本格的に広告事業を拡大するニーズとベースがそろった

これまではEC事業や金融事業などが楽天の大きな柱でしたが、近年は楽天市場をはじめとする様々なメディアでの広告ビジネスがとても大きな規模になっており、ナショナルクライアントからも広告を出したいというニーズが高まっています。楽天は国内有数のアクセス数を誇るWebサービスを数多く展開しているので、そうしたニーズに応えられるベースも十分ある。加えて約9200万(2017年6月時点)の楽天会員数という膨大な顧客基盤に基づくデータがありますから、本格的に広告事業を大きくするタイミングだと判断しました。

一方、マスマーケティングを中心にしながら、近年はデジタルマーケティングの売り上げも伸ばしている電通も、次の時代を見据えてテレビとデジタルを融合したソリューションを提供していかなければならないという危機感を持っていました。そこで、楽天と電通が一緒になってマスマーケティング、デジタルマーケティング、購買といった消費者の購買行動につながる全てのステップを連携させ、イノベーションを起こそうというのが設立の目的です。楽天は顧客基盤を活かしたプロダクトを作る役割、電通は顧客基盤とクリエーティブ力を活かした提案を行う役割、そしてその両者をつなぐのが我々の役割となります。また楽天全体としても今後、全カンパニー横断の組織として「広告事業ディビジョン」を発足させ、グループ一体となって広告事業にいっそう力を入れていこうとしています。

テレビ広告と購買データはどうつながるのか?

有馬誠氏

今や広告の認知、商品の検索や比較、購入とリピーター化といった「購買を決定するプロセス」の全てにおいて、様々なデータが取れるようになってきました。それを連携させて分析すれば、どういう人たちがどういう経路で購買行動に至るのかが分かり、広告主は効率的なマーケティングが可能になります。一方、データ分析の精度が上がることで消費者は自分の関心のあるテーマに近い提案を広告から受けられるようになるなど、興味のないノイズ広告にしつこく追いかけられることも減っていきます。こうしてマーケティングをする側と受ける側双方にメリットがある仕組みをつくることができると考えています。

10月に新会社としての営業を開始しましたが、楽天の広告事業でそれまで行っていた実績の何倍もの商談数に跳ね上がり、大変多くのクライアント様に関心を持っていただいています。自社のテレビ広告と我々のデータが実際にどう連携するのか実験してみたいという相談も多いですね。

ユーザーの許諾を得た上で、インターネットに接続されたテレビやテレビメーカーのスマホアプリなどと楽天会員IDを連携させることで、テレビCMを見た人たちの中で何人がその後に楽天市場のサイトにきたか、そして何人が実際にそこで商品を買ったかが分かります。既にテレビCMとWeb広告を同時期に流してテストを行ったのですが、その両方を見た人は、テレビCMだけの人よりも購買率が数ポイント高かったという結果が出ています。

こうしたテレビ広告とWeb広告の最適な組み合わせはこれまでも推測されてはきましたが、それが実際の数字で分かるようになることは、とても画期的です。インターネット関連の予算を増やしたほうが売り上げにつながると考えながらも、確たる証拠がなくて踏み切れなかった広告主は、より投資の決定がしやすくなるはずです。インターネットに接続されたテレビは急速に増えていますから、今後はさらに精度の高い効果測定ができると考えています。

VOICE 購買ファネルの入口から出口までをつなげてビッグデータという“事実”で世界を変える

責任の所在が数字によって明らかになる時代が到来する

商品が売れることがマーケティングの究極の目的であり、それは「モノの良しあし」と「マーケティング」とのかけ算で決まります。もし商品が売れなければ、果たして何が悪かったのかという責任の所在がデータ、つまり数字によって明らかになります。『広告費の半分が金のムダ使いに終わっていることは分かっている。分からないのはどちらの半分がムダなのかだ』という米国の経営者ジョン・ワナメーカーが残した名言がありますが、責任分担が明確になることで、よりよい商品づくりやよりよい広告につながっていけば、それは消費者のメリットにもなります。

消費行動の入口から出口まで、幅広く全てのデータがつながる仕組みが完成すれば、リアルなビッグデータが世の中を動かしていくことになり、事実で証明する“ファクトマーケティング”の時代に入っていくのは間違いありません。それは日本だけでなく、世界のマーケティングを変える可能性もあります。

もはやデジタルマーケティングという特殊な世界の話ではありません。企業はどういう製品をつくり、どういう価値を顧客に提供していくのかという、ビジネスの在り方全体を変える可能性さえある話だと経営者の方には知っていただきたいですし、そういう時代の実現に向けて我々も貢献していきたいと考えています。

Rakuten Data Marketing