世の中には、古くから消費者に愛され続けてきた、いわゆる定番商品やサービスが数多くあります。その理由をブランドが持つ安心感や信頼感に求める意見もありますが、長く評価され続けるには、それだけでは消費者の心を掴み続けることはできません。「老舗は常に進化している」という言葉がある通り、商品を長くヒットさせるためには「時代に合わせた進化」が必要です。

ブランド品も、エンタテインメント作品も、長くヒットする商品はその点が共通しています。といっても、我々消費者が気付かない変化もあるかもしれません。長く受け継がれた伝統・ブランドを守りながら、基幹部分は変わらない。「もうこれ以上の進化はない」と思われていた商品の本質価値に踏み込んで、時に大きなリニューアルという「一手」が打たれることで、従来のファンはもちろん、新たな顧客を引き込むことにもつながります。

「一番搾り」もまた、1990年の発売から長く愛される商品ですが、今回のリニューアルでは、目立ちませんが、重要な製法の進化を遂げています。その一つが麦汁のろ過温度です。雑味や渋みを低減するために低温麦汁ろ過を採用。こうすることで、麦本来のうまみを感じやすくなっているそうです。また1000回にも及ぶ試験醸造を重ね、工程や設備も一から見直したことで、クセにつながる酸味や甘い香りを抑制するという地道な努力もしています。こうした結果、これまでもバランスがとれた味わいであった「一番搾り」ですが、これまで以上に調和のとれた味わいに仕上がったそうです。

「一番搾り」は、発売当初、“おいしいとこだけ”搾ってつくるという斬新なコンセプトで話題になりましたが、話を伺うと、その後も多くの醸造家たちが情熱を注ぎ込みながらモノづくりに取り組んできたことが分かります。今回も含めたこうした「製法の進化」が、「味わいの深化」を生んでいるのだと思います。定番だからこそ、地道な努力を積み重ね、消費者の期待を上回り続けることがヒットにつながるんですね。

今回のリニューアルで、「一番搾り」の味わいが、「よりクセがなく、より調和がとれたバランスの良いもの」になったことに注目しました。ビールは食事中に楽しめるお酒なので、ある程度、量を飲むことから、「おいしさを感じながら、飲み飽きない」味を求める傾向が強まっていると思います。一番搾りは味わいが良く、シンプルにおいしい。もともと日本では、ビールや日本酒などどんな料理にも合わせるお酒を食中酒として楽しむ文化がありました。現在、和食が世界的なブームですが、1つ1つの料理の個性より、料理全体の調和を楽しむ和食的なスタイルが日本国内でも再評価されてきたことが、「一番搾り」人気につながったのではないでしょうか。

ライフスタイルも大きく変化しています。食材とレシピを宅配する「ミールキット」なども話題になっています。自宅で手軽においしい料理が楽しめるようになってきたわけです。可処分所得がなかなか増えない中、居酒屋などで飲まず、家でお酒を楽しむ層は確実に増えています。働き方改革などを背景に、男性ビジネスパーソンが早い時間に帰宅後、料理をすることも珍しい光景ではなくなりました。食事にあうシンプルにおいしいビールを楽しむシーンがますます増えることでしょう。

さらにもう一つ。消費者への訴えかけもうまい。CMなどのメインコピーは「やっぱりビールはおいしい、うれしい」。CMは「麦汁飲み比べ篇」「おいしさ実感篇」「おいしい日本篇」とシリーズで展開され、おいしいだけでなく、「おいしいって幸せだ」というメッセージを印象付ける内容になっています。それが明確に表現されたのが「おいしさ実感篇」。堤真一さん、満島ひかりさん、鈴木亮平さん、石田ゆり子さんの4名が、銭湯や屋台など、それぞれが幸せを感じるシーンで一番搾りを楽しんでいます。「おいしいって幸せだ」というメッセージが直球で伝わってくるCMですね。

ビールを含めた嗜好品市場は、かつて「売れている」ことが大きな訴求ポイントでした。しかしいま、「自分にとって良いもの」を選ぶ人が増えています。今回、CMのなかでビールは「おいしさ」が大事であることが改めて訴求されています。

商品や情報が世の中にあふれるなか、みんなが飲んでいるから、ではなく、その商品が自分にとって「何をもたらしてくれるか」という価値にお金を払う時代になってきたわけです。CMを通じて、「ビールは味」という価値を一番搾りが満たしていることが消費者の心に届いたのだと思います。

実際、「一番搾り」のCMは、消費者からの評価が高く、CM総研の調査によると、「アルコール飲料」カテゴリーのCMの中で、「好感度が1位」という評価を得ています(※)
(※)2017年12月CM総合研究所の調査より

2月からは新CMも放映されています。引き続き「一番搾り」のCMにも注目していきます。

27年前に、醸造家たちの情熱から生まれた「一番搾り」。製法上の最大の特長は、原料となる麦汁に「一番搾り麦汁(麦芽から作られる「もろみ」から最初に流れ出る麦汁)」だけを使っていることです。今回、その「一番搾り麦汁」を特別にご用意いただき、試飲させていただきました。飲んでみると、味が濃くて、そのまま飲んでもおいしい!

続けて「新・一番搾り」をテイスティング。本当に味のバランスがいい。これなら色々な料理と相性が良いのも納得です。

もし私がプライベートで「一番搾り」を楽しむなら、趣味のサルサをバーなどで踊った後、一息ついてから楽しみたい。味わいは穏やかですが、その中にはつくり手の情熱が詰まっているのが「一番搾り」。その“熱さ”は、サルサに負けない気がしますよ。もちろん、食事にも良いですし、国際的なスポーツイベントが目白押しの今後、スポーツ観戦のお供にもぴったり。そうした飲み手の使い勝手やわがままを「ど〜ん」と受け止めてくれる懐の深さみたいなものが「一番搾り」の一番の魅力なのかもしれませんね。