ぼう」という気持ちに変わってきます。そのためには、日頃から社員研修や教育を行い、経営方針やそれに基づく高齢社員を含めたそれぞれの役割を明確に伝えることが必要です。

高年齢者雇用アドバイザーによる相談・援助

高年齢者雇用アドバイザーとは・・・

「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(高齢法)により、定年の引上げや廃止、定年に達した人を引き続き雇用する継続雇用制度の導入等による希望者全員の65歳までの高年齢者雇用確保措置の実施が義務づけられています。

65歳までの雇用確保措置の導入や定着を図るとともに、生涯現役社会の実現に向けて高齢者が能力を発揮して働くことができる環境とするためには、賃金・退職金制度を含む人事管理制度の見直し、職業能力の開発及び向上、職域開発・職場改善等さまざまな条件整備に取り組む必要があります。

そこで、企業における条件整備の取組を支援するため、高齢者雇用問題に精通した経営労務コンサルタント、中小企業診断士、社会保険労務士等、専門的・実務的能力を有する人達を高年齢者雇用アドバイザーとして認定し、当機構の都道府県支部を窓口として、全国に配置しています。

最新の好事例・制度を知る「エルダー」

高齢者雇用の好事例や助成金制度、高齢者雇用問題等を取り上げた事業主向けの啓発誌。毎月1日発行。デジタルブックも公開中。

エルダー

高年齢者雇用開発
フォーラム開催

10月の「高年齢者雇用支援月間」に合わせて「高年齢者雇用開発フォーラム」を開催。高年齢者が働きやすい職場環境改善事例を募集した「平成29年度高年齢者雇用開発コンテスト」の表彰式や記念講演、事例発表、トークセッションなどを実施。

日時

平成29年10月4日(水)
11時00分~16時10分

場所

イイノホール(東京都千代田区)

プログラム

・高年齢者雇用開発コンテスト表彰式

・佐藤 博樹 氏(中央大学大学院 戦略経営研究科 教授)による記念講演

・事例発表

・トークセッション

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独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 TEL:043-213-6215 FAX:043-213-6556

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