Mixed Realityから始まる産業革命

マンション開発から販売老朽化物件の建て替えまでMixed Reality で新たな価値を

不動産のプロ集団として、経験・知見を総動員した広範なソリューション提供を行っている新日鉄興和不動産。マンション開発~販売~建て替えのライフサイクル全般を担う同社の住宅事業担当者らが「 VR や AR 活用の機が熟し始めた」として、日本マイクロソフト本社を訪問。VR や AR からさらに一歩進んだ Microsoft HoloLens の Mixed Reality(複合現実)を体験した。施工品質向上や販売提案の新たなアプローチに加え、高齢化社会・老朽化社会における物件建て替え時の課題解決など、彼らが Microsoft HoloLens に見出した可能性とは?

現実世界を基盤とする複合現実の強み

―実際に Microsoft HoloLens を体験した素直な感想を伺えますか?
新日鉄興和不動産株式会社
住宅事業本部
開発第三部 開発第二グループ
和田 浩明氏
和田:当社でも VR 導入を検討中の案件がありますが、本格的な活用はこれからです。今日は VR とは違う Mixed Reality(以下、MR )が体験できると聞いて、楽しみにしてきました。Microsoft HoloLens は、まず操作が簡単なのに驚きました。指先のジェスチャーだけで扱えるので、誰でもすぐに操作を覚えられます。これなら導入や展開もスムーズに進みそうです。
新日鉄興和不動産株式会社
住宅事業本部 マンション再生部
再生コンサルティンググループ マネージャー
太田 輝之氏
太田:私は 3DCG の画像精度の高さに感心しました。ドットも見えずリアルです。これまでの VR は、ちょっとチープな感じが否めませんでしたが、Microsoft HoloLens は実空間の中に、そこには存在しない物体、例えば家具などが本当に置いてあるように見えます。PC のディスプレイの中で見るのではなく、1/1の“原寸の世界”に実際に自分自身が入って体感できるので、説得力がある。この感覚は今までなかったもので、いろいろと活用が考えられそうです。

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Microsoft HoloLens は使う人に最適なサイズにバンド幅を調整できる。メガネをかけたままで活用できるので利用者を選ばない。

代表的なジェスチャー「エアタップ」。マウスのクリックに相当する操作で、これだけでほぼすべてのアプリケーションを操作できる。

目の前で手のひらを上に向けてパッと開く「ブルーム」というジェスチャー。実行中のアプリケーションを終了する時に使う。

Microsoft HoloLens 体験の様子。人体モデルが目の前に出現するアプリをはじめ、様々なアプリを体験した。

マンション開発~建設段階から効率化を推進

-「こんな風に使えそうだ」と感じたことを教えてください。設計・施工フェーズではいかがですか?
新日鉄興和不動産株式会社
住宅事業本部
CS推進部 品質管理グループ 部長代理
貝森 威司氏
貝森:現在、業界では設計~建築段階のデジタルデータを営業や販売、修繕などの全プロセスに持ち回り、ビジネス全般の合理化を図るための BIM( Building Information Modeling )や CIM( Construction Information Modeling )などが進められています。「 MR は、さらにその一歩先を行っている」と感じました。Microsoft HoloLens はカメラを内蔵し、ネットにも接続できるので、まず用地取得検討時に、担当者が現地のライブ映像を社内の上司に送って判断を仰ぐ、という使い方ができますね。現状に則して迅速な意思決定を支援する手法として、かなり役に立ちそうです。
和田:用地取得段階でさらに言いますと、隣地との離隔などを含めた現地情報を撮影・スキャンして把握。季節や時間帯による景観変化なども、事前にシミュレーションできますね。
太田:施工中の各段階のリアルな姿に、次工程や完成後の CG を重ね合わせることで差分を発見し、ミスや問題点の芽を事前に摘みとる、という対策もできそうです。現在、進捗チェックは図面にメモを記入したり付箋を付けたり、現場にテープを貼ったりして行っていますが、録画機能を使って、工程ごとのチェック結果を時系列に記録していけば、施工の効率性と精度アップが同時に実現するでしょう。
貝森:図面や書類、PC にタブレットなど、現場にあれもこれも持っていくのは大変です。その点 Microsoft HoloLens なら、携行するのは1つのデバイスだけで OK になります。また、今後 MR の活用を企業方針化してお客様にも提示し、「当社は最先端技術を駆使してミスの排除や精度追求を進めています」というアピールができれば、企業の信頼やブランド力強化にも役立ちます。『 HoloLens チェック・アイ』とでも名付けましょうか(笑)。データ共有とその可視化によって設計事務所やデザイナー、ゼネコンと私たちを横串して、工程間の手戻りやロスを排した新しいビジネスのカタチが生まれてくるんじゃないでしょうか。

モデルルームであらゆる世代に納得の提案を

―それでは、顧客に対面する販売最前線での活用という面ではいかがですか?
和田:分譲マンションの販売方法は大きく、完成前に棟外にモデルルームを設営してご覧頂くケース、そして完成後に建物内のモデルルームを見ていただくケースに分かれます。まず前者の場合ですが、分譲マンション最大のメリットのひとつは、カスタマイズ性にあります。施工する前だからこそキッチン天板やカラースキームなどを色々と選べる。しかし、自由に変更ができるということは、「まだカタチのないものをイメージして購入していただく」ということでもあります。ですから、お選びいただいたクロスが貼られた姿や、家具をレイアウトした状況を視覚的に把握していただければ、こちらも販売しやすい。お客様と私たちの Win-Win の関係を築くツールとして期待できそうです。一方後者の場合は、完成した実際の部屋をモデルルームに設定して見ていただくわけですが、全ての部屋に家具を置くわけにはいきません。そこで Microsoft HoloLens を活用すれば、例えば女性向けのインテリアしかなかった場合でも、男性向けのインテリアを置いた状態を複合現実で具現化して、その空間を自由に歩いていただくことができます。1つのモデルルームで、多様なお客様へのご提案が可能になるでしょう。
太田:調度やインテリアは、お客様のライフスタイルやご趣味によってそれぞれユニークです。またサイズや置き方も、当然お客様ごとにさまざまです。Microsoft HoloLensは、次々と自在に変更して可視化できる点が魅力ですね。それを、1/1のリアルサイズで体験できる手段は MR 以外ありません。マンションのご購入時はもちろん、ご購入前や後々のリフォームの際にも、実際の居住空間の中を歩きながら、改築後の間取りや新しい家具を置いたイメージが把握できますから。
貝森:やはりMRは、パーソナライズする部分でこそ威力を発揮すると思います。現実空間の中で、変更点を見て確認していただけるのですからね。極端な例を挙げれば、今後はモデルルームにいらした瞬間に Microsoft HoloLens を着けていただいて、何もない空間に次々とご希望の間取りが現れるという仕掛も可能でしょう。そんな新鮮な驚きが、あらゆる世代の顧客に対して大きな訴求力になっていきそうです。
ご高齢の方の場合、「今の暮らしの方がいい」「長年使い慣れた調度を変えるのが怖い」という印象をお持ちの方もいらっしゃいます。そうした方にも「実際にこうなるんですよ」というのを MR で体験してもらえれば、より前向きな気持ちで、ご自分の住まいのあり方を検討していただけるのではないでしょうか。

高齢化社会における老朽化物件の課題解決に

―物件入居後の活用や、老朽化による建て替え時の活用は?
和田:入居後に漏水などのトラブルがあった場合、メンテナンス要員が Microsoft HoloLens に蓄積した施工履歴データ、補修履歴を基に、肉眼では見えない天井裏や、配管位置を確認しながら、迅速にトラブル箇所を特定することも可能になります。さらに、事前に修繕箇所の見当をつけてから現場に向かったり、通信で現場からゼネコンや施工業者にアプローチしたり、本社の危機管理部隊と連携したり。初動の質が格段に向上するでしょう。
貝森:実際の空間の中に仮想的なオブジェクトを自由に配置し、1/1で体験することができる MR は、住宅だけでなくビルや物流施設のリーシングなどを含め、開発から建設~販売~引き渡し~入居、さらに建て替えに至る全ライフサイクルを捉えたシームレスなサービス向上を実現してくれそうです。これから当社の不動産ビジネスモデルが大きく変わっていきそうな予感がします。
太田:建て替えが必要になった高築年数の物件は、入居者も高齢化しており「モデルルームに足を運ぶのは面倒だ」とおっしゃる方も多く、なかなか賛同を集められないのが悩みです。建て替えにあたって入居者一人一人とお会いしていく中で、「こんなに住みやすくなるんですよ」と新しい住まいの姿を居ながらにして体験していただくことができれば、ご理解が進み、早期の合意形成にもつながりそうです。
例えば、バスタブの高さひとつとっても、高齢者にとって大きな問題なんです。Microsoft HoloLens を使えば、“またぎやすい浴槽の高さ”をその場で体験していただくことができます。そうした小さなことから、課題解決につなげていければと思います。今後 MR は、住空間全般にわたるあらゆるシーンで、“体験による最適解”を見出すツールになっていくのではないでしょうか。私たちも早く Microsoft HoloLens を導入していきたいですね。

新日鉄興和不動産株式会社

「人と向き合い、街をつくる。」という理念を掲げ、『インターシティ』シリーズで知られるビル事業、『リビオ』シリーズを代表とする分譲マンション開発や都市部の市街地再開発などを担う住宅事業、外国人向け高級賃貸住宅『ホーマット』などの賃貸住宅事業、新日鉄住金の遊休地開発をはじめとする地域再生事業など多角的な不動産ソリューションを展開。「お客様に選ばれ続けるデベロッパー」を目指し、積極的な活動を推進している。

関連リンク:「不動産業界経営セミナー MRデバイスの導入方法と課題」
2017年12月12日(火)開催
http://ac.nikkeibp.co.jp/2017z12mrd/
※ご好評のうちに終了いたしました。ご参加ありがとうございました。

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