常磐自動車道に交差する幹線道路を流山インターチェンジから北上すると間もなく、広大な造成地と建設現場が現れる。大和ハウス工業が総合計画の立場で進めてきた物流施設「DPL流山」(別項参照)の開発区域である。2017年5月に追加取得した土地を含めると、2022年には複数棟で総延べ床面積約71万5000m²と、国内最大級の規模になる。

人手不足の中、従業員確保へ 託児所など就労環境の整備も

日通総合研究所 コンサルティング・サービス・ユニット プリンシパルコンサルタント 赤尾 幸彦氏
日通総合研究所 コンサルティング・サービス・ユニット プリンシパルコンサルタント 赤尾 幸彦氏
日通総合研究所 コンサルティング・サービス・ユニット プリンシパルコンサルタント 赤尾 幸彦氏
日通総合研究所 コンサルティング・サービス・ユニット プリンシパルコンサルタント 赤尾 幸彦氏

災害発生時の早期復旧を可能とする免震システムを導入するなど、高い機能を誇る。さらに、施設内には託児所やカフェ、コンビニエンスストアを設ける予定だ。テナント企業の従業員が働きやすいように、サービスや施設を充実させて質の高い労働環境を整えることが、これからの物流施設開発において欠かせない取り組みになっている。

物流業界ではいま、人手不足が深刻な課題だ。図1のグラフは、厚生労働省「労働経済動向調査」を基に常用労働者の過不足感がどのように推移してきたかをたどったもの。運輸業・郵便業は調査対象の全20産業平均に比べ、人手不足感が一貫して強いことが分かる。

これに拍車を掛けているのが、物流件数の増加である(図2)。0.1t未満の小口貨物が大幅に増加したことによって、件数ベースの物流量は増えていることが分かる。これはつまり、仕分けや配送などの作業手間が増えていることを意味する。

もちろん、対応策は取られてきていた。それは例えば、物流施設の立地を決める段階で労働力を確保しやすそうな場所を選ぶということだ。日通総合研究所コンサルティング・サービス・ユニット プリンシパルコンサルタントの赤尾幸彦氏は「新しい施設はパートの就業者を確保しやすい立地に整備する傾向がみられます。おおむね半径2km圏内にパート就業者の供給源となる人口規模があるかという点が一つの目安です」と指摘する。

もう一つ、課題に対応する形でますます進んでいくのが、物流機器や物流ロボットを活用した自動化・省人化である。「とりわけ通信販売の事業者は切迫感が強く、人工知能(AI)を活用した自動仕分け機器やロボットの採用、自動化・省人化に向けての先駆的な取り組みを進めています」(赤尾氏)。

図1/常用労働者の過不足状況
図2/物流件数の推移(流動ロット規模別)
CASE STUDY
DPL流山 Ⅰ(千葉県流山市)
概要
DPL流山 Ⅰ(千葉県流山市)
(提供:大和ハウス工業)
国内最大級の「高機能」施設 エリアを絞り、適地を創出

大和ハウス工業が、千葉県流山市内で現在建設中の物流施設「DPL流山Ⅰ」は、東急リバブルがパートナー企業と組み立てたスキームの中で開発されてきた。耕作放棄地を含む第一種農地を転用して約19万5000m²の開発用地を確保し、1棟目となる「DPL流山Ⅰ」が2018年3月にも竣工する。

2017年5月には、隣接の土地約15万9000m²も追加取得した。総開発区域面積約35万4000m²の敷地に、複数棟で延べ床面積約71万5000m²の倉庫を2022年にも完成させる。東京ドーム15個分を超える国内最大級の規模を誇る。

開発区域は、常磐自動車道の流山ICから約2.4kmの距離にあり、県道沿いで農地が広がる一帯だ。東急リバブルが中心になって300人近い地権者との不動産売買契約を取りまとめ、開発事業に必要な農地転用許可と開発許可等の手続きを進めてきた。

東急リバブルソリューション事業本部事業戦略部長の菊池秋雄氏は開発事業に取り組んだ経緯をこう振り返る。「大型で最新設備を備えた物流施設へのニーズに応えようと、都心から30km圏までのエリアに絞って適地を探したのですが、まとまった用地が見当たらなかったため、各種許認可取得を前提に、インター至近の農地をまとめることにしました」

「DPL流山Ⅰ」には、長さ約12.2m×幅約2.4m×高さ2.6mのコンテナを積載した40フィート車が直接、各階に乗り入れることができるランプウェイを2基設置するほか、荷物の積み下ろしに用いるトラックバースを合計276台分用意する。

このほか、テナント企業従業員の就労環境を整える狙いから、施設内には託児所やカフェテリアなどを設置。近隣市域からの通勤利便性を高めようと、乗用車用駐車場を約400台分確保した。近隣主要駅と施設を結ぶシャトルバスの運行も計画している。

また、周辺農地の浸水対策として機能する、調整池(約5万9000m³)を設け、県道沿いには、将来30m近くまで成長が期待されるメタセコイアの並木を配し、市道沿いは桜並木とするなど、環境及び景観上も配慮された計画となっている。