グッドキャリア企業アワード2 0 1 7

イノベーション賞 人材開発統括官表彰

自社における重要課題に取り組むため、労働者の自律的なキャリア形成支援について、
対象者、取組手法等を重点化してキャリア支援を展開し、
人材育成、ひいては企業経営上の具体の成果に結びつけるなど、
特に他の模範となる取組を推進し、その成果が認められる企業5社を表彰。

  • 秋田製錬株式会社
  • 有限会社ウェルフェア三重
  • 島根電工株式会社
  • 社会医療法人財団董仙会
  • トラスコ中山株式会社

自己効力感を高めるキャリア支援により若手従業員の定着を実現

秋田製錬株式会社

秋田製錬株式会社

所在地:秋田県秋田市 業種:非鉄金属製造業 従業員数:201人

    • 既存の取組にキャリアコンサルティングの要素を取り入れた仕組みを構築
    • 人材育成活動と業務計画を連動させた面談やジョブローテーションを実施
    • 新入社員に対しては、先輩社員をロールモデルとしたメンター制度を適用
    • 6年連続で高卒入社3年以内の離職率0%を継続中
    • 「改善提案」が活性化し、月2件/人の目標を上回る月3.68件/人に向上
    • 事務局発足前年の生産量約15万t/年から昨年の21万t/年へと労働生産性UP

 「モノづくり」は「人づくり」をモットーに、2011年度より「人財育成」活動を開始。「改善提案」や「小集団活動」「S分科会」を行うものの、「指示待ち」状況が続いた。そこで、キャリアコンサルティングの視点による振り返りや自省の要素を取り入れた仕組みを構築し、人材育成活動と業務計画を連動させた面談やジョブローテーションを実施。一人ひとりの価値観に合わせた個人的目標の設定と達成を目指した。また就職活動者に対してはRJP(Realistic Job Preview)を行うほか、新入社員に対してはメンター制度を適用。結果、活動の振り返りと次の目標設定の好循環が生まれ、従業員の高い定着率や、製造業に欠かせない活発な改善提案、労働生産性の向上へとつながった。
 同社取締役の富樫健一氏は、受賞の喜びを語るとともに「今後も従業員が“人財”という会社の財産になるよう大切に育てていきたい」との決意を表した。

秋田製錬株式会社 取締役 富樫健一氏

秋田製錬株式会社
取締役 富樫健一氏

審査評

高卒入社の5割は3年で辞めるといわれる中、離職率0%を6年間も継続中。この数字はまさにキャリア形成支援の取組の成果。会社に対する高い信頼の表れといえます。(北浦氏)

誰もが学べる社内スクールを組織し、「個の向上」を大切にした研修を実施

有限会社ウェルフェア三重

有限会社ウェルフェア三重

所在地:三重県伊勢市 業種:老人福祉・介護事業 従業員数:107人

    • 職員教育専門組織「ウェルフェアアカデミー」の運営による、多彩な研修を実施
    • 外部研修の受講料などを一部負担し、各種資格試験合格者に祝い金を支給
    • 6等級の検定制度を新設し、給与や報酬・賞与に反映
    • キャリア形成に対するマインドと職員の定着率が向上
    • 研修の様子を発信することで外部評価が向上。入居者や家族の安心材料に
    • 2014年度の職員定着率85.8%から、2016年度は95.3%に向上

 「目指せ! 個の向上」をスローガンに、社内の職員教育専門機関「ウェルフェアアカデミー」を組織化。業種の枠にとらわれず、個人が多様な角度からスキルアップできる研修が好評で、現在9割を超える職員が受講する。研修を受けた職員が各施設で学んだ内容をフィードバックする「伝達講習」により、個とチームの成長に役立つシステムを構築。さらに、資格取得に直結し、給与にも反映される検定制度を実施し、がんばる職員が正しく評価される風土を醸成している。
 研修の様子をSNSなどを通じて幅広く発信することにより、外部からの評価も向上。入居者やその家族にとっては、職員の技術や知識が深まることが安心材料にもなっている。職員の定着率向上にもつながり、2016年度は95.3%(単年度算出)を記録した。代表取締役の西村昭徳氏は、「日々介護業務に努める全職員に感謝したい」と受賞の喜びを語った。

有限会社ウェルフェア三重 取締役 富樫健一氏

有限会社ウェルフェア三重
代表取締役 西村昭徳氏

審査評

社内スクールを活用した全体の能力開発と「個のケア」を評価。中でも「伝達講習」は、伝える、まとめる、表現する能力を磨く最大の能力開発手法として注目しています。(北浦氏)

宿泊研修や専属指導体制を整備し、若手の成長意欲に応えるキャリア支援

島根電工株式会社

島根電工株式会社

所在地:島根県松江市 業種:電気工事業 従業員数:380人

    • 若年社員対象の宿泊集合研修を実施し、専門知識や技術の継承と仲間意識を醸成
    • 若手先輩社員による専属の指導・支援体制を整備
    • 業務評価基準や資格取得一覧表を整備し、個々のキャリア形成の指標に活用
    • 定期的な集合研修が、自身の振り返りやキャリアを見つめ直す好機に
    • 後輩指導を通じて、若手先輩社員自身もさらなる成長を実現
    • 「育てる」「支援する」組織文化の定着が、離職率の低下に寄与

 同社の社員教育は、1963年に中学卒の若手社員を青年高等学院の夜間授業に参加させたことにさかのぼる。1970年には、先輩社員による専属の指導・支援体制「B.B(ビッグ・ブラザー)制度」を整備。これは、入社3年目までの若年社員全員に対し、若手先輩社員を専属の指導役につけるOJTの取組で、技術的な指導のみならず、悩みや相談に応えるなど公私ともに手厚いフォローを行うのが特徴だ。
 「当社では入社から3年間で計10回、延べ45日間の宿泊集合研修を実施。専門知識や技術はもちろん、経営理念の理解や働く意欲の促進など総合的な学びの場としています」と代表取締役社長の荒木恭司氏。同期が一堂に会することで仲間意識を醸成し、より効果的な成長土壌をつくり上げているという。その成長意欲は、離職率の低下に結実している。

島根電工株式会社 代表取締役社長 荒木恭司氏

島根電工株式会社
代表取締役社長 荒木恭司氏

審査評

独自のB.B制度により、互いに顔の見える形で育成と支援を実現。相談役となった先輩社員の成長も促され、支援する側・される側双方のキャリア形成につながる成果を生み出しています。(北浦氏)

「知の創造」「技の熟練」「職の進化」の3本柱でキャリアビジョンの実現を支援

社会医療法人財団董仙会

社会医療法人財団董仙会

所在地:石川県七尾市 業種:医療業 従業員数:1355人

    • 外部の専門家の協力も得て、仕事の成果を学会で発表すること等を推奨(知の創造)
    • 能力の段階的成長を昇格・昇給に反映する仕組みを構築(技の熟練)
    • 目指す姿を実現できるキャリアチェンジの機会を提供(職の進化)
    • 2016年度に発表した論文は64編、学会発表は169題
    • 専門医、認定看護師等、累計822人が能力の段階的成長を達成
    • 14人が経営管理職へキャリアチェンジ、50人以上がシニアイノベーターに

 職員が自らの目指すキャリアを主体的にデザインできるよう、キャリアデザインプロジェクトとして「知の創造」「技の熟練」「職の進化」を推進。「『知の創造』では、外部専門家の協力を得ながら、仕事の成果を論文や学会発表としてまとめることを推奨。『技の熟練』では専門知識やスキルなどの段階的な成長を支援。また、医療・介護現場で養った知識を生かし、経営管理職として活躍する『職の進化』=キャリアチェンジの機会も提供しています」と、理事長の神野正博氏は説明する。
 2015年には、研修施設「Keiju Innovation Hub」を開設。高度な研修や公的資格の取得を可能とし、医療従事者のレベルアップを目指す拠点として注目されている。また、「職の進化」においては、他社からの転職者もシニアイノベーターとして活躍できる機会を設け、人材の充実を図っている。

社会医療法人財団董仙会 理事長 神野正博氏

社会医療法人財団董仙会
理事長 神野正博氏

審査評

3本柱の中でも注目すべきは、ステージを上げた社員に対して新しい仕事を提供する「職の進化」。ヘルスケアの新しい担い手を生むシニアイノベーターの仕組みも秀逸な取組だと評価されます。(北浦氏)

従業員主体の職掌選択制度や「白紙の部屋研修」で自律性を育む

トラスコ中山株式会社

トラスコ中山株式会社

所在地:東京都港区 業種:機械器具卸売業 従業員数:2511人

    • 従業員が主体的に6つの職掌から働き方の選択が可能
    • 定期的なジョブローテーション、部門をまたぐ人事異動により広い視野を持った自律型人材を育成
    • 従業員が事業活動の拡大に向けて「提言」できる「白紙の部屋研修」を実施
    • 「ボスチャレンジコース」に立候補し、責任者を目指す女性社員が増加
    • 研修で他職掌の社員に刺激を受け、職掌を変更するなど働く意欲に変化も
    • 「白紙の部屋研修」の提言が、独創的な事業イノベーションを生む契機に

 「50年以上にわたる会社人生を豊かにするために、社員の成長を支援し続けたい」という、専務取締役の中井孝氏。そのための施策として、従業員が主体的に働き方を選択できるよう、6つの職掌を用意。オールラウンド職種か専門職か、転居を伴う異動が可能かどうかなど、働き方を自分で選べる制度としている。一定基準を満たせば、職掌変更も可能だ。さらに、ジョブローテーションや平均5年を目安とした人事異動を行い、様々な職種を経験することで、広い視野を持った自律型人材の創出につながっている。
 ユニークな取組としては、会社が付与する「軍資金30万円」を使い、会社をさらに発展させるために自身の考案したテーマに1カ月間取り組む「白紙の部屋研修」も実施。若手からベテランまで誰でも応募できる。事業活動のイノベーションを創出するために、考え続け、行動する社員を育成する。

トラスコ中山株式会社 専務取締役 経営管理本部長 中井孝氏

トラスコ中山株式会社
専務取締役 経営管理本部長 中井孝氏

審査評

高齢化のためのキャリア形成をどう考えるかは今後の重要課題。それに真っ向から取り組み、また「白紙の部屋研修」のような興味深い取組を実施している点がユニークです。(北浦氏)