先進テクノロジーを見極め今こそ経営基盤の再構築を

世界経済は不確実性の度合いを強め、テクノロジーの進化はビジネスに破壊的な変化をもたらしつつある。予見不能な未来を切り拓くために、日本企業が克服すべき課題とは何か。7月1日付で KPMGコンサルティング 代表取締役社長 兼COOに就任した、宮原 正弘 氏に話を聞いた。

KPMGコンサルティング 代表取締役社長 兼 COO 宮原 正弘 氏
KPMGコンサルティング
代表取締役社長 兼 COO
宮原 正弘

技術イノベーションが業界に破壊をもたらす

昨年来、トランプ米大統領の就任や英国のEU離脱決定など、世界経済を揺るがす大きな出来事が続いている。一方で、AI(人工知能)やロボティクス、クラウド、ブロックチェーン(仮想通貨などで用いる基幹技術)といった先端テクノロジーによる破壊的イノベーションが進み、抜本的な戦略の見直しを迫られている企業は少なくない。

KPMGが今年、10カ国11業種の企業のCEO約1,300人を対象に行った「KPMGグローバルCEO調査2017」によれば、日本のCEOの約9割が「今後3年間で、技術イノベーションにより自社の業界に大きな破壊が起きる」と予測。また、日本のCEOの約8割は「自社が業界のビジネスモデルに破壊をもたらしていない」と懸念していることが明らかになった。

「破壊的テクノロジーの活用が進む中、日本企業にも『自らイノベーションを起こさなければ、3年後には顧客を失うかもしれない』との危機感が広がっています。その背景には、最新テクノロジーに対応するための人材や知見、他社とのアライアンス等を含む戦略の見直しが十分でないとの認識があるためです」

こうした懸念を裏付けるかのように、グローバル市場ではイノベーションにより新興企業が台頭し、従来の市場を席巻しつつある。たとえば、配車サービス『Uber』は、依頼から決済までネットで完結できる手軽さが受け、70以上の国や地域で事業を拡大。一般人が副業として乗客を輸送でき、タクシー業界のビジネスモデルを揺るがしている。

「スマートフォンと地図アプリなどの新しい技術の活用によって、参入障壁が失われたのです。テクノロジーとアイデアの融合が、Uberという新しいビジネスモデルを生み出しました。既存のビジネスモデルにしがみついていては顧客を失いかねない——。そんな危機感を多くの日本企業が抱いているにもかかわらず、先手を打てずにいるのが実情です」

また「日本のCEOの約8割が、自らの経営判断の基となるデータの品質に懸念を示している」ことも明らかになった。その理由は「経営のグローバル化の遅れ」にあると宮原氏は指摘する。

「日本企業は海外に生産・販売会社を設立していますが、欧米企業並みのグループのガバナンス・コントロールを確立している企業は少数です」

日本のグローバル企業の場合、各国間で内部統制や会計基準、情報システムなどが標準化されていないケースが多く、経営陣が正確かつタイムリーにグループ全体の情報を入手することが難しい。「日本企業と欧米の先進企業との差を広げないためにも、経営インフラのグローバル化が急務です」と、宮原氏は警鐘を鳴らす。

さらに、リスクマネジメントに関しても特徴的な結果が見て取れる。日本のCEOが最も懸念するリスクを前年と比較したところ、「レピュテーションリスク/ブランドリスク」と「サイバーセキュリティリスク」が上位に急浮上した。社会的信用の失墜が企業の存亡を左右するという認識が広まると同時に、企業に対するサイバーアタックが深刻な事態を招きかねないというCEOの不安が浮き彫りとなった。

「たとえば、原子力発電所や自動運転自動車の制御系システムがハッキングされたらどうなるか。急速なデジタル化によって、そうした不安が現実のものとなりつつあります。こうしたリスクを解消するために、新たな観点でのリスクマネジメントの強化が必要です。企業の成長を支える、前向きなリスクマネジメントが求められているのです」と宮原氏は語る。

AIなどの技術を駆使して顧客のビジネスモデルを検証

こうした企業のニーズに応えるべく、KPMGコンサルティングでは「先進テクノロジーの活用」「経営グローバル化」「リスクマネジメント」という3つの観点から、企業のビジネス変革を支援する。先進テクノロジーに関しては、AIT(Advanced Innovative Technology)というビジネスユニットを組成し、顧客の課題解決への活用のための実証実験を行っている。同ユニットでは、NASAで活躍していた航空宇宙工学の専門家や、工学博士号の取得者など多岐にわたる技術者を採用し、イノベーションを起こしうるテクノロジーを活用したビジネスモデルの検証などに注力しているという。

「AITチームでは、『こんなビジネスを始めたいが、AIの活用について検証できるだろうか』というお客様との議論から生まれたアイデアをベースに実証実験を行います。この実験を通じて、まずはアイデアの実現可能性を検証。有望と判断すればプロジェクト化し、確度を高めて実現に向け動き出すことができるのです」

今後はこの取り組みを拡充して、各サービスラインやセクターとの連携を強化していく仕組みを作りたい、と宮原氏。「今後も引き続き、戦略上のさまざまなアイデアに先進テクノロジーを組み込みながら、ビジネスモデルやオペレーションの変革の実現をサポートしていきたい」と、力強く語る。

こうした同社の能力と体制が評価され、IT専門調査会社の米IDCによる「IDC MarketScape評価」において、KPMGは世界4大会計事務所の中で唯一、「世界的なデジタルトランスフォーメーションおよびSIサービス2017年ベンダー評価」分野のリーダーポジションに位置づけられた。

「KPMGの強みは、企業経営における先進テクノロジーの適応力、会計事務所として培われたリスクマネジメント能力と世界152カ国で展開するKPMGのネットワークを活かしたグローバル対応力です。この強みを武器として、戦略立案だけで終わりではなく、実行支援までをワンストップで提供してまいります」

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