経営者のためのテクノロジー講座 第1回 実用段階に入ったAI Review

基調講演 AIをビジネスにどう活用するか?

駒澤大学 経済学部 准教授 井上 智洋氏
駒澤大学 経済学部 准教授 井上 智洋氏

ビジネスの様々な場面でAIの活用が進んでいる。「これにより、人の仕事が無くなるのではといった議論も盛んに行われていますが、必ずしもそうではありません」と駒澤大学の井上 智洋氏は指摘する。同氏は日経ビジネスの「次代を創る100人 2017」にも選出された新進気鋭の経済学者だ。

「クリエイティブ業務や企業のマネジメント、それに高いホスピタリティが要求される介護・看護などの仕事は、最後まで人に残されます。例えば、新規性の高い商品を作ったとしても、AIにはそれが売れるかどうか判断できない。そこには人間の想像力が必要になります。AIでできることはAIに、人にしかできない仕事は人にと棲み分けを図ることが重要です」(井上氏)

このような人とAIの協調やAIの積極的な活用は国や企業が今後のグローバル競争を勝ち抜く上でも、非常に重要なポイントとなるという。

「今、新技術を活用した産業構造の劇的な変化、いわゆる第四次産業革命の到来が予測されています。第四次産業革命ではAI、ビッグデータ、IoTをうまく使った国や企業が産業や市場の中で覇権をつかむことになる。少子高齢化が進む日本であってもこうした技術を活用すれば、生産力を飛躍的に上げることで経済成長を遂げることも可能です」と井上氏は語る。

そうした時代の到来を見据え、今、日本企業は何をすべきなのか。「まずAI化の前にIT化を徹底することです。さらにAIを活用できる人材を理系・文系を問わず育成。その上で創造性が求められる仕事に特化していくことが、今後の日本企業のとるべき道といえます」と井上氏は強調した。


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特別講演 AIがWebコンサルティングを自動化〜効率化の先に広がる新市場〜

WACUL 代表取締役 大津 裕史氏
WACUL 代表取締役 大津 裕史氏

AIを活用することで市場における既存の優位性を覆し、ビジネスチャンスを拡大することも可能になる。人手による作業を大幅に削減し、サービスの低価格化を実現することができるからだ。その好例とも言えるのがWebコンサルティング事業を手がけるWACUL(ワカル)が提供する人工知能「AI アナリスト」だ。

AIアナリストは、「Googleアナリティクス」のアクセス解析データを基に、自動でWebサイトを分析し、わかりやすい言葉でサイトの改善方針を提案するサービス。従来のアクセス解析ツールのように、Webサイトのデータを人が分析する必要はないという。

「以前当社では専門の分析スキルを持つアナリストは少ないため、従来は受注できる案件数も限られ、サービス費用も高額になりがちでした。しかし分析業務を自動化したことで月額4万円〜という価格体系を実現。今までコンサルティングと縁遠かった中小企業市場の開拓に成功して事業を拡大することができました」と同社の大津 裕史氏は語る。

AIアナリストの開発において特に注力したのが、人間が見逃しがちな「伸びしろ」と「変化」の発見だ。つまり、どこをどう直したらどれくらい数字がのびるか、これを見つけるわけだ。「以前なら『このページが使いにくいのではないか』『こうしたら商品が売れるのではないか』と、人の定性的な経験値で仮説を立てていました」(大津氏)。しかしAIアナリストは、機械が隅々まで見て、データの根拠がある伸びしろを見つけるため、実装した施策の60%は成果が出るという。

「分析は人の仕事という思い込みを捨てたことが成功のカギ。その気にさえなれば、どの企業でも当社と同じことができるはずです」と大津氏。AI活用に取り組む企業は、その言葉を深く胸に刻む必要がありそうだ。


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富士通 30年以上の研究から生まれた人工知能 4分野の活用事例に見るその実力とは?
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