税務+テクノロジーの両輪でタックスガバナンスの再構築を

国際税務を取り巻く環境が激変する中、企業が直面するグローバル税務リスクは拡大の一途をたどり、ITを活用した税務マネジメントの仕組みをいかに構築するかが課題となっている。こうした中、日本企業はどのような対応をすべきなのか──。KPMG税理士法人の河崎元孝氏に話を聞いた。

KPMG税理士法人 インターナショナル コーポレート タックス パートナー/税理士 河崎 元孝 氏
KPMG税理士法人
インターナショナル コーポレート タックス
パートナー/税理士
河崎 元孝

タックスヘイブン対策税制の改正でIT導入が加速

近年、一部の欧米グローバル企業が低税率国に所得を移転し、租税回避を行うBEPS(Base Erosion and Profit Shifting:税源浸食と利益移転)が世界的な問題となった。これを受けOECDがBEPSプロジェクトを立ち上げ、新たな国際課税のルールを策定。2017年10月にOECDは、多国籍企業が税務当局に対して、個別の損益配分などを記載した国別報告書を提出することを義務付けることを勧告し、グローバルな利益配分と納税額が可視化されることとなった。

「こうした対策によって、各国の税務当局の間で情報共有が進み、日本企業も海外子会社の実態を把握しなければ、各国の税務調査に一貫性のある対応ができなくなりつつあります。このように、税務コンプライアンス関連の業務量が増大している一方で、働き方改革などの影響により税務部門の慢性的な人手不足の状態がさらに深刻化。税務マネジメントを効率化するため、ITを投入する必要性は日増しに高まっています」と、KPMG税理士法人の河崎元孝氏は語る。

税務マネジメントへのIT活用が求められている理由は、それだけではない。近年、ROE経営を実践する企業が増え、株主への配当原資となる税引後利益をいかに増やすかが大きなテーマとなっている。

「投資家への配当を増やすためには、税務コストを最適化して税引後利益を最大化しなければなりません。そのためには、各国の税制や各国子会社の税務に関する情報を収集し、グローバルにタックスプランニングを行うことが重要です。とはいえ、限られた人材でタックスプランニングに必要な全ての情報を集めることは難しい。その意味でも、税務マネジメントへのIT投入はもはや避けられない状態です」と河崎氏は説明する。

この分野で先行する欧米企業は、先進テクノロジーを最大限に活用することで、グローバルな税務マネジメントの仕組みを構築してきた。一方、多くの日本企業においては、税務部門へのIT投資が進んでいるとは言い難く、業務量の増大に対して人海戦術で対応しているのが実情だ。

「今後、BEPSプロジェクトに基づく税制改正が一段落すれば、各国で追徴・二重課税の問題が勃発するでしょう。そうして税務リスクが表面化することで、ようやく日本企業もタックスガバナンスの必要性を痛感し、税務マネジメントにITを活用する動きが広がると予想されます」と河崎氏。さらに、2017年度税制改正におけるタックスヘイブン対策税制の見直しも、こうした動きを加速させる1つの要因となり得ると指摘する。

この税制改正は、BEPSプロジェクトの基本的考え方を踏まえて行われたもの。従来、経済実体がない海外子会社でも、現地国で20%以上の租税を負担していれば、子会社の所得は日本の親会社の所得への合算課税の対象とはならないというトリガー税率があった。これが租税回避につながるとして、今回の改正では、「現地国での租税負担率に関わらず、経済実体がない海外子会社の所得は合算課税の対象とする」ことが定められたのである。

「合算課税の対象としなかった子会社について、税務調査で調査官により、“経済実体がある子会社”であることを証明するデータを要求された場合には、期限までに当局に提出しなければなりません。もし期限までに提出できなければ、要件を満たしていないとみなされ、合算課税の対象となってしまう。それを防ぐためにも、必要な全てのデータを事前に入手しておくことが重要です」

ITを活用した情報武装で増大する税務リスクに対応

しかしながら、多数の海外拠点を持つグローバル企業の本社税務部門が、全子会社のデータをかき集めるのは容易ではない。上記のような税務リスクを避けるためには、各国子会社の税務情報や各種証明書類などをグローバルに一元管理し、可視化・分析できるITインフラの構築が急がれる。

とはいえ、ITツールを導入すれば、それだけで効果的な税務マネジメントが可能となるわけではない。収集したデータを分析・活用して潜在的な税務リスクを見つけ出し、タックスガバナンスを実現するためには、税務に関する高度な知見が必要となる。

こうしたニーズに応えて、KPMG税理士法人は、税務のアドバイザリーとITの両輪で日本企業をサポート。顧客企業からの厚い信頼を勝ち得ている。

なかでも、KPMGの税務専門家が豊富な知識と経験を結集して作り上げたのが、グローバル税務マネジメントツール『KPMG LINK360』だ。これは、世界中の子会社の税務担当者がWeb経由でLINK360にアクセスし、本社税務部門の指示に基づいて情報の入力・更新を行えるようにしたもの。これを利用すれば、グループ全体の税務情報を一元管理するITプラットフォームが構築でき、日本の親会社が必要に応じてタックスプランニングやリスク管理を行うことも可能になる。

もちろん、ITを活用した効果的なタックスガバナンスの構築法について、助言を求めることも可能。世界154カ国に広がるグローバルネットワークを通じて、各国の現地税制や税務調査動向に精通した専門家の知見を活用できるのも、同社の大きな強みと言える。

「グローバル競争が激化する中、税務リスク管理やタックスプランニングを実践しなければ、欧米の多国籍企業に太刀打ちできなくなりつつあります。こうした仕組みを確立するには、税務テクノロジーの活用が欠かせません。我々が積み上げた知見を活かして、ぜひ税務の業務改革のお手伝いをさせていただきたいと思います」

なぜ、税務マネジメントにITを投入するのか?
		理想的なオペレーション体制の実現
		×人海戦術、○税務テクノロジー。
		税務部門全体では業務が増加、絶対的な人員不足 + 各国税務当局におけるテクノロジーの導入 = テクノロジーの
積極的な活用が必要!
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