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2017年の注目時計を探せ“買い時”銘柄目白押しのビジネスウォッチ最前線

投資の世界には“順張り”“逆張り”というのがある。
上昇トレンドの中でさらに上がると思う銘柄を買うのは前者。
下降トレンドの中で割安になった良質銘柄を見つけて買うのは後者だ。
腕時計マーケットを見たとき、世界レベルで見ると、売れ行きに以前ほどの勢いはない。
しかし、だからこそ、市場には良質で割安なモデルが数多く存在する。
つまり、現在、腕時計のマーケットは“逆張り”に最適のタイミングともいえるのだ。
この特集では、スイス取材を通じて“買い時”と思われる腕時計の数々をピックアップ。
今、どの時計を買うべきかを、専門家の分析とともに紹介する。

ビジネスウォッチの最新トレンド

価格低下と質の向上で、今年が“買い時”

スイスで毎年1月に開かれる高級時計の見本市S.I.H.H.と、世界中から愛好家たちが集まる3月のバーゼルワールド。
これらを俯瞰すると、2017年の腕時計の傾向が見えてきた。
時計ジャーナリストの広田雅将氏と篠田哲生氏が、腕時計の今と未来を分析する。

写真=宮本敏明 文=いなもあきこ

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オメガ “1957 トリロジー”シーマスター 300 マスター クロノメーター60周年リミテッド エディション
オメガ “1957 トリロジー”
シーマスター 300 マスター クロノメーター 60周年リミテッド エディション

1957年に発表された3モデル(シーマスター300、レイルマスター、スピードマスター)を完全復刻。
自動巻き、SS ケース、径39mm、75万円

ユリス・ナルダン クラシコ マニュファクチュール
ユリス・ナルダン
クラシコ マニュファクチュール

ドンツェ・カドラン社による少量生産の高価なエナメル文字盤が、手の届きやすい価格帯のスモールセコンド3針ウォッチで登場。
自動巻き、SS ケース、径40mm、102万円

カルティエ パンテール ドゥ カルティエ
カルティエ
パンテール ドゥ カルティエ

1980年代に誕生し、当時大人気を集めたカルティエを代表するレディスラインが、新作として現代によみがえる。17モデルが揃う。
クォーツ、SS ケース、縦37× 横27mm、47万2500円

―― 1月にS.I.H.H.を、3月にバーゼルワールドを取材した時計ジャーナリストの広田雅将さんと篠田哲生さんに、今年発表のモデルから見えてくる腕時計の傾向について伺います。まず、現在の時計産業の景気はどんな状況でしょうか?
篠田 スイス製時計の世界輸出額の推移を見ると、2014年まで右肩上がりだったのが、15年でついに下がり、前年比でマイナス3.3%に。そして昨年も下げ止まらず、マイナス9.9%という結果でした。もちろんスイスフランのレート変動も影響していますが、時計業界の失速の一端を物語るデータだと思います。
広田 基本的にこの数値って、時計メーカーの出荷時のもの。実際の景気はもっと悪いという印象ですね。そうした状況下で行われた今年のS.I.H.H.とバーゼルワールドでは、各社新製品の点数が絞られていた感じがありました。そんななかでも、パテックフィリップがコンプリケーションを多数出していたのは目を引きましたし、ウブロも相変わらず個性的なモデルを出していますけれど、それ以外は相対的に地味だった気がしますね。あと僕が今年とても強く感じたのは、全体的に価格が下がったということ。
篠田 それに関係するけれど、今年の傾向の一つとしてSS(ステンレススチール)モデルが多かったと感じます。高級時計で知られるパルミジャーニ・フルリエですら、代表モデルの「トンダ 1950」に100万円のSSを投入しましたから。これには驚きましたね。
広田 そう、今年からS.I.H.H.に参加したユリス・ナルダンも、エナメルダイヤルという自社の強みを生かしながら、100万円台のモデルを出した。ただし、値段が下がったけれども、質は各社とも落とさなかった。相当、「バリュー・フォー・マネー」なものが打ち出されてきたなという印象は受けますね。そういう意味で今年は、「企業努力が感じられた年」だったなと思います。
篠田 僕はオメガの新作にそれを感じますね。「レイルマスター」のヴィンテージモデルを現代風にアレンジした「シーマスター アクアテラ“レイルマスター”マスター クロノメーター」を50万円台前半に設定して、今のオメガをアピールし、戦略的に「シェアを取りに行く」という意思をはっきりと示している。全体に価格が下がった理由として、たとえばケースサイズを小さくしたとか素材をSSにしたとか、消費者が納得しやすい事実があり、それをきちんと説明してくれるのも、今年の特徴だと思いますね。
広田 あともう一つ、価格が下がった理由として考えられることがあります。この10年ほど、各社ともケースとか自社製ムーブメントを作る新しい機械を入れ、設備投資を積極的にやってきましたよね。それに伴って、腕時計の質と値段は上がってきたと思うんです。でも逆にいうと、ある程度それが償却されてくれば、価格がこなれてくるという可能性がある。それがまさに今年なんです。
篠田 なるほど、クルマや家電をはじめとするプロダクトって、出始めは高くても技術がこなれてくると徐々に価格が下がるのが一般的ですが、時計だけはそれがずっと起きなかったわけです。でも、技術とクオリティが十分に成熟するのと同時期に景気の退行に直面し、ついにそのタイミングが来た、と。
広田 その通りです。そしてモデルが多様になっている今だからこそ、売れ筋に寄るのではなく、ブランドごとの色もいっそう明確にしていく必要があるでしょうね。今年は周年を迎えるブランドが多く、こぞって復刻モデルを出していますが、あれは自分たち本来のサイズ感とか根本的なもの作りと真面目に向き合う絶好の機会なのではないか、という気はします。
篠田 オメガのシーマスター300、レイルマスター、スピードマスターを完全復刻した「1957 トリロジー リミテッドエディション」とかね。
広田 あそこまで復刻の純度を高めているのを見ると、ルーツを見直そうという気概を感じますね。幸いにも今の技術がそれを可能にしたともいえます。
篠田 その意味では、複雑時計の好きな愛好家目線で見ると面白みが少ないかもしれないけど、ビジネスパーソンが実用として時計を買うには選択肢が増え、ラッキーな時期が来たといえますね。
広田 ただ、この価格低下もどこまでも続くわけではない。というのも、17年1月1日から、「スイスメイド」と明記するための条件を定めた「スイスネス法」が変わったから。従来はムーブメントの50%がスイス製なら文字盤に「スイスメイド」と書けたのが、ストラップを除く外装とムーブメントがそれぞれ60%以上スイス製であることが条件となりました。このため、時計の価格は今後下がりにくくなる、という見方もあります。
篠田 確かに、その条件を満たそうと思うと、必然的にスイスの高い人件費がかかってしまいますからね。
広田 時計の価格は今年、ほぼ“底値”に達しているのかもしれないですね。

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