10月は高年齢者雇用支援月間 ビジネスの躍進は高齢者が支える

65歳までの雇用確保措置が義務化されているが、65歳以降も働き続けたいと考える元気な高齢者が増加している。今後、少子高齢化が進む人口減少社会の中で、企業の成長は高齢者の活用なしにはありえない。ここでは、事業拡大の担い手として高齢者を積極的に採用している社会福祉法人の例を取り上げ、高齢者活用の秘訣を探る。

みのり村内の「Cafe m・歩っ(えむほ)」で調理や会計業務を担当する阿部さん(68歳)。
「一緒に働いている障害者は、皆いい人たちで毎日仕事が楽しい」と語る
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柔軟な勤務形態を導入し、高齢職員の多様な働き方を後押し

社会福祉法人みのり村 理事長 大木 隆氏

社会福祉法人みのり村 理事長
大木 隆氏

みのり村は、大分県杵築市と速見郡日出町で、障害者の施設入所支援や特別養護老人ホームの運営、在宅サービスの提供を行う社会福祉法人。こちらの法人では「長く勤めた職員が定年で退職することで、サポートを行う人が代わるのは入所者のためにならない」という理由で、約20年ほど前に60歳定年後の再雇用制度を導入した。本人の意思と能力次第で年齢の上限なく継続雇用を実施しているため、各拠点で働くスタッフには高齢職員も多く、現在78歳の職員も活躍しているという。

若手職員とともに働く彼らの表情は皆明るく、仕事ぶりも熱心で充実した時間を過ごしていることがひと目で分かる。経験豊富な人生の先輩でもある彼らは、若手職員にとっても信頼でき、頼りがいのある存在なのだ。理事長の大木隆氏は「高齢職員が働く場合は、本人の体力や健康状況、家庭の事情等で働ける時間が限られてきます。そこで、各々の事情に合わせて働けるように、フルタイムだけでなく、時短勤務など多様な勤務形態を用意しています」と語る。

また、農業と福祉両方を連携発展させていこうという発想をもとに、入所者の活動プログラムの中で野菜・果物の栽培に関する『農福連携』と呼ばれる支援活動を行うなど、介護職以外にも幅広い職種で高齢職員が活躍しているが、最近では新規事業での雇用も活発だ。2013年にスタートした介護・福祉タクシー事業では、公共交通機関の運転手の経験を有する高齢職員を採用。翌年には、高齢職員と障害者が一緒に働くカフェやパン工房もオープンさせている。

後藤節子さん(64歳)は、村内の特別養護老人ホーム「菩提樹」で、介護職員として活躍。昨年まではフルタイムだったが、今年から1日6時間のパートタイムで勤務している

後藤節子さん(64歳)は、村内の特別養護老人ホーム「菩提樹」で、介護職員として活躍。昨年まではフルタイムだったが、今年から1日6時間のパートタイムで勤務している

サービスの質の向上、新卒採用などさまざまなメリットを実感

そして、以前は65歳以下の職員だけに行っていた年1回の面談制度を本年より全職員に導入。上司が直接面談を行うこの制度によって、高齢職員が抱えるそれぞれの事情や悩みを早い時点で把握。それに合わせた職務や勤務形態の転換が提案可能になったという。さらに勤続表彰の年齢要件も撤廃。60歳以降に就職した職員も表彰できるようにした。これらの制度の見直しが、高齢職員の離職防止やモチベーション維持に役立っているという。このように高齢者雇用に積極的な同法人だが、高齢職員の雇用のメリットについてはどう考えているのか?

この問いに対し、大木氏は「第一に彼らの持つノウハウや対人スキルに加え、介護や支援される高齢者と年齢が近く、仕事も丁寧なので、相手が安心するサービスを提供できることが挙げられます。また、近年、新卒採用を積極的に行っており、若手職員の数も順調に増えているのですが、これも高齢職員の雇用を推進してきたよい影響のひとつだと考えています。応募理由に『高齢職員が活躍する職場なので、自分も長く働ける安心感があった』と話す職員が多いのです」と語る。

平成元年から28年間、みのり村に勤める藤本征四郎さん(78歳)。現在は農園で入所者に対して野菜、果物の栽培支援を行う。「生涯現役で働くことが目標」と語る

平成元年から28年間、みのり村に勤める藤本征四郎さん(78歳)。現在は農園で入所者に対して野菜、果物の栽培に関する支援を行う。「生涯現役で働くことが目標」と語る

「高齢職員の雇用は、高齢職員本人だけでなく、福祉サービスの質の確保などを考えると、我々の事業にとっても、意義のあることなのです」と強調する大木氏。今後もすべての職員がより長く活躍できる職場を目指し、さらなる取り組みを進めていくという。

平成28年度 高年齢者雇用開発コンテスト
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長表彰優秀賞

社会福祉法人みのり村 【業種】社会福祉事業(社会保険・社会福祉・介護事業)
【業務内容】特別養護老人ホームの運営 他
【従業員数】258人(平成29年7月1日現在)(うち60~64歳36人、65~69歳18人、70歳以上10人)

最新の好事例・制度を知る「エルダー」

高齢者雇用の好事例や助成金制度、高齢者雇用問題等を取り上げた事業主向けの啓発誌。毎月1日発行。デジタルブックも公開中。

エルダー

高年齢者雇用開発
フォーラム開催

10月の「高年齢者雇用支援月間」に合わせて「高年齢者雇用開発フォーラム」を開催。高年齢者が働きやすい職場環境改善事例を募集した「平成29年度高年齢者雇用開発コンテスト」の表彰式や記念講演、事例発表、トークセッションなどを実施。

日時

平成29年10月4日(水)
11時00分~16時10分

場所

イイノホール(東京都千代田区)

プログラム

・高年齢者雇用開発コンテスト表彰式

・佐藤 博樹 氏(中央大学大学院 戦略経営研究科 教授)による記念講演

・事例発表

・トークセッション

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独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 TEL:043-213-6215 FAX:043-213-6556

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