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「見る目」が問われる時代に

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―― 昨年から徐々に目立ってきたレディスモデルの発表ですが、今年はいっそうラインアップが増えた印象があります。

篠田 今年はレディースモデルの発表が増えた一方で、メンズともレディースとも明確に位置づけないモデルも結構ありました。ユニセックスともうたわないけれど、男女でできるサイズ感の時計です。
広田 今年のIWCは「ダ・ヴィンチ」で14モデルを発表しましたが、8モデルがメンズで、6モデルがレディスという構成でした。
篠田 カルティエも、「パンテール ドゥ カルティエ」を発表し、結局はレディスメインという印象でしたしね。
広田 数が多いだけでなく、今年は今までの女性用のものとは考え方が少し違ってきたと思うんです。単にメンズを小さくしてダイヤを載せるという従来のやり方ではなく、文字盤のカラーバリエーションを増やすなど、近年の外装の技術進歩を存分に生かして、最初からレディスを主眼として開発している。
篠田 確かに近年レディスモデルの質感が向上し、本格派になっていると感じます。その上、メンズの世界でもケース径38mmを下回るサイズ感が今の気分。となると、レディスのなかにも実は男性にとって魅力的なものが多いんです。実際、レディスという固定概念を取り去ると、欲しいと思えるものが少なくないですよね。小さくてノンデイトで格好良いから選んだら、たまたまレディスだった、という具合に。
広田 明確なトレンドを打ち出しにくくなって多様性が広がり、そのなかでメンズでもレディスでも、「性差なく使える時計」みたいなものも出てきた。だからこそ、ブランド側からの「お仕着せ」ではなく、ユーザーの見る目みたいなものを求められるようになったと思います。
篠田 結局、好きなものを買え、ということになっちゃうんでしょうけれど、自分の「好き」というのが何かということを、立ち止まって考えなければいけないタイミングになったということですね。

―― 14年からジャン-クロード・ビバー氏がLVMH グループのウォッチ部門のプレジデントになり、ウブロ、ゼニス、タグ・ホイヤーの3つのブランドを担当するようになりました。一方で、リシュモン グループでは、IWCとボーム&メルシエのCEOを務めてブランド価値を高めたジョージ・カーン氏が今年、ウォッチ部門を包括的に見るポジションになりますが、戦略に変更がありそうでしょうか?

広田 もともとビバー氏はスウォッチグループの創始者ニコラス G・ハイエック氏の超愛弟子。ハイエック氏が80年代、90年代に打ち立てたのが、ピラミッドを価格でズバズバ横切りし、そこに各ブランドをはめ込むという戦略です。今ビバー氏は、まさにそれをLVMHグループでやっています。一方のリシュモンは、かつてモトローラがポケベル部門と携帯電話部門を食い合わせて成長させたように、カニバリ戦略みたいなものを意図的に採ってきた。だから価格帯もポジションも被るブランドがグループ内で並立するわけですが、カーン氏はそこに対して、恐らく鉈を振るうだろうと思います。
篠田 つまり、ビバー氏と同じことをするということですか?
広田 そこまで厳密ではないにしても、ある程度はブランドごとに線引きをしていくのでは。ただセグメントをきっちり分けるというのは、短期的には難しいでしょうね。まず今後進む可能性が高いのは、できるだけ生産拠点を一体化して、製造コストを下げるということ。
篠田 それが本当に起こったら、すごく面白いですね。だってこれまでブランディングしていく上で、マニュファクチュール(自社生産)が最大の美点とされ、それをみんな目指してきたわけじゃないですか。そこを放棄する、と。
広田 放棄はしないまでも、今まで以上にムーブメント製造会社やケース製造会社への依存度は高くなると思います。
篠田 ビバー氏は80歳まで現役でやるとおっしゃっていましたけど(笑)、彼の戦略に動きはありそうですか?
広田 ビバー氏のアンバサダー戦略というのは、まだ新鮮味があると思うんです。そもそもアンバサダー戦略は買いやすい価格帯のものに関しては有用だと考えられてきましたが、ビバー氏はこれを高価格帯のウブロに大々的に取り入れた。その成功を受け、リシャール・ミルなどにまで動きが広がりましたよね。もちろん高価格帯での採用には大きく見直しが入る可能性があるけれど、まだ今のところミレニアル世代に訴求する方法としてはこれとSNSしかないだろうから、しばらくはこの流れが続くと思います。

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