1 ソニーがテレビづくりで追求してきたこと
徹底したクオリティーの追求が功を奏した

―ソニーのテレビ事業が好調ですが、どういった背景があるのでしょうか?

中野氏:私たちのテレビ事業は、規模を追うのではなく、高付加価値のセグメントに注力してきました。今回の4K有機ELテレビもそうですが、クオリティーを徹底して追求しており、これが功を奏しているのではないかと考えています。2012年に84インチの4Kテレビを発売して以来、4Kという新しい商品価値を提案してきました。さらに2016年には、HDR(映像に記録できる輝度と色の表現範囲を拡大する技術)に対応した商品群を市場に投入することで、高付加価値セグメントをさらに拡大しました。

―今年はトリニトロンの発売から50年目。テレビづくりにおけるソニーの一貫した考え方のようなものはありますか?

中野氏:テレビの本質的な価値は、映像の世界に没入できる最高の視聴体験を提供することです。そこで重要なのは、視聴を楽しめるベストな環境をリビングにつくるという考え方。テレビはその空間における大きな要素ではありますが、単体で切り離して考えるべきアイテムではありません。提供したいのはあくまでも環境であり、テレビはそこで何ができるのかを追求することが、一貫して取り組んできたことです。

特定の有機化合物に電圧をかけることで生じる発光現象を利用したディスプレイ。世界的には「OLED」と呼ばれている。バックライトの光の透過率により階調を表現する液晶とは違い、発光材料そのものが光るので、映像の黒色の表現力が豊か。また、動画の応答速度に優れる、視野角が広いなど優れた点が多い。

2 ソニー独自の映像美
画質はプロセッサーで決まる

膨大な画像処理を担うソニー独自開発の4K高画質プロセッサー。有機ELパネルに合った映像処理を高精度に行い、パネルのポテンシャルを最大限に引き出すことで、高コントラストの映像を実現する。様々な映像をHDR相当の画質で描く「HDRリマスター」、2つのデータベースを参照して精細感とノイズ低減を両立する「デュアルデータベース分析」、豊かな階調表現を実現する「Super Bit Mapping 4K HDR」といった高画質技術を搭載。

―日本国内でも各メーカーが有機ELパネルを採用した4Kテレビを発表しています。各社の製品にどのような違いがあるのでしょうか?

中野氏:有機ELパネルは一般的な特長として、自発光ならではの美しい黒の表現、優れた動画応答性、純度の高い色、広視野角などが挙げられます。ただし、各社のテレビを実際に見比べていただければ一目瞭然ですが、画質にはかなり差があります。その最大の原因は搭載するプロセッサーの違いです。有機ELパネルの高いポテンシャルを生かせるかは、パネルに入ってくる画像信号を処理するプロセッサー次第。画質はプロセッサーで決まるのです。
 また、その画像処理の土台として、パネルのポテンシャルを引き出すための基本的な調整も大切です。当社には業界のデファクトスタンダードになっている放送・業務用モニター「BVM-X300」という製品があり、これをレファレンスとして調整を行っています。まずこの段階の微細な調整によって、同じ有機ELパネルでも大きな違いが出てきます。その徹底した調整の上に、ソニー独自の4K高画質プロセッサー「X1 Extreme」が画づくりを行います。このプロセッサーは、ソニーのテレビ史上最高画質を誇る液晶テレビ、「Z9D」シリーズと同じもので、パネルの特性を認識し、映像を最適化する機能を持っています。今回の「A1」シリーズでは、有機ELパネルに最適な画像処理をさらに施すことで、影の表現や局所的なコントラストにこだわり、いまだかつてない映像美を実現しています。

3 画面そのものから音が広がる新体験
テレビの音のあり方を「現実」に近づけたかった

―画面から音が出る機能「アコースティック サーフェス」には、その先進性に驚きました。

中野氏:本体背面のアクチュエーターという装置で画面を振動させて、画面全体から音を出すことで、映像と音像の融合を実現しています。一般的なテレビのスピーカーとは音の出し方が全く異なりますが、サウンティーナ(ソニーが2008年に発売した有機ガラス管を振動させて360度に音を響かせるスピーカーシステム)で培った技術など、ソニー独自の音響設計の知見を生かし、臨場感のある音像を実現しています。
 A1シリーズの開発に当たっては「究極のリアリティー」を追求しました。現実世界から切り出したようなリアルな映像を、リビングルームに浮かび上がらせることが理想でしたが、これまでのテレビと現実世界とでは、「音」のあり方が大きく乖離(かいり)していました。例えば映像の中でしゃべる人物の声が、その口元からではなくテレビのスピーカーから出るように、映像と音が切り離されていることがリアリティーを追求する上での課題でした。その解決策が画面から音を出すという発想です。初期のプロトタイプの時点で、音質的にはまだまだ課題があったものの、それでも関係者みんなが「これはいける!」と信じられるだけの可能性がそこにはありました。テレビにおけるパラダイムシフトを達成できたと考えています。

―映像だけが浮かび上がるようなたたずまいも印象的です。

中野氏:ベゼルを可能な限り小さくし、スタンドやスピーカーを正面から見えないようにすることで、視聴を妨げる要素をすべて取り除きました。視聴中はテレビを観ていることさえも忘れ、観終わったときに「あ、テレビを観ていたんだ」と我に返る。そんなふうに、映像の世界を心行くまで楽しんでいただきたいです。
 実は「SONY」のロゴも、パッと見では分からないほど控えめにしています。どこに入っているか、ぜひ店頭で探してみていただきたいです。

アクチュエーターによる画面から出る音と、本体背面のサブウーファーによる低音。それらを制御する高度なデジタル音声信号処理が、臨場感のある高音質を再現。

4 新時代のテレビ
「音声検索」がテレビの楽しみ方を変える

―A1シリーズには、「Android TV」機能が搭載されていますが、どのような楽しみ方が可能になるのでしょうか?

中野氏:今後、テレビで楽しめるコンテンツは無限に広がっていきます。コンテンツの広大な海の中から自分が求めるものをいかに簡単かつ的確に探し出せるかが重要です。そこで、ぜひ活用していただきたいのが、リモコンに話しかけるだけで番組やネット動画を探せる「音声検索」機能です。気になる俳優や歌手の名前を呼びかけるだけで簡単に見つけられます。例えば「来週のスポーツの試合を録画したい」と話しかけるだけで、自動で文のキーワードを解析し録画予約画面を表示してくれます。これからのインターフェースは全て音声が基本になっていくと予測していますが、A1シリーズは現時点における理想的な音声認識機能を搭載したモデルだと自負しています。

5 説明よりも体験を
目と耳でその実力を確かめてほしい

―デモ映像を目にした瞬間、「ここまで違うのか!」と映像美に圧倒されました。その美しい映像と画面から出る音の融合も見事で、同じ映像にずっと見入ってしまうという不思議な感覚を味わいました。

中野氏:まさに「百聞は一見に如かず」を実感する商品だと思います。デモを行っている私たちでさえも、思わず映像に見入ってしまうことがあるほど。映像が隅々に至るまで美しく表現されているので、同じ映像を繰り返し観ても、観るたびに新しい発見があります。
 どんな説明よりも商品そのものが雄弁に語ってくれます。全国の家電量販店で体験できますので、ぜひご自身の目と耳でご体感いただければと思います。

BRAVIA OLED A1シリーズ店頭体験会