アビームコンサルティング RPAで目指すデジタルレイバー戦略 直面する5つのポイントとは

「直下型」か「現場型」にするか まずRPA推進体制を見極める

アビームコンサルティング株式会社 戦略ビジネスユニット プリンシパル 安部 慶喜氏
アビームコンサルティング株式会社 戦略ビジネスユニット プリンシパル 安部 慶喜氏

RPA導入の機運がますます高まっている。比較的短期間で高い成果を上げられるのがその理由だ。

アビームコンサルティングが実施した共同調査の結果がそれを裏付ける。導入企業の64%が4週間以内での導入を実現し、導入企業の97%が5割以上の業務工数削減に成功している。当初は金融機関が強い導入意欲を見せていたが、現在はメーカー、サービス業、情報・通信、商社・小売など幅広い業種で導入が進んでいる。中堅企業からの問い合わせが約6割を占め、すそ野の広がりも顕著だ。RPAの関心と取り組みは、業種や規模を限定せず広がっているといえるだろう。

では、RPAの活用で成果を上げるためにはどうすべきか。「まずRPA本格導入時のアプローチ手法を検討することです」とアビームコンサルティングの安部 慶喜氏は指摘する。このアプローチ手法には「直下型」と「現場型」という2種類がある。

直下型は、全社最適の観点からすべての業務を棚卸し、導入効果の大きい業務から順にRPAを導入する。各部門で利用するロボットはプロジェクト側で集中的に開発・管理する。

現場型は、各業務部門の判断でRPA化を推進する。ロボットの開発・導入を担う人材を各部門で選出・育成し、RPA化したい業務も各部門で選定する。ロボットの開発・導入・運用・保守も各部門で行い、必要に応じてIT部門などのサポートを受ける形だ。

アプローチ手法は業務内容や全体戦略に基づいて最適な手法を選択することが重要である。「直下型は対象業務の約20%が全体のRPA化効果の80%を創出するため、短期間で最大の効率化実現を達成したい場合に適しています。現場型は文字通り現場が主導的な役割を果たすため、RPAの長期的な自走化を目指す場合に有効です」と安部氏は述べる。



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アビームの実績と経験が物語る 効力の高いリスク対策

最適なアプローチ手法の選定に加え、運用・統制ルールの整備も重要な要件になる。本格導入では全社で数十から数百体のロボット管理が必要になるからだ。運用・統制を徹底するためには、気を付けるべき5つのポイントがあるという。

1つ目は、「周辺システムに起因する誤動作」だ。操作するファイルやシステムの変更・改修が処理ロジックに反映されずにいると、予期せぬ誤動作の原因となる。「IT部門と業務部門の連携体制を整備し、ファイルやシステムの変更・改修情報を常に共有する。システム改修を行う場合は、RPAに対する影響調査も欠かせません。またファイルの仕様や格納先の変更もエラーの原因につながります。運用上の注意点を業務ユーザーに周知徹底することも重要です」(安部氏)。

2つ目は、「業務のブラックボックス化」である。時間がたつと、導入にかかわった人員の異動や退職により、RPA化業務の目的や意義、詳細手順の理解やノウハウなどがブラックボックス化し失われる懸念がある。これを防ぐためには「ロボットの開発から廃棄まで責任を持つロボットオーナーを利用部門で任命し、異動時にはきちんと引き継ぎを行う」「ロボットの概要、参照先システム、稼働開始日、オーナーなどを整理したロボット一覧台帳を整備する」「業務目的、手順、インプット/アウトプットなどの業務仕様を開発時に文書化して保管する」などの対策が必要である。

そのほかにも、「不正使用/情報漏洩」「エラー/停止時の業務継続性」や「処理の洗い出し漏れによる誤動作」といったポイントがあるという。

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最新テクノロジーと連携しRPAは重要な業務基盤へ進化

図1 アビームが考える次世代型デジタルレイバーへの進化

図1 アビームが考える次世代型デジタルレイバーへの進化

現在はRPAの単体利用が主流だが、RPAはコグニティブ・コンピューティングやAIとの連携で進化を続けていく

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この5つへの対策がしっかりしていないと、RPA活用は先のステージに進めない。「目指すべきは、分断された定型業務の自動化ではなく、業務全体の自動化や意思決定の精度向上・合理化につなげていくことです」と安部氏は主張する。

現在は多くの企業がRPAを単体利用する「ステージ1」の状態にあるが、先進企業はコグニティブを活用する「ステージ2」やAIを活用する「ステージ3」へと移行しつつある。最新テクノロジーとの連携により、RPAは「次世代型デジタルレイバー」へと進化していく(図1)。

例えば、最新のOCRはコグニティブ・コンピューティングの技術を取り込み、非構造化データの認識や読み取りにも対応する。手書き文書や画像データを電子化することも可能なのだ。日本のビジネスは紙文化が根強いため、紙情報の電子化は特に効果が大きいという。「多くの企業で紙ベース事務の効率化を支援してきた当社の直近の取り組みでは、各導入企業が80%前後の工数削減効果を上げています」(安部氏)。今後AIの活用が本格化していけば、例外対応を含めた非定型業務の自動化も広がりを見せていくはずだ。


図2 デジタルレイバープラットフォームの概念

図2 デジタルレイバープラットフォームの概念

RPAを基軸とするプラットフォームをベースに、様々な業務とシステム、テクノロジーがつながっていく。これらを柔軟に組み合わせることで、自動化を進める業務領域がさらに広がる

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「この進化を支えるためには業務、システム、最新テクノロジーを最適かつ柔軟につなぎ、経営戦略を実現する『デジタルレイバープラットフォーム』が必要です。RPAは単なるツールではなく、その基軸を担う存在です」と安部氏は訴える(図2)。

こうした視点でRPAの導入と活用推進を進めなければ、その効果は限定的なものになり、より重要度を増していくデジタル変革にも対応できなくなる。

RPAをベースとしたプラットフォームを整備することで、様々な業務とシステム、テクノロジーの連携が容易になる。「業務プロセスごとに新たなシステムやテクノロジーをつなぐ作業が簡素化され、別の業務プロセスとの連携もやりやすくなる。自動化を図る領域が格段に広がり、全社的なデジタル業務改革が加速していきます」と安部氏はメリットを語る。

RPAを次世代型デジタルレイバーへと進化させ、将来を見据えたデジタルレイバープラットフォームを実現する。同社ではRPAプロジェクトの成功に数多く貢献してきた経験とノウハウを生かし、この取り組みを強力にサポートしていく考えだ。


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