アクセンチュア 部分的な業務自動化だけでは不十分「収益を生むデジタル活用」の要点は

真の生産性向上には「収益を得る」視点が不可欠

アクセンチュア株式会社 金融サービス本部 マネジング・ディレクター 下野 崇氏
アクセンチュア株式会社 金融サービス本部 マネジング・ディレクター 下野 崇氏

RPA/AIをはじめとするデジタル技術の活用は、日本企業における業務効率化・生産性向上に欠かせないものの1つとなった。しかし、実際の取り組み内容をつぶさに見ていくと、不十分な点も多いという。「単なる『アナログ業務の自動化』で終わってしまっては、本来のビジネス上の目的を果たすことはできません。大事なのは、 デジタル技術によって“真の生産性向上”を実現することです」とアクセンチュアの下野 崇氏は指摘する。

同社が定義する“真の生産性向上”には、大きく3つのポイントがある。

1つ目が、コスト削減、人員削減などの効果を「定量的」に計測できることだ。取り組みの成否を判断したり、改善策を検討したりする上では、このことが必須になる。2つ目は継続的に実践可能なものであること。例えば、社員の間に生産性向上に自発的に取り組むムードが醸成されたかどうかは、その重要な指標の1つとなる。

そして最後の3つ目が、「収益」につながっているということだ。


図1 デジタル活用のロードマップ

図1 デジタル活用のロードマップ

欧米では、既にオペレーティングモデル/ビジネスモデルの改革へと取り組みを進める企業が多い。一方、国内企業の多くはまだ部分的な業務自動化にとどまっている

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「この3つ目が特に重要です。実際、欧米の先進企業では、RPA活用による業務効率化フェーズを経て、『オペレーティングモデル』そのものの改革に着手した例も多数あります(図1)。これにより、収益増大をはじめとする多くのビジネス成果を得ているほか、さらに先のフェーズである『業務の完全自動化』『異業種とのデジタル連携』なども射程に入れている企業が少なくありません」と下野氏は言う。

一方、日本企業では、「収益を上げる」という視点が抜け落ちている例がほとんど。そのため、そこまで進められていないケースが多いという。


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既存の業務プロセスにとらわれず最適なプロセスを再構築

それでは、収益につなげる先進的なデジタル活用を実現するにはどうすればよいのか。ポイントは、RPA活用で部分的な業務改善を図る段階から、その後の全社横断的なデジタル化フェーズも見越したイメージを描いておくことだ。

図2 ZBP(Zero-Based Process)の考え方

図2 ZBP(Zero-Based Process)の考え方

デジタル技術を前提に業務プロセスをゼロベースで構築する。既存のプロセスには固執せず、最適なプロセスを再設計する点が特徴だ

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同社では、その手法の1つとして「ZBP(Zero-Based Process)」、すなわちゼロベースで業務プロセスを検討・再構築するアプローチを提案している(図2)。その考え方は次のようなものだ。

「まず、それぞれの業務の『インプット』『アウトプット』、および関連する法令などの『制約事項』の3つに着目して、それらを前提条件とします。その上で、前提条件を満たすプロセスを、デジタル技術で構築します。大事なのは、既存のプロセスを調整・改善するのではなく、いったんゼロにした上で、ベストなプロセスを考えることです」(下野氏)。これを実践することで、昨今の企業の重要課題となっているデジタルトランスフォーメーションを加速することにもつながるという。

また、このプロセス再構築の過程では業務アプリケーションの開発なども必要になるが、収益を生むという視点でいけば、そこにも過剰な手間やコストをかけないことが望ましい。「そこで当社は、様々な新しいテクノロジー、ベンチャーなどの新たなサービスをつなぎ合わせて、新たなビジネス業務をよりクイックに構築することを提案しています」と下野氏は述べる。そのためのコンポーネントとして「ACTS(Accenture Connected Technology Solution)」を用意。これは、APIにより既存の基幹システムや多様なチャネルおよび外部データとの接続を容易にし、ビッグデータ分析、AIとの連携を実現する仕組みなどを汎用化して提供するものだ。

「ZBPの考え方とACTSを組み合わせることで、収益につなげるデジタルベースの業務プロセスを、工数・コストを抑えて迅速に実現することが可能です」と下野氏は語る。

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デジタルで新ビジネスを具現化 新たな収益の源とする

同社が提唱するアプローチを採用することで、国内企業の中にも先進的なデジタル活用を成功させる企業が出始めている。

例えば、福岡銀行、熊本銀行、親和銀行の地銀3行を中核とし、九州地区で金融サービスを提供するふくおかフィナンシャルグループは、アクセンチュアとの協業により、新しい金融サービスプラットフォーム「iBank」を構築した。

iBankでは、ACTSを活用して開発されたモバイルアプリ「Wallet+」によって口座管理やデビットカードでの支払いを簡単に実行できるほか、パーソナライズされた各種コンテンツを受信することも可能。「パートナー各社とも連携し、金融/非金融のサービスが統合された新たなエコシステムを実現しました。これにより、利用者の暮らしと密につながったサービスを提供することができています」と下野氏は紹介する。Wallet+のユーザー数はサービス開始から1年で18万人以上に上っており、同グループの成長戦略の柱の1つになっている。

別の例もある。第一生命保険は、同じくACTSを活用してモバイルアプリ「健康第一」を開発。スマートフォンで撮影した写真から顧客自身の将来の姿をシミュレートできる「FaceAI」や、スマートフォン上で健康診断結果を撮影するだけで健康年齢・健康タイプを自動判定し、健康の改善や増進に向けた提案を行う「健康年齢チェック」といったユニークな機能を提供している。

「第一生命保険様は、保険(Insurance)領域にデジタル技術を適用する『InsTech』を提唱した企業としても知られます。この例は、まさにそうした先進的なデジタル活用の一例といえるでしょう」と下野氏は話す。

RPAを単なる業務効率化ツールととらえず、常に収益につなげる視点を持って導入・活用に取り組む——。このことが、競合他社に差をつけるポイントになるといえそうだ。


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