1.万全の管理体制と教育強化で世界標準を超えていく 2.大韓航空カーゴが切り開く 航空貨物輸送の新基準 3.Coming soon
安全確保のために成すべきこと、できることを徹底追求/万全の管理体制と教育強化で世界標準を超えていく

スピードやサービスクオリティが重視される昨今であっても、航空輸送サービスにおいて最も重要なことは安全の確保である。大韓航空では、安全を何ものにも代え難い最優先事項とし、これからも人命に関わる重大なトラブルを回避する実績を積み重ねていくために、安全管理システムの高度化と従業員への安全教育の徹底を推進している。

より高い安全性を目指し、安全管理システムは随時更新

 大韓航空では、安全管理システムを3タイプに区分して運用している。1つめが安全阻害要因の把握を通じてリスクの影響を最小限に抑える「予防的安全管理」、2つめは平時の運航監視データ解析に基づく「予測的安全管理」、3つめが既に発生した事案の調査と原因分析から再発防止に努める「事後対応管理」。全職員が自分の役割と責任を全うし、その体系的な安全管理を遂行することが全社的使命であり、それを支援しているのが、安全保安部である。
 そして、全運航を監視し安全確保に努めているのが、ソウルにあるオペレーションコントロールセンター(統制センター)だ。ここでは、運航状況のリアルタイム監視と分析により予測可能な異常事態を未然に防ぎ、予測不可能な事態が発生した場合も安全に配慮しつつ迅速に対処している。エリアごとの専任スタッフと統括責任者は、24時間365日体制で勤務。航空機の予定経路、経路周辺気象状況、運航現況を一覧できるシステムや、状況分析と重要情報の通知を行う独自開発のFFS(Flight Following System)などを駆使し、運航の管理と調整を行っている。
 統制センターの機能停止は決してあってはならない。そこで同等設備が整ったバックアップ施設を用意、万一の際には全スタッフが移動し、滞りなく業務を遂行することになっている。

オペレーションコントロールセンター
オペレーションコントロールセンター

オペレーションコントロールセンター。大型モニターでは、1日当たり470便、1時間当たり87機の全便のうち、現在運航中の航空機の航路や気象状況を表示している。デルタ航空のシステムをベースにバージョンアップを繰り返し、現在ではオリジナルのシステムへと進化した。

熟達した整備士が知識と技術で安全を守る

 一方、航空機の安全を守っているのは整備本部だ。大韓航空は、世界で唯一、航空機製造部門を有する航空会社であり、確かな技術を持ったスタッフによる整備は、国際的な信頼があつい。
 整備本部では、新人研修として基本実習と理論、OJTも含む現場実習を実施。実績を積んだスタッフに対しても深化したプログラムによる教育を続けている。さらに、現場管理者と作業者を対象に安全教育講習会を定期開催。毎年約1000人が参加し、安全意識の向上に役立てているという。

整備格納庫

仁川にある面積180m×90m、高さ25mの整備格納庫。周囲は1997年に竣工した地下2階・地上8階のコの字型の本社ビルになっており、大韓航空職員はいつでも航空機とその整備状況を一望できる。

整備格納庫

安全スキル向上のための惜しみない施設投資

 操縦士訓練の環境は、昨年大幅に拡充された。永宗島(ヨンジョンド)に新設された運航訓練センターには、現在同社で運用中の全機材のフライトシミュレーターを設置。シミュレーター訓練では、想定し得るあらゆるトラブルを疑似体験できるようプログラムを高度化・複雑化し、評価基準の厳格化や外部訓練機関との協力を強化することによって、ヒューマンエラーの防止と、円滑運航を推進する能力の向上を図っている。
 また、客室乗務員に対する訓練も、客室訓練センターで日々行われている。そこでは、理論学習のほか、火災鎮圧や暴徒鎮圧などの非常事態訓練、着水時を含む脱出訓練、心肺蘇生実習などを実施。新入社員には61日間の基礎訓練が、就業中の客室乗務員には年1回の安全訓練が義務付けられている。

フライトシミュレーター フライトシミュレーター

2016年にオープンした運航訓練センターは、東アジア最大規模を誇る。それまでの訓練施設「大韓航空訓練院」から移設したフライトシミュレーターは8台、今後の新機材導入に合わせて新たに4台を追加予定。自社教官のほかボーイング社・エアバス社の教官も招請している。

客室訓練センター:着水避難訓練用プール、ドア開閉訓練、心肺蘇生訓練、機内火災訓練、緊急脱出ボート訓練

客室訓練センターの内部、(上から時計回りに)着水避難訓練用のプール、ドア開閉訓練、心肺蘇生訓練、機内火災訓練、緊急脱出ボート訓練の様子。訓練教官の朴泰憲氏は、「万一の非常事態に適切に対処するためには、しつこいほどの反復訓練で体に覚えさせるしかない」と語る。

命を預かる会社として日々努力と意識向上を

 徹底した安全管理システムと絶え間ないシステムの更新、そして高度な安全意識を持った人材の育成。それは、大韓航空の全スタッフが共有する航空会社としての使命である。
 大韓航空は、これからも安全運航にこだわり、あらゆる部署、あらゆる側面でリスク監査と危機回避訓練を続けていく。大韓航空が世界中の顧客から支持され続けている理由は、快適なフライト中には知ることのない、社員各人の高い意識と日夜の努力の上に築かれているのだ。

整備格納庫

Interview 日本地域本部長に聞く

国際社会における大韓航空の役割

大韓航空 常務 日本地域本部長 金 正洙 氏(キム ジョンス)

大韓航空 常務 日本地域本部長

金 正洙 氏(キム ジョンス)

 大韓航空の最大の強みは、安全運航にこだわってこそ実現した、世界124都市をつなぐ充実のネットワークといえます。日本では現在12都市に就航しており、日韓間で週217便を運航しています。この10月からは青森路線を週3回から5回、新潟路線を週3回から4回に増やし、来年1月には鹿児島路線を週3回から5回に増便するほか、2月には新潟路線のさらなる増便も予定しています。来年1月には、仁川国際空港にスカイチーム専用の新ターミナルもオープンし、乗り継ぎの利便性はますます向上しますので、ぜひご活用いただきたいと思います。
 さて、大韓航空という会社を知っていただくために、長年にわたって取り組んでいる社会貢献活動もぜひ紹介させてください。
 1997年に災害救援チームを結成して以来、大韓航空は被災地に向けた救援物資調達と無償輸送支援を行っており、昨年の熊本地震やフィジーのサイクロン、今年のペルーの洪水の際も、専門チームを有する航空会社ならではの迅速な支援行動を起こしました。また、2004年からは、モンゴル砂漠で社員による植樹活動を毎年実施し、果樹を含む約11万本の木が育つ44ヘクタールの「大韓航空の森」を作り上げてきました。
 さらに、日本の子どもたちに海外体験を提供する企画として、これまでに新潟・青森・佐賀の小中学生を大韓航空本社に招待してきました。こういった活動が次世代の日韓交流促進の一助となったらうれしいです。
 環境保護や地域社会支援、次世代育成活動などは、航空会社としての社会的責任です。そういった活動の継続は社員一人一人の誇りであり、社内コミュニケーションの円滑化を促すとともに、全社的な安全意識の共有と向上にもつながっているのです。

Korean Air Report Vol.1

高水準の点検・整備作業が行われている整備格納庫

整備格納庫

 大韓航空では現在、旅客機と貨物機を合わせて176機を保有しているが、それらの機材のメンテナンスをしているのが整備本部だ。
 大韓航空の整備事業は、場所ごとに主要取り扱い航空機が異なる。仁川ではB777やA380などの大型機、金浦は国内と日本路線に多いB737などの中型機、釜山はA330とB747の重整備に加え塗装用格納庫があり、3カ所で合計9ベイ(1ベイ=大型機1機の収容力)のキャパシティを誇る。それらの整備格納庫では、機種別・パーツ別の整備チームが、軽整備では4日〜2週間ほど、2年に1度の重整備では10日〜4週間の時間をかけ、目視のほかX線、超音波などを駆使しメンテナンスを行う。
 エンジンの日常点検やルーチンの整備はそれぞれの格納庫で実施しているが、オーバーホールなどの重整備は富川(プチョン)格納庫が担当。富川では他社機のエンジン整備も請け負っているという。
 保有する全ての機材を自社整備できる航空会社は世界的に見ても珍しく、海外で航空機のトラブルが発生した場合には、自社整備士を派遣することもあるそうだ。
 整備キャリア20年以上の熟練工が多い、大韓航空の整備事業。同社は新人から丁寧に人材を教育していくシステムが構築されているうえ、経験豊富な整備士に対する待遇がいいため離職者が少なく、また、各人が誇りを持って整備作業を遂行できる環境が整えられている。