65歳以上の健康寿命を損なう肺炎とは
長谷川生島さんは今もテレビやラジオで大活躍されていますね。
生島平日は毎朝、ラジオで1時間半以上話をしているほか、週に数回、テレビの生放送があります。週末も講演会が入っていると1時間から2時間お話をしています。
長谷川人とのコミュニケーションがお仕事ですね。健康管理はどのようにされていますか。
生島毎朝プールで泳いだり水中ウォーキングをしていますし、パーソナルジムにも行ってます。あまり風邪も引きませんし、65歳にしては元気な方だと思います。でもオーバーワークしたり寝不足が続くと、どうしても声や喉にダメージがきますね。僕ら以上の年代になると、肺炎にかかる人が多いようで、気になります。
長谷川統計的に見ても、肺炎にかかるのは65歳以上の方が圧倒的多数を占めます。心臓や肺の持病がある人や、糖尿病や腎臓病の人も、肺炎になりやすいとされています。肺炎には様々な原因がありますが、最も多いのが「肺炎球菌」という細菌感染による肺炎です。
生島肺炎球菌が感染して肺炎になったら、どのように治療するんですか。
長谷川肺炎球菌は細菌ですので、ペニシリンなどの抗菌薬を使うのが一般的です。ただし、肺炎は「肺の炎(ほのお)」と書くように、まさに肺が燃えるイメージです。火事になって家が燃えると、たとえ火が消えても元通りにはならないで黒焦げの部分が残りますよね。肺炎もいったんかかると、治っても何らかの機能障害が残ってしまい、健康寿命を損なうことが珍しくありません。
生島思ったよりも深刻な病気なんですね。自分は若いから大丈夫という方でも、年配のご家族がかかって長期間入院することになったり、体力が落ちて歩けなくなり、介護が必要になったら、大変な負担がかかりますね。
あらかじめ身体に抗体を作るのがワクチンの役割
長谷川そのとおりです。だからこそ肺炎にならないように予防することが大切です。そのために重要なのが免疫の力を強くしておくことです。肺炎と戦う武器のひとつが「抗体」ですが、肺炎球菌が入ってきてから抗体を作れるようになるには数週間もかかります。そこで、肺炎に備えて、あらかじめ身体に抗体を作らせておく役割を果たすのが肺炎球菌ワクチンです。
肺炎球菌ワクチンには種類がある
長谷川現在、医療機関で接種できる肺炎球菌ワクチンには、定期接種の対象となる「多糖体ワクチン」と、「結合型ワクチン」の2種類があります。結合型ワクチンは、効率よく免疫システムに作用することで「免疫記憶」を作り出すことができます。この結合型ワクチンは、2014年から65歳以上の方が任意で接種できるようになりました。
生島僕は今、65歳ですから、ぜひ受けたいと思います。2つのワクチンをどのように選べばよいのでしょう。
長谷川2つのワクチンにはそれぞれ特徴がありますので、詳しいことは、ご自分のかかりつけ医や最寄りの病院・クリニックにぜひ相談してみてください。
冬の感染症対策にインフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンを
生島どんな時期に接種するのがベストですか。
長谷川肺炎球菌ワクチンはご自分の都合がよいときにいつでも接種できます。ただし、インフルエンザにかかったときには、引き続いて肺炎球菌による肺炎にかかりやすくなりますので、インフルエンザワクチンと一緒に接種しておくとよいですね。既にインフルエンザワクチンを接種した方も、この時期に肺炎球菌ワクチンの接種を検討されてもよいと思います。
生島僕は文字通り、「身体が資本」です。ダウンしてしまったら多くの方に迷惑をかけてしまいますので、ふだんから身体を鍛えたり、サプリメントをとったりしてきました。でも、これまでインフルエンザワクチンを打つことはあっても肺炎球菌ワクチンを意識したことはありませんでした。多少コストがかかっても、自分の身体や会社を守るために、肺炎球菌ワクチンを接種しておきたいと思います。
長谷川サプリメントや運動は、病気になりにくい身体を作るために心掛けておられますよね。ワクチンの接種も全く同じ考え方ではないでしょうか。ぜひ、接種のタイミングなどについて、かかりつけのお医者さんに相談してみてください。
生島弱ってからではジムで鍛えることもできませんものね。働き盛りの若い人たちにも65歳以上のご家族に接種を勧めるように伝えてみます。思う存分活躍するためには、ご両親などが元気に過ごしていることが大きな励みになると思いますので。本日はありがとうございました。
元気なときこそ、「未来の健康」を考えてみませんか?
成人用肺炎球菌ワクチンチェックシート
下記のチェック項目が1つでも該当する方は、医療機関にご相談ください。
●監修:慶應義塾大学医学部感染制御センター教授 長谷川直樹先生
- 健康寿命について興味・関心がある
- 65歳以上になっている
- たばこを吸っている
- 肺や気管支の病気、心臓、腎臓の病気にかかっている
- 脳卒中(脳梗塞や脳出血など)になったことがある
- 糖尿病である
- ステロイドなど免疫を抑える薬を使用中である
- 今の健康状態(免疫力)をできるだけ維持したい
- 肺炎球菌ワクチンを接種したことがある(わかればいつごろ______)
- 接種できる肺炎球菌ワクチンについて、種類や費用など相談してみたい
成人用肺炎球菌ワクチンの接種対象年齢について
- 定期接種の対象年齢
- ●平成26(2014)年の10月より肺炎球菌ワクチン(多糖体ワクチン)が定期接種(B類)になりました。65歳の方が対象になりますが、平成30(2018)年度までの経過措置として、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳の方も定期接種の対象になります。
- 任意接種の対象年齢
- ●65歳以上で定期接種の対象年齢でない方も、任意接種として結合型ワクチン・多糖体ワクチンのいずれかを受けることができます。なお、定期接種の対象の方も、任意接種として結合型ワクチンを受けられる場合があります。くわしくは医師にご相談ください。