1.万全の管理体制と教育強化で世界標準を超えていく 2.大韓航空カーゴが切り開く 航空貨物輸送の新基準 3.トレンドを超えて最上を目指す 大韓航空の旅客事業
希少動物から美術品、大型機械まで安全かつ迅速に空輸 大韓航空が切り開く 航空貨物輸送の新基準

航空貨物業界は、世界景気の緩やかな回復と原油価格下落により需要回復が期待されている。40年以上にわたりサービスの質の高さで知られてきた大韓航空の貨物事業は、新興市場への路線網拡大、低燃費貨物機の導入などを先導するとともに、プロセスの新基準を確立した航空貨物業界のパイオニア。現在では、世界屈指の貨物取扱量を誇っている。

一元管理システムにより作業効率の向上を実現

 大韓航空の貨物事業は、輸送能力の高さに加え、業務における革新性によって世界中の顧客に支持されている。その業務を支えているのは、高度な訓練を受けたスタッフと最先端システム、そして明確に定義されたプロセスである。
 集荷された荷物は、ターミナル内で荷解きや梱包がなされ、重量・サイズ・適正温度などを考慮しながら効率よく航空機に積み込まれる。機材ごとの荷室サイズや形状に合わせてパレットに荷物を積み上げるための計画書を作成するのは、熟練のロードマスターの仕事。さらに、到着から搭載までの工程を一元管理する自社開発のシステムが、作業の効率化を支援する。

仁川貨物ターミナルで稼働する自動昇降装置

緻密な計画と熟練スタッフの正確なハンドリングによって作業が進められていく。仁川貨物ターミナルで計6台稼働する自動昇降装置は、世界最大級を誇る(写真右)。

40年の歴史に刻まれた特殊貨物輸送のノウハウ

 大韓航空が航空輸送事業で名を知らしめたのは、精密機械である半導体製造装置などの輸送実績である。また、美術品や医薬品、傷みやすい果物、危険物、希少動物など、これまでの経験と実績が生きる特殊貨物の輸送においても信頼があつい。これら特殊貨物のためには専門の担当組織を組成、特性に応じた特別管理で臨む。
 さらに現在では、リアルタイムで輸送状況を確認できるシステムの導入や、自動車や航空機エンジン、医薬品原料などの大型かつ繊細な荷送需要に対応する特別パッケージの提供など、利用者の利便性向上に取り組んでいる。

自動車空輸

自動車空輸の需要も増加しているという。秘匿性を重視する完成車やテストカーなどのために、マイクロファイバー製カバーで覆うサービスも用意されている。

スピード重視の設備は複雑化するニーズにも対応

 大韓航空は、仁川、成田、関西、ロサンゼルス、ニューヨークの各空港で自社専用貨物ターミナルを運営。2016年時点の貨物取扱総量は、トンキロベースで世界4位の規模を誇っている。
 また、国内最大規模の取扱量を誇る仁川では、年間143万トンの処理能力を持つ大韓航空専用の第1貨物ターミナル、26万トンの処理能力で特殊貨物と他社の貨物を中心にさばく第2貨物ターミナルを運営している。広々とした作業空間には倉庫とトラックプール、冷凍・冷蔵貨物保管倉庫、貴重品倉庫、動物保管室、検疫室など、多岐にわたる要求にコンテナまたはパレット単位で応じられる設備が整い、作業の効率化と時間短縮に貢献している。

貨物専用機への積み込み作業の様子

貨物専用機への積み込み作業の様子。機材の形状に合わせて梱包された貨物が手順通りに積載されていく。

変化する物流環境を捉え、さらなる事業拡大を

 2012年以降、B777F、B747-8Fなど低燃費機材を計18機導入し、路線ごとの効率的な機材運用を実施している大韓航空だが、さらに、貨物機が就航していない路線では、旅客機への貨物積載の効率化を推進。加えて、世界最大の航空貨物アライアンスであるスカイチームカーゴに加盟しているため、世界約880都市を網羅する地球規模の路線網にアクセス可能だ。
 広大なグローバルネットワークと熟練スタッフ、優れたサービス品質、多彩なオプションサービス。現在の大韓航空の目標は、独自に築き上げてきた国際競争力をさらに強化することである。そのために昨年は、グローバルフォワーダーや物流代理店とのパートナーシップも強化した。新興国や開発途上国の航空貨物需要増が見込まれる今後、その美しいブルーの機体は、ますます存在感を増していくに違いない。

大韓航空貨物機

Korean Air Report Vol.2

航空機と部品の製造、新技術の開発を手掛ける航空宇宙事業本部

(左上)釜山テックセンター、(左中左)貨物機用ドア、(左中右)釜山テックセンターの塗装格納庫、(左下)塗装ができる格納庫、(右上)整備プロセス、(右下)電子部品の点検作業の様子

①航空宇宙事業本部の拠点の1つである釜山テックセンターでは、A320neoの翼構造物も製造している。②貨物機用ドアを製造中。工程に合わせた工作機械もオリジナルで製造されたものだ。③釜山テックセンターの塗装格納庫で塗装された歴代の航空機の写真が飾られている。④国内唯一、大型航空機の塗装ができる格納庫。取材時にはB747の塗装剥離作業が進行中だった。⑤大韓航空の整備プロセスは、メーカーが推奨する基準よりも厳しく設定されている。⑥先端の検査機器を使用した電子部品の点検作業の様子。

 1969年に設立された釜山テックセンターは、1976年に航空宇宙開発部門を発足し、初の韓国製ヘリコプター500MDを完成させた。その後、数々のアメリカ空軍戦闘機の整備を請け負いながらボーイング社やエアバス社の新型航空機開発事業への協力や部品製造にも着手。現在は次世代部品の開発も手掛け、航空機の技術進化に貢献している施設である。
 整備格納庫では、独自開発したプログラムに沿って数千人の整備士が旅客機や貨物機の整備・点検・アップグレードを行うほか、韓国・アメリカの戦闘機や船載ヘリなどの整備や改造も実施。無人航空機の開発を通じて蓄積された多岐にわたる専門技術は、韓国の航空機開発産業において中核的役割を担っている。
 また、製造工場では、ボーイング社B787-9ドリームライナーの主翼に取り付けられるレイクド・ウイングチップやフラップ・サポート・フェアリングをはじめ6つの重要部品と、エアバス社A350の貨物ドア、A320neo・A330neoのシャークレット(主翼のL字型構造物)などを製造。ボーイング社の「サプライヤー・オブ・ザ・イヤー」を過去に3度受賞した実績からも、航空業界から高く評価されていることがうかがえる。
 今日、航空会社は航空機の開発において重要な役割を果たしているが、今後も大韓航空は、釜山テックセンターで行っている航空機の修理やアップグレード、電子機器・計器類などのテストやメンテナンス、次世代航空機と先端飛行制御システムの開発、人工衛星の構造物や太陽電池駆動システムの開発などを通じて、業界の発展に貢献していく。

Special Interview

岡藤 正策 氏

絶対的信頼を置く、多様化するニーズへの対応力

 阪急阪神エクスプレスの貨物事業は、経営統合前を含めると来年で70周年を迎えます。大韓航空とは1972年に東京、1986年に大阪で貨物定期便を就航させた時点からのお付き合い。以来、我が社と大韓航空は、戦略的パートナーとして相互に事業を拡大してきました。
 大韓航空は、29機の貨物専用機を保有しています。専用機にしか載らない大型貨物を任せられ、また、大量の貨物を同時輸送できるのは大きなアドバンテージ。長さ約16mのパイプ約50トンを日本から仁川経由でヨーロッパまで空輸してもらったこともあります。
 航空貨物の需要は減るといわれながら予想に反して近年増加傾向にあります。我が社も自動車や自動車部品、精密機器、半導体製造機、医薬品、医薬品原料、生体といった特殊貨物を含め、多種多様の荷物を扱っています。また、日系企業が海外拠点から第三国へ輸送するケースも増えてきました。その点でも優れた輸送能力と充実した路線網を持つ大韓航空の存在は頼もしい。今後さらに両社の関係を強化し、日本発着以外の貨物にも積極的に取り組んでいきたいと思います。
 ビジネスにおいて重要なのは、信頼関係です。我々はお客様の重要なサプライチェーンの一端を担っており、どんなときにも責任を果たさなければならない。大韓航空は、これまでの実績から納期・コスト・クオリティなど全ての面で信頼できます。また万一の有事にも頼れる良好かつ強固な関係が構築されている。この信頼関係が、お客様への良質なサービスの提供にもつながっているのです。

株式会社 阪急阪神エクスプレス 代表取締役社長 岡藤 正策 氏
000

 阪急阪神エクスプレスは、1948年に前身である阪急電鉄株式会社・阪神電気鉄道株式会社の代理店部として航空代理店業務を開始、日本初の国際航空運送協会(IATA)航空貨物取扱代理店認可を取得した、日本におけるグローバル・フォワーダーの草分け的存在だ。現在では日本、米州、欧州、東アジア、アセアンの五極体制を確立、各地に現地法人や駐在員事務所を展開している。
 その歴史とともに構築された信頼とブランド力によって、確固たる地位を築いてきた同社は、海外現地法人や提携代理店との連携により、迅速かつ安全なドア・ツー・ドアの国際輸送サービスを提供。その他にも高機能倉庫での在庫管理、流通加工、配送を含む物流コンサルティング業務、サプライチェーン構築などを支援する物流戦略サポート業務なども行っている。

巨大な木箱を大韓航空の貨物機に積載する様子

阪急阪神エクスプレスが日系企業から依頼された、大きさ1420×163×223cm、重量約7500kgの巨大な木箱を大韓航空の貨物機に積載する様子。