interview01 立命館アジア太平洋大学 学長 出口治明氏 「若者の国連」APUで世界と混ざりませんか?

APUは、第4代学長にライフネット生命創業者の出口治明氏を選んだ。出口氏の実業界での豊富な経験と国際感覚、幅広い知見を評価しての決定だった。アジアの次世代リーダー育成を使命とし、89の国・地域から集った学生たちがキャンパスの中で切磋琢磨する、世界でも類を見ない国際的な大学の舵取りを任されることになった出口氏。「大学というものはこうだから」という既成概念にとらわれることなく、日本のグローバル大学のトップランナーとしてのAPUを、次のステージに導くことが期待されている。

APUは最高の「若者の国連」

APUには現在、89の国と地域から3000人近い国際学生が集まってきています。ニューヨークの国連本部には193カ国が集っていますが、大分の別府の山の上にある大学に、その半分ぐらいの国と地域の人々がいるんですよ。

だから、APUは最高の「若者の国連」だと僕は思っています。しかも若者ばかりで、国際学生は1年目は寮に入って日本の学生と同じ釜の飯を食うわけですから、グローバルな世界で学ぶのにこんな素晴らしい環境はありません。通常日本に来ている国際学生の大半は大学院生です。しかも、理科系が多い。学部学生で理科系ではない3000人の国際学生が89もの国や地域から来ている。こんな場所は他にはないです。それが、どこにもないAPUの強みです。

もう1つの強みは日本語と英語の2言語で教育をやっていることです。フランス語を優先するフランスにある経営大学院、INSEADですら授業は英語で行っています。そんな学校はいっぱいあります。でも、2言語でやっているところはあまりない。

日本は量の面では中国に凌駕されたといってもGDP世界第3位の経済大国ですし、質の面ではまだはるかに高いですよね。だから、将来アジアの中でのリーダーを目指している学生にとって、母国語の他に日本語と英語の両方ができるのは圧倒的に有利だと思うんです。

2030年に向けた壮大なビジョンを持っている

APUには壮大なビジョンがあるということです。例えば国連はSDGs(持続可能な開発目標)という壮大なプランを持っていますね。じゃあ、日本の企業や大学で国連のように2030年に向けた壮大なビジョンを持っているところがあるでしょうか?僕は寡聞にしてあまり聞いたことがありません。

でもAPUは、もう2年も前に是永前学長の指揮のもとに、先生方、職員の皆さん、学生、地域の人々、卒業生など、ありとあらゆるステークホールダーの意見を聞いて、2030年ビジョンを作っているんです。APUで学んだ人たちが世界に散っていって、それぞれの持ち場を見つけて、行動して世界を変えると。

開学以来150の国から学生がAPUに集い、およそ1万6000人の卒業生が世界中に散っています。現在は、89の国や地域から3000人の国際学生と日本全国から3000人の国内学生が共に学んでいますが、単に90カ国・地域から6000人と考えるのではなく、150カ国と1万6000人の裾野があると捉え、この裾野をさらに広げて、頂上をより高く引き上げていくことで、APUの多様性や国際性という強みをもっと生かすことができるのです。

この場所を使っていただかないと、もったいない

2008年、出口氏とともにライフネット生命保険
を設立した岩瀬大輔さんからの応援メッセージ

ライフネット生命保険
代表取締役社長
岩瀬大輔 氏

新天地においても、ライフネット生命保険の立ち上げでも発揮された遠い未来を正確に見渡す洞察力、時代の流れを捉える感性、卓越した発信力、そして新しいものを生み出す突破力を存分に活かされてください。英会話のレベルアップは引き続き頑張ってください。ただ、謙遜されている以上に、英語でも日本語と変わらず骨太で力強いメッセージを発信されることを私は知っています(笑)。APUから日本を代表して世界で活躍できるリーダーと、ライフネット生命保険の未来を担う社員が多数輩出されることを祈念しています!

APUでは、海外からの国際学生は最初の1年間は全員寮に入って日本語や文化を学び、さまざまな国や地域出身の国際学生や国内学生と混ざり合う。そして、2年目からは原則別府の町に住んで、地域の人々と触れ合います。

また、オフキャンパス・スタディ・プログラムという、多様な留学プログラムがあって、学生が国内外のいろんなところに在学中に出ていきます。私は、学生が外に出ていくだけではなくて、もっと外の世界の方々にAPUに来ていただきたいと考えています。

すでに企業の皆さん向けの短期研修プログラムがあったり、地域の小学生が学生と交流しに来られたりしていますが、もっとたくさんの方に大学に来ていただきたいのです。そうすることで、双方向で互いに高め合うことができると思います。

僕は間も無く70歳になりますが、1人の旅好きの人間が70年かけても80の国に行くことはできませんでした。APUに来れば89の国と地域の学生と会うことができるんです。こんないい場所はないですよ。だから、使っていただかないともったいない。

2008年、出口氏とともにライフネット生命保険を設立した岩瀬大輔さんからの応援メッセージ

ライフネット生命保険
代表取締役社長
岩瀬大輔 氏

新天地においても、ライフネット生命保険の立ち上げでも発揮された遠い未来を正確に見渡す洞察力、時代の流れを捉える感性、卓越した発信力、そして新しいものを生み出す突破力を存分に活かされてください。英会話のレベルアップは引き続き頑張ってください。ただ、謙遜されている以上に、英語でも日本語と変わらず骨太で力強いメッセージを発信されることを私は知っています(笑)。APUから日本を代表して世界で活躍できるリーダーと、ライフネット生命保険の未来を担う社員が多数輩出されることを祈念しています!

大学のマネジメントの役割は東証のようなもの

僕が学長に就任してすべきことは、まず良い学生と教員、そしてスタッフを集めることだと思っています。そのためにどうすればい いか。教育しやすい環境、研究しやすい環境を整えることです。どんなマーケットでもそうですが、ちゃんとした市場を作らないと、プレーヤーは集まらないで すよね。だから、大学のマネジメントの役割は、東証のようなものです。

そのために先立つものは、やはりお金です。だから、財務基盤をしっかり打ち立てて、良い教育や研究ができる環境を整えることが、僕の役割だと思うんです。

それから、なんでもやるから僕をどういうふうに使ったら一番大学のためになるかを考えてほしい、とスタッフにお願いしています。僕は昔からすべては機能だと思っています。社長や会長、APUの学長も、別に偉いわけでもなんでもなくて、機能なんです。

ダイバーシティーのフロントランナーになる

日本初のUWC加盟校 ISAK(アイザック)を
開校した小林りんさんからの応援メッセージ

ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパン
代表理事
小林 りん 氏

ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパンは、2014年に長野県軽井沢町に創立した3年生の全寮制インターナショナルスクール(高等学校)。現在57カ国170人が学んでいます。2017年第1期52人の生徒が卒業し、ソマリア、アフガニスタン、中国出身の3人がAPUに入学しました。APUはISAKと共通項が多いんです。奨学金制度を充実させ、家庭の経済環境によらず教育のチャンスを与えていること、地方の全寮制キャンパスに数十カ国の若者たちがともに学び暮らしていることなど。2018年からは、新学長に出口治明さんが就任されました。ライフネット生命保険というベンチャーを立ち上げた起業家であると同時に、「歴史オタク」として知られる出口さん。混沌とした時代だからこそ、人類の数百年数千年の歴史から学び、物事を俯瞰できることの重要性が高まっていると感じます。ビジネスと世界の歴史を知り抜いている出口さんをトップに迎えられて、APUという大学がこれからさらにどう進化するのか。生徒たちを大学に送り出す側として期待いたします。

世界経済フォーラムが発表した世界各国の男女平等の度合いを示した2017年度版の「ジェンダー・ギャップ指数」では、調査対象の144カ国のうち日本は114位です。恥ずかしいですよね。このランキングには健康の項目もあって日本は1位になっているから、他の項目がいかに低いかということです。先進国の集まりであるOECDの加盟国は35カ国、その中でも日本は先進7カ国のG7の1つなのにです。

だから、僕は女性の皆さんの前で講演するときには、「皆さんほど幸せな人はいません。100番くらいランキングの順位を上げられます。中学や高校で成績が100番上がったら楽しいでしょう。だから頑張って上げましょう」と言うようにしているんです。

先日BSの番組の取材を受けた時に、僕は2018年は年齢フリー、性別フリーの年にしたいという話をしました。グーグルでは年齢も性別も人事のデータから消したそうです。今どんなことをやっていて、過去のキャリアがこうで、将来こういうことをしたいというデータがあれば、何歳か、男性か女性かということは考える必要がない、というんですね。

僕はAPUを性別、年齢、国籍は全部ブラインドにして、自由にやりたいことにチャレンジできる場所にしたい。それができる環境です。今回僕が選ばれた学長候補者選挙委員会も10人中4人が外国籍で、3人が女性ですから。これがどれほどたいしたことか、大企業の指名報酬委員会の構成と比べれば分かります。

ニューヨークフィルは、昔は欠員が出たら音楽総監督やコンサートマスターなど、人格も能力も執権も十分ある人が後任を選んでいたんです。でも、ある時誰かが気がついた。なんだ、白人の若い男性がどんどん入ってくるじゃないかと。そこで人種や性別、年齢などの属性を全部ブラインドにしたんです。そうしたら、有色人種が増え、女性が増え、高齢者が増え、当然レベルが上がった。ということは、ニューヨークフィルの音楽総監督やコンサートマスターのような立派な人たちでも、見た目で騙されていたということです。だから、できるだけブラインドで判断した方がいい。

APUはすでにダイバーシティーに溢れる環境ですから、性別だけではなく、国籍とか年齢にもとらわれずに、好きなことにチャレンジできる場所にしていきたい。

日本初のUWC加盟校 ISAK(アイザック)を開校した小林りんさんからの応援メッセージ

ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパン
代表理事
小林 りん 氏

ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパンは、2014年に長野県軽井沢町に創立した3年生の全寮制インターナショナルスクール(高等学校)。現在57カ国170人が学んでいます。2017年第1期52人の生徒が卒業し、ソマリア、アフガニスタン、中国出身の3人がAPUに入学しました。APUはISAKと共通項が多いんです。奨学金制度を充実させ、家庭の経済環境によらず教育のチャンスを与えていること、地方の全寮制キャンパスに数十カ国の若者たちがともに学び暮らしていることなど。2018年からは、新学長に出口治明さんが就任されました。ライフネット生命保険というベンチャーを立ち上げた起業家であると同時に、「歴史オタク」として知られる出口さん。混沌とした時代だからこそ、人類の数百年数千年の歴史から学び、物事を俯瞰できることの重要性が高まっていると感じます。ビジネスと世界の歴史を知り抜いている出口さんをトップに迎えられて、APUという大学がこれからさらにどう進化するのか。生徒たちを大学に送り出す側として期待いたします。

多様な人たちが世界を動かしている

世界の大学のランキングがあって、認証機関もたくさんありますが、やはり目に見える形でAPUのランクを上げていきたいですね。少しでも多くの人に、日本人だけに限らず世界中の人にAPUのことを知って欲しい。世界中の人に知ってもらうことで、APUの地位が上がっていくんだと思います。

受験生を持つ親御さんに向けては、こう呼びかけたい。「『若者の国連』が日本にあるんですよ、世界の人々が集まっている場で、お子さんを鍛えたいと思いませんか? しかも日本語と英語の2言語で授業を行なっているんですよ。単に勉強するだけではなくて、ここで学んだことを糧にする。それぞれ自分の好きなことをやって、舞台は全世界で、世界を変えるという大きな夢を持っているんですよ」と。

東大や早慶に比べると偏差値が低いという親御さんがいらっしゃるかもしれませんが、世界を動かしているのは多様な人たちです。学校の成績が特別にいい人だけが首相や大使等をやっているわけではない。

APUの卒業生が行動して世界を変えていくと信じています。

※国際学生とは、在留資格が「留学」である学生をいう。国内学生には、在留資格が「留学」ではない在日外国人を含む。

CONTENTS

株式会社コンシリウム 代表取締役。東京藝術大学美術学部大学院修了 西洋美術史専攻。日経アート編集長、日経デザイン編集長などを歴任。

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株式会社コンシリウム 代表取締役。東京藝術大学美術学部大学院修了 西洋美術史専攻。日経アート編集長、日経デザイン編集長などを歴任。