IoTによるビジネス変革で新たな成長を掴み取れ

去る2018年1月25日、26日の両日、日本マイクロソフト主催による IoT 活用をテーマとしたイベント「 IoT in Action 」が開催された。本イベントはアメリカ、ドイツ、台湾、深センでも開催されており、いずれも大成功を収めている。東京会場においても、IoT 活用を実践し劇的なビジネス変革を推し進める国内企業の取り組みが数多く紹介され、満席の聴衆にIoT の可能性を実感させる2日間となった。2日目の基調講演を中心にレポートする。

オペレーションの自動化でコンビニの
デジタル革新を目指すローソンの新戦略

 コンビニ大手のローソンでは、2017年5月に新組織「オープン・イノベーション・センター」を発足させた。同社の白石卓也氏は、その経緯を「労働人口の減少などを背景に、当社でも生産性向上が大きな課題になっています。今後も持続的な成長を遂げていくためには、AI や IoT などの先進技術を用いて、自動化・機械化をさらに進める取り組みが欠かせません。そこで、全社横断でイノベーションを推進する組織として当センターを新たに開設。外部のベンチャー企業やパートナーとも協力してビジネス革新を目指すと同時に、様々な新技術の目利き役も担います」と説明する。

株式会社ローソン
執行役員
オープン・イノベーション・センター長

白石卓也 氏

 イノベーションラボにおいて現在様々な実験を展開中だ。たとえば同社が開発した「レジロボ」は、専用カゴをレジにセットすると商品の RFID タグを読み込んで自動的に計算を実行。さらには袋詰めまで自動で行われる。また、その他にも、商品をバッグに入れてゲートを通過するだけで支払処理が行える「ゲート決済」や RFID による商品管理、デジタルサイネージとの連携によるプロモーションなど、多岐にわたる技術検証が行われている。
 「こうした取り組みを通して、店舗オペレーションの効率化と、お客様への新たな買い物体験の創出を進めていきます」と白石氏は続ける。

IoT によるサプライチェーン革新も推進し
“データ活用経営”に舵を切る

 さらに同センターの取り組みで注目されるのが、「デジタルストアプラットフォーム」の実現だ。「我々が保有する決済データと IoT データを組み合わせれば、これまでにない様々な業務革新が可能になります」と白石氏。その一例がサプライチェーン改革である。
 現在経産省と大手コンビニ5社では、すべての商品に RFID タグを貼り付ける構想を進めている。「これが実現すれば、製造フェーズにおけるトレーサビリティ確保や偽物防止、物流フェーズにおける配送/棚卸の効率化、販売フェーズにおけるレジ/在庫管理効率化、賞味期限管理の徹底など、サプライチェーン全体に大きな効果をもたらすことができます」と白石氏は語る。実現に向けては様々な課題もあるが、将来的には「世界初の個品管理プラットフォームをオープンなインフラとして構築していく」(白石氏)という。
  社会の情報化が進んだことで、企業のビジネスモデルも一段と複雑化。今後の IoT 時代を勝ち抜いていくためは、データをどれだけビジネスに結び付けられるかが重要なポイントとなる。「データ活用経営へと舵を切り、『お客様にとってなくてはならないお店』を目指していきます」と白石氏は締めくくった。

REIDベースのサプライチェーンプラットフォーム

ローソンの構想するIoTを用いたサプライチェーンの革新(講演資料より)。
RFID や AI 、ロボットなど様々なテクノロジーを融合させ、データ活用経営を実現する。

IoT で未来の建設現場を創造するコマツの
「スマートコンストラクション」

 日本企業によるグローバル IoT 活用を語る際に、その名前が挙がるのが建機メーカー大手のコマツである。同社が展開する遠隔稼働管理サービス「 KOMTRAX 」(コムトラックス)は、建設現場で利用される車両の位置情報や保守情報、稼働情報などをシステムに収集。これを分析・活用することで、建機の最適活用や予防保守、盗難防止など様々なメリットを実現してきた。さらに、その次のステップとして現在同社が取り組んでいるのが、建設現場の安全性・生産性・品質の飛躍的な向上を目指す「スマートコンストラクション」である。

コマツ
スマートコンストラクション推進本部
システム開発部 部長

赤沼浩樹 氏

 同社の赤沼浩樹氏は「建機そのものだけでなく、施工のオペレーションにまで踏み込んで、スマートで安全な未来の建設現場を創り上げる。これが、スマートコンストラクションの狙いです。様々な先端技術を取り入れることで、建設業界が抱える人材不足や技術伝承などの問題を解消していきたい」と語る。
 その一端を担うのが、先進的な自動制御機能を組み込んだ ICT 建機だ。3D 設計データを元に建機自体が掘削位置などを判断するため、従来のように補助者を置かずとも正確な施工が行える。
  ただし、スマートコンストラクションの実現に向けては、これだけではまだ不十分とのこと。赤沼氏は「工事には建機を使わない作業もありますので、前後の工程まで含めて考えないと真の生産性向上は実現できない。たとえば、土の搬出入を行うダンプトラックが滞留すると、せっかくの ICT 建機も待つだけになってしまいます。そこでスマートコンストラクションでは、調査測量、設計、施工、維持管理までのすべての工程を 3D データで繋ぎ、建設生産プロセス全体の最適化を実現します」と続ける。

グローバルサービスの迅速な立ち上げに
Microsoft Azure が貢献

 例えば、ドローンなどを利用して施工現場の高精度測量を実施。これを 3D 設計データと重ね合わせれば、どの場所をどのくらい掘れば良いかが事前に把握できる。これにより、施工計画の立案やシミュレーション、進捗管理などを効率よく行うことが可能。ちなみに ICT 建機にはステレオカメラが装備されており、施工現場の画像を3D地形データに変換できるという。他の建機や人が掘った場所なども、デジタル情報として活用できるのだ。
 さらに見逃せないのが、ダンプトラック運行管理アプリ「 TRUCK VISION 」だ。スマホの GPS 情報を用いて地図上に各車両の位置をマッピングし、安全で効率的な運行を支援。ICT 建機にはすくった土量を測るセンサーも搭載されているため、過積載を未然に防止することもできる。
  同社では、こうしたスマートコンストラクションを支えるアプリケーション群を、Microsoft Azure 上に構築。赤沼氏は「短期間でサービスを立ち上げるにはクラウドの活用が必須。東京・大阪で災害対策が行える、グローバルで一番リージョンが多い、日本法人との契約が可能といった点を評価して Microsoft Azure を選びました」と語る。同社では今後も様々な機能強化を実施し、スマートコンストラクションのさらなる進化を追求していく。

コマツのスマートコンストラクションでは、施工現場のあらゆるシーンで IoT を活用(講演資料より)。エッジコンピューティングと Microsoft Azure の連携で、建設生産プロセス全体の最適化を実現する。

IoT による劇的なビジネスモデル変革で
新たな成長機会を獲得

 ビジネスモデル変革をテーマとしたセッションでは、まず米マイクロソフトで IoT デバイス関連事業を担当するAndrew Smith氏が登壇。IoT で新たな収益モデルを創り上げる際のポイントや、海外製造業での成功事例などを披露した。Smith氏はその講演において「今後は様々な業種・業態の企業が、IoT によって新たなビジネスチャンスを掴めるようになる」と指摘した。

Microsoft
Sr. Director IoT Device Experience

Andrew Smith

 これを体現した日本企業として紹介されたのが、Linux サーバーやネットワーク機器の製造・販売を手がけるぷらっとホームだ。これまでハードウェア販売を中心に事業を展開してきた同社だが、現在ではその方針を大きく変えつつある。IoT デバイスと IT システムとをつなぐゲートウェイ製品「 OpenBlocks IoT 」をゼロから新規開発すると同時に、大量のゲートウェイ製品を遠隔地から統合管理する新サービスも投入。これにより、モノを売って終わりという従来型のビジネスから、継続的にサービスで稼ぐビジネスへと大転換を進めている。
 同社代表取締役社長の鈴木友康氏は「投資が利益に先行するなど、初期には様々な苦労もありました。しかし現在では売上、利益とも大幅に拡大。IoT の可能性は非常に大きく、挑戦しただけのリターンは必ず得られます」と語る。

ぷらっとホーム株式会社
代表取締役社長

鈴木友康 氏

 同社の成功には様々な要因があるが、鈴木氏がその一つとして挙げるのが他分野の企業とのパートナーシップだ。「最適な IoT 環境を実現するために、デバイスベンダーと共にエコシステムを構築。またサービスを支えるクラウド基盤には Microsoft Azure を採用し、高い信頼性や業務保護を実現しています。IoT のビジネスを進める上で、どのパートナーと組むかは大変に重要。パートナー選びを失敗すると事業や企業そのものがなくなる覚悟が必要です」と鈴木氏は強調した。

信頼できるパートナーとの「共創」が
IoTビジネスのカギになる

 アドバンテックのマイク小池氏と東京エレクトロン デバイスの西脇章彦氏をパネラーに迎えたパネルディスカッションでは、両社の取り組みや IoT 活用を成功に導くポイントなどが語り合われた。モデレータを務めたのは日本マイクロソフト 業務執行役員 IoTデバイス本部長 菖蒲谷雄氏だ。

写真左から、日本マイクロソフト菖蒲谷雄氏、アドバンテック株式会社 マイク小池氏、東京エレクトロン デバイス株式会社 西脇章彦氏

 アドバンテックでは、2010年から IoT ビジネスへの戦略転換を断行。第1フェーズではハードウェアを、第2フェーズではソフト/ハードを一体化したソリューション・プラットフォームをそれぞれ提供してきた。「さらに第3フェーズでは、パートナー企業との『共創』をベースに、IoT ソリューションの実現を下支えする役割を担っていきます。IoT ビジネスにおいては、開発パートナーなどが有する業務知識が非常に重要。これとテクノロジーイネーブラーである当社のプラットフォームや Microsoft Azure を組み合わせることで、新たな波を起こせると考えています」と小池氏は語る。

アドバンテック株式会社
社長兼日本地区最高責任者

マイク小池 氏

 また、東京エレクトロン デバイスでも、IoT プロトタイピングが容易に行える「 Azure IoT PoCキット」をはじめ多彩なソリューションを提供。西脇氏は「最近では PoC に留まらず事業への本格適用を図りたいとのご要望も多い。そこでデバイスメーカーなどのパートナー企業と協力し、様々な業種・用途向けのソリューションも開発しています」と語る。さらに同社では、Microsoft Azure をベースとしたソリューション開発を促進する「 IoT ビジネス共創ラボ」を展開。「コミュニティ活動をきっかけに、具体的な案件にもつなげていければ」と西脇氏は続ける。

東京エレクトロン デバイス株式会社
IoTカンパニーエンベデッドソリューション部
部長代理

西脇章彦 氏

 IoT で新たな価値を生み出すには、チャレンジ精神とパートナーシップが重要というのが両氏に共通する意見となった。テクノロジーに精通した信頼できるパートナーと手を組むことが、事業成功の早道と言えそうだ。

IDCホワイトペーパー] 高度化する企業ユーザーの課題に対応する
マイクロソフトの IoT エンドツーエンドソリューション

URL : https://info.microsoft.com/JA-AzureIoT-CNTNT-FY18-09Sep-19-MicrosoftsIoTendtoendsolution-MGC0001102_01Registration-ForminBody.html

IoT共創ラボサイト

URL : https://iotbizlabo.connpass.com/

イベントプレゼンテーション資料ダウンロードページ

URL : https://devicepartner.microsoft.com/en-us/assets/collection/presentations-from-iot-in-action-tokyo-japan-event#/