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自動車評論家フェルディナント・ヤマグチ氏、ついにトラクタも乗りこなす? クボタの新製品展示会へ潜入!
飯田 聡

クボタ 取締役専務執行役員・研究開発本部長。1980年 久保田鉄工(現クボタ)に入社。2003年 建設機械事業部長、04年 クボタヨーロッパS.A.S社長(フランス)、09年 クボタトラクターCorp.社長(アメリカ)などを経て、15年から専務執行役員を務める

フェルディナント・ヤマグチ

自動車評論家、コラムニスト。一般企業に勤める傍ら、自動車に関するコラムなどを執筆し人気を博す。現在では講演やテレビ・ラジオへも活動の幅を広げている。著書に『仕事がうまくいく7つの鉄則 マツダのクルマはなぜ売れる?』(日経BP社)など

研究開発本部 デザインセンター デザインチーム長 東川 嘉孝氏

1998年入社。クボタデザイン部門で、仕事をする機械としての本質的な価値を持つ機能美を追求している。「クボタ製品を見て、触れて、乗っていただく世界中のお客様に、“頼もしい相棒”としての信頼と、所有する喜びや感動、そして誇りをお持ちいただけるような、製品づくり」を常に意識し、デザイン開発に取り組んでいる

クボタ展示会 ニューフェイス・コレクション
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「細部まで突き詰めてシンプルにまとめた機能美。クボタのデザインへのこだわりが各マシンの“顔”からも伝わってきます」(フェルディナント氏)

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欧州で2019年から施行が予定され、PM粒子数も規制される排ガス規制Stage V。クボタはこの厳しい排ガス規制をクリアし、高いパフォーマンスを発揮するディーゼルエンジンを開発。コンパクトなサイズと優れた搭載性を誇る

KSAS クボタスマートアグリシステム

農業機械に最先端技術とICTを融合させたクラウドサービス。スマートフォンを使ってKSAS対応農機とも連携でき、より確かな農業経営をサポートする。農業経営の見える化で農作業の効率を上げ、生産性の向上をサポートする基本コース月々3500円~。KSAS対応機と連動し、品質・収量の向上と順調稼働をサポートする本格コース月々6500円~

KSIS クボタスマートインフラストラクチャシステム

クボタがこれまで水環境分野の総合機械メーカーとして培ってきたノウハウを生かし、機器の監視から診断の一連の業務サイクルにIoTを活用することで、施設の維持管理の簡素化を図るシステム。グループ各社が一体となって、遠隔監視データに基づくライフサイクルコストを考慮したソリューションを提案する

最新の農機が勢ぞろいするというクボタの展示会が京都市で開催された。「乗り物のことなら」と白羽の矢が立ったのが、日経ビジネスオンラインの人気コラム『フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える』のフェルディナント・ヤマグチ氏(以下、フェル)。「これまでの人生で一度も農機に触れたことはございません」というフェル氏だが、準備真っただ中の展示会前日に潜入。なんと、クボタ取締役専務執行役員・研究開発本部長 飯田聡氏が迎えてくれた。

実はグローバルな大企業だった

フェル:「潜入」なぞと言いながら、こんな目立つマスクで申し訳ございません。ですがせっかくの機会ですから、飯田専務にいろいろとお話を伺いたいと思います。巨大なトラクタやロボット的なモビリティーがずらりと並ぶ様子は壮観の一言。これを見てテンションが上がらない人はまずいないでしょう。私、自動車業界についてはそれなりに知見があるつもりですが、恥ずかしながら農機についてはまったくの門外漢です。のっけから失礼なことを伺いますが、クボタは業界では何番手に位置するのでしょう?

飯田:農機事業でクボタは国内シェア1位です。第2次大戦後食糧難の時代から、トラクタやコンバイン、田植機のリーディングカンパニーとして農業の効率化・軽労化に努め、海外でもトラクタは農業のほか、芝刈りや軽土木作業などの多用途に利用されています。国内から海外へ、稲作から畑作へと飛躍してきました。

フェル:売り上げはいかほどでしょう。

飯田:およそ1兆6000億円です。

■事業別売り上げ
■地域別売り上げ

フェル:えっ!? 私がコラム書き散らかしている出版業界の全ての売り上げを合わせた金額とほぼ同額じゃないですか! クボタは文字通りの巨大企業! 不勉強、恐縮至極です。

飯田:いえいえ。皆さんに驚かれます。もう1点、よく驚かれるのは、農機事業の売り上げは実は全体の約半分であること。他に建機、エンジン、パイプ、水処理などの事業があり、機械関連が約80%、水・環境関連が約19%となっています。実は、水道管の国内シェアも1位です。

フェル:まさか毎日利用している水道でもクボタにお世話になっているとは。海外に出られているということですが、どこの地域に強いのですか?

飯田:北米、アジア、欧州の順で、海外が売り上げの約66%を占めています。

フェル:もう完全なるグローバル企業じゃないですか! そういえば、昨年、フランスのクレルモン=フェランにあるミシュラン本社を取材した際、現地の副社長に日本企業の得意先は? と聞くと、迷わず「クボタ!」と答えたんです。正直そのときはピンとこなかったのですが……なるほど、納得です。お、このタイヤもミシュラン製。

飯田:これは約7トン170馬力のトラクタ「M7シリーズ」です。乗ってみますか?

フェル:ぜひ!

かくも奥深い農機のものづくりの世界

フェル:キャビンは全面大きなカーブドガラス。視界が極めて良好ですね。斜め前方のマフラーが支柱の背後に隠れるように配置されているのも気が利いています。ステアリングが高級セダン並みに軽く、前輪と地面をしっかり視認できるのはフォーミュラカーのよう。シートの座り心地も驚くほど快適で、サスペンションはシート、キャビン、フロントにそれぞれエアサスが3段階で付いている。これは運転しやすそうだ。農機というと簡素で武骨なイメージがありましたが、目からウロコが落ちました。

飯田:農機は、ある意味、乗用車よりも快適性が求められるのです。1日12時間以上運転することもあり、夜間作業が必要なこともあります。長時間快適に作業できるように、正確な作業をするための視界性や操作性の良さはもちろん、居住性にも徹底的にこだわっています。エアコンは必須ですし、外部環境からキャビン内を守る粉じん対策もハイレベルに求められます。

フェル:デザイン性の高さにも驚きました。機能性を追求しながら、カッコよさやオーナーがいかに愛着を持てるかという面を重視しているのが伝わってきます。自動車ではデザインを外注することもありますが……。

飯田:全て社内のデザイナーがデザインしています。当社は単に農機をつくるのではなく、農家の方々の営農に寄り添うことを大切にしています。技術面もデザインも農家の方から入念にヒアリングしながら突き詰めていきます。デザイナーは開発テーマごとに市場である現場に直接足を運び、クルマで何週間もかけて世界各地の農家を回って調査しています。今回の「M7」はグッドデザイン賞など国内の賞だけでなく、“デザイン界におけるオスカー賞”とも言われるiF DESIGN AWARD 2017も受賞しました。欧州の国際農業ビジネスショーではマシン・オブ・ザ・イヤーに輝くなど、国内外で高く評価されています。

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最大170馬力の大規模畑作用トラクタ「M7」シリーズは、2016年グッドデザイン賞を受賞したほか、世界のiF DESIGN AWARD 2017に輝くなど国内外で高い評価を獲得

フェル:デザインが奇をてらったものではなく、普遍性のある機能美が追求されているように感じます。どこかマスクっぽい“顔”にも、個人的には非常に親近感を覚えます(笑)。

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乗車するなりフェルディナント氏が「これは欲しい!」と叫んだユーティリティーヴィークル。北米では公道の走行が可能で、狩猟愛好者などに人気の1台

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フェルディナント氏が乗ると、途端に世紀末感が漂うコンパクトトラックローダ

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様々な計器が並ぶ様子は飛行機のコックピットのようだ

IoT活用による農業ソリューション

フェル:もう一つ驚いたのはキャビンのハイテク感です。様々な計器が並ぶ様子はまるで飛行機のコックピットのようです。これは運転だけではなく、作業の管理や操作も行うためですね。ICTもかなり導入されているように見受けられます。

飯田:はい。農機とICTとの連携、とりわけ農機のIoT化は当社が注力している分野です。クボタの農機事業は単に機械をつくることではなく、営農のソリューションを提供することです。機械による作業効率化は、生産コストの低減、規模の拡大に寄与し、農家の収入アップを支えます。営農と機械の連携にIoTを掛け算すると、ソリューションの幅は一気に広がります。その一つが農機の自動運転です。

フェル:確かに自動運転が実現できれば、他の作業ができますし、作付け計画や収穫物の販売戦略を練るなどクリエーティブなことに時間を使うことができます。クボタも自動運転を目指しているんですね。

飯田:現在、人の監視下において、田畑の中で人が運転に関与しない自動運転を実現しています。

フェル:えっ! そうなんですか。

飯田:でも、道路じゃないから簡単だろうなんて思っていたりしませんか?

フェル:……は、はい子供が急に飛び出してもこないでしょうし……。

飯田:そうですよね。でも、想像してみてください。ガイドとなる中央線も前を走る車もない広い田畑の悪路を真っすぐに走らせて、しかも同時に、“耕うん、田植え、収穫”など様々な作業をさせなければいけません。

フェル:あっ、考えてみれば確かにそうですね! 条件は道路より過酷だ。え? でも、一体どうやって実現しているんですか?

飯田:それは、あとで実際にデモをご覧いただきましょう。

フェル:見せてもらえるんですか? それは楽しみです。ところで、農業は長年の経験と勘の世界ですよね。IoTはそのあたりの曖昧で脆弱(ぜいじゃく)だった知見の継承にも役立つのでは?

飯田:はい。その土地その土地の科学的データに基づく最適な農業が実現できれば、収量のアップだけでなく競争力のある農産物づくりが可能となります。クボタは収穫と同時に収量と食味を分析し、データを見える化するシステム「KSAS(クボタスマートアグリシステム)」を開発し、運用をスタートしました。スマートフォンの操作によって、土地に合わせて自動で肥料をまくといった作業が可能となっています。

フェル:農業で“先端技術”というと、バイオテクノロジーばかりが喧伝(けんでん)されますが、決してそれだけではない。耕作の現場でのIoT化が最先端の農業ソリューションを提供する。とても未来を感じるマーケットです。

エンジンまでコア部分を全て作るこだわり

フェル:開発拠点はどこにあるんですか? 失礼ながら、国内で農家に営業をかけている会社かと思っていましたが、まさか世界中が舞台とは……。

飯田:日本、北米、中国、タイ、欧州にあります。農機や建機、水環境関連技術は使用条件など変動要素が多いため、地域密着型の研究開発・生産に努めています。なお、個別の課題に対応したソリューションを提供するために、コア技術の内製化を徹底しています。エンジン、トランスミッション、無段変速機、油圧機、電子機器、キャビン……これも意外と知られていないことですよね。

フェル:エンジン供給をされていることも知りませんでした。農機や建機だけでなく、欧州ではクボタエンジンを搭載したクルマも走っているんですね。

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クボタの農機・建機の心臓部を研究開発するエンジン事業部のチーム。クボタのものづくりは、彼らのようなエンジニアたちの果敢なチャレンジと地道な取り組みに支えられている

食料・水・環境の事業で世界の課題に応える

フェル:それにしても鋳鉄製の水道管のなんとまあデカいこと。クボタが水道管をつくり、それが国内はもとより海外でも敷設されているとは知りませんでした。国内では全国的に水道管が更新時期を迎え、大きな需要が予測されていますね。水環境分野もIoT活用の余地がありそうです。

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農機メーカーとしてのイメージが強いクボタだが、明治26(1893)年に国産初の水道管を開発し、日本の近代水道の普及に貢献。現在では、耐震管や大口径管などが海外の水インフラでも採用されている。

飯田:ええ。水環境分野においてもIoT技術を活用して、製品やプラント機器単体から、システム・アフターサービスまでトータルソリューションサービスを提供するシステム「KSIS(クボタスマートインフラストラクチャシステム)」を開発し、今年4月からサービスを開始します。

KSIS クボタスマートインフラストラクチャシステム

フェル:クボタは食料・水・環境の事業で世界の課題に応えてきた会社であることが分かりました。展示会では特に食料や水といった人間の暮らしのエッセンスにIoT技術の活用でソリューションを提供しようという明確な意思が感じられます。

飯田:当社のスローガンは「For Earth, For Life」。次世代の豊かな暮らしをIoT技術で支えていきます。それでは、圃場(農作物を栽培する田畑)でその一端をご紹介したいと思います。

フェル:論より証拠。展示会の潜入取材は、いざ、圃場でのデモ編へ!

フェルディナント・ヤマグチ氏、自動車評論家から農家に転身? クボタの農業IoT化の最前線に迫る。 - 日経テクノロジーオンラインSPECIAL
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