AI・IoT時代のデータ活用羅針盤 ビッグデータ・コンパス2018

Uber、東京サマーランドのAI活用に学べ!

去る2018年2月20日、日経BP社主催による「 Cloud Days 2018 東京」において、「新規サービス開発でビッグデータを活用すべき理由」と題し、日本マイクロソフト クラウド&エンタープライズ ビジネス本部 新井真一郎氏が講演を行った。会場は満席で、その熱気からも関心の高さが伝わってくる。「 AI で得た知見をビジネスにどう適用していくか?そこではビッグデータ活用が欠かせない」と新井氏は語る。クラウドにビッグデータを載せて全く新たなサービスを創出、収益を拡大していくアプローチとは。

AI で得た知見をビジネスに適用していくフェーズが勝負どころ

AI もビッグデータも、過去に技術トレンドとして話題を集めたことがある。当時と現在の大きな違いは、技術革新、デジタル化が進む社会や企業の動向に加え、クラウドの普及に伴う利用環境の変化が大きい。かつては高額な投資やスペシャリスト人材を必要としたことから、一部の大企業しか手が届かなかった AI やビッグデータ活用が、クラウドによって企業規模を問わず、誰もが低コストかつ手軽に利用できるようになった。
「今、クラウドでビッグデータ活用に取り組むお客様が急増しています。親和性の高い、AI とビッグデータを掛け合わせる本当の意義、そのポテンシャルについてご説明します」と日本マイクロソフト クラウド&エンタープライズ ビジネス本部 新井真一郎氏は切り出した。

日本マイクロソフト株式会社
クラウド&エンタープライズ ビジネス本部
OSS戦略担当部長

新井 真一郎 氏

新井氏は 講演冒頭で国内外の最新事例を紹介。例えば今、AI を用いて本人確認のための顔認証を行う技術が注目を集めている。世界中に自動車配車サービス事業を展開する Uber は、運転手と乗客向けにアプリにログインする際の顔認証の仕組みを Microsoft Azure を利用し短期間で構築した。確実な本人確認によって、運転手も乗客も安心して Uber を利用できるようになる。こうした仕組みは、従来は精度とスピードが課題となったが、Uber が構築したクラウドシステムは、数千に及ぶ運転手や乗客が毎時間ログインしても、顔認証 API のレスポンスは驚くほど速く正確で、セキュリティの向上を図りながらビジネスを止めることがない。

遊園地を運営している東京サマーランドでは、入場チケットの販売経路の多様化等に伴って顧客層の把握が困難となり、来場者の属性や満足度の把握には感覚的な要素が含まれ、網羅性と精度の面で課題があった。そこで東京サマーランドでは AI を活用しネットワークカメラで撮影した顔画像を分析。画像に映り込んだ群衆一人ひとりの年齢、性別、感情などの属性を特定して「どのような人の来場が多いのか」を可視化しマーケティングに活用、顧客満足度の向上につなげていく。こうした顧客のリアルタイムな行動分析は AI とビッグデータ活用の好例だ。

東京サマーランドではネットワークカメラの画像をクラウドに集約して解析、様々なマーケティング戦略に活用している。
(クリックで拡大)

またモバイル向け配信事業を行うエイベックス通信放送は、AI を活用しコンサート会場の観客の反応を数値化する取り組みを行っている。ライブ映像から来場者の顔を検知し、その表情と、ライブの盛り上がりや演奏されている楽曲などとの関連性を分析。より観客の心に響くイベントにするべく内容と質を高めている。

「ご紹介した3つの事例では、顔検知・照合、画像認識、感情解析などの API を学習済みの機能として提供する Microsoft Cognitive Services をご利用いただいています。簡単に API を呼び出しアプリケーションに組み込むことができるため、非常にスピーディに新しいサービスを提供することが可能です」と新井氏は話し、AI を活用したサービスをどうビジネスに適用していくかが勝負どころとなる、と強調した。
「例えば、配車サービスでは顔認証によって“安心”を提供することで市場が広がりました。AI を活用し遊園地やコンサートの来場者、店舗の来店者の属性を把握できれば、その知見に気象情報やイベント情報、購入履歴などのビッグデータを組み合わせ、顧客一人ひとりの満足度向上や、顧客に全く新しい体験を提供するサービス開発のアイデアにつなげていくことができます」

AI ×ビッグデータ活用の最終的なゴールはビジネスへの貢献だ。“ビッグデータを組み合わせて何ができるのか?”を常に問う必要がある。

AI とビッグデータでビジネスを大きくスケールさせる

ビッグデータ分析は過去から事実を導き出すことができる。このビッグデータ分析を活用している事例として、新井氏は小松製作所(以下コマツ)の建設現場向けソリューションの取り組みを紹介した。 建設機械の ICT 化を積極的に行ってきたコマツは、機械のみならず建設現場全体の ICT 化を推進し、現場に関わるすべてのものを有機的につなぐ「スマートコンストラクション」を提供している。
ドローンや3Dレーザースキャナー、建設機械の運転席に搭載されたカメラなどで工事現場の状況を画像や位置情報として収集・分析し可視化する。それらの情報を活用し、効率的かつ燃費の良い建機の使い方の実現など、建設機械の価値を高め、顧客のビジネスに貢献する。
スマートコンストラクションの基盤には Microsoft Azure が採用された。システム構築開始からわずか2カ月でサービスインし、自社にサーバーを持つオンプレミス型に比べて約半分という低コストでの立ち上げを実現。Microsoft Azure は世界中にクラウド基盤の拠点(リージョン)があり、リージョン間での高速通信の提供など、サービスのグローバル展開がしやすい点も採用の決め手になったという。
「コマツ様は IoT とビッグデータを活用し、建機ビジネスから、建機の利用企業の End to End の幅広いサービスビジネスへの価値提供を展開されています。IoT 資産を簡単かつ安全に利用できる Azure IoT Hub で様々なデータを収集。それらのデータをクラウド上のサービス基盤に投入し、最適な施工計画の提案やシミュレーション実現されています。建設現場の企業と共に建設現場の課題を解決し、安全で生産性の高い『未来の現場』の創造を目指されているのです」と新井氏は語る。

グローバルなIoT活用事例として注目を集めるコマツの「スマートコンストラクション」。
ビッグデータ分析で建設現場の新たな価値を生み出している。(クリックで事例動画を再生

新井氏はその他、クラウド上で日々トランザクションデータを分析し不正利用を検知している世界トップクラスのカード会社、店舗やECサイトの購入履歴などを分析し、来店者のスマーフォンに最適なクーポンをリアルタイムで発行する全米大手小売業の事例を紹介した後で、こう付け加えた。
「カードの不正検知だけでなく、AI で“顧客の動向を予測する”といったサービスをプラスすることも可能です。パターン認識、機械学習で未来を予測できる AI と、膨大なデータから価値を見出すビッグデータ活用を掛け合わせると、ビジネスを大きくスケールさせることができるのです」

AI ×ビッグデータ活用における“3つの秘訣”とは

ビッグデータの活用で、今まで人手や勘に頼っていた長時間の分析作業を大幅に削減できるとともに、膨大なデータに基づく高精度な予測結果を用いて業務プロセス改革や新しいビジネスの創造に役立てることができる。AI ×ビッグデータ活用には3つの秘訣があると新井氏は指摘する。

秘訣1:PaaS でスピード・コスト・スケールを実現!

クラウドを利用する場合、IaaS( Infrastructure as a Service )ではなく PaaS( Platform as a Service ) を選択することが重要なポイントとなる。IaaS は仮想サーバーなどのインフラのみを提供するサービスであり、そこから開発環境を構築するためのコストや時間がかかる。一方、開発環境を含めたプラットフォームとなる PaaS は、AI やビッグデータ分析などの機能がインストール済みで、即座にそれらを利用できる。クラウドの PaaS を上手く活用することで短リードタイム開発、コストの抑制に加え、運用の自動化により性能が不足した場合にもすぐに増強できるようになる。

秘訣2:データ収集から分析・活用までを一気通貫で実装!

ビッグデータ活用の課題の1つにデータベースの孤立、いわゆるサイロ化がある。小松製作所グループのコマツマイニングのビッグデータ活用の事例では、従来サイロ化していたデータを Microsoft Azure に集めることで、建機から集まる IoT のデータに加えて、顧客情報など今までの基幹業務データと組み合わせることが可能になり、分析精度の飛躍的な向上によって機器の稼働率の倍増を実現した。
Microsoft Azure はデータの収集から膨大なデータの蓄積、機械学習や分析、AI やビジネスインテリジェンスまで様々なサービスをクラウド上で利用でき、一気通貫で新ビジネスをスピーディかつ効果的に展開できる。

Microsoft Azure は、データベースから音声・画像・動画のサポート、ビッグデータ分析・活用までをオープンソースベースの PaaS 上に用意。あらゆる企業のあらゆるデータでの新サービス開発に対応できるオープンなクラウドだ。

秘訣3:新規サービス開発を支える高信頼クラウドの選択を!

ビッグデータを収集し蓄積するプラットフォームとなるため、クラウドの信頼性は重要となる。Microsoft Azure は国内外のセキュリティ基準はもとより、セキュリティに対する厳しい要件を有する金融情報システムセンター安全対策基準( FISC )にも準拠している。また日本国内でも東西に2リージョンを長らく提供してきた実績があり、災害対策の実現が容易な点も見逃せない。

マイクロソフトの高信頼なクラウドが、企業のセキュアな AI ×ビッグデータ活用を強力にサポート。

講演の最後に、AI やビッグデータのビジネス適用の観点から、マイクロソフトでは今後パートナーとの連携強化を図っていくと新井氏は語った。
「 AI ×ビッグデータ活用、そしてクラウドで新しい価値を創出し、スピーディにサービスビジネスに展開し収益を拡大していく。マイクロソフトでは、デジタル時代の顧客の成長戦略を、パートナー様とともに支援していきます」

今後のビジネスにおける AI ×ビッグデータ活用のポテンシャルを熱く語った新井氏。
日本マイクロソフトはデータドリブンの新たな企業価値創造を支援していく。

関連リンク

日本マイクロソフトの AI ×ビッグデータ活用ソリューション

https://azure.microsoft.com/ja-jp/solutions/big-data/

ビッグデータ事例リンク集

・東京サマーランド様

https://www.microsoft.com/ja-jp/casestudies/summerland.aspx

・エイベックス様

https://news.microsoft.com/ja-jp/2017/09/01/170901-avex-microsoft-faceapi/

・小松製作所様

https://www.microsoft.com/ja-jp/casestudies/komatsu2.aspx

・コマツマイニング様

http://jp.cloudera.com/more/customers/komatsu.html

・コマツマイニング様(動画)

https://vimeo.com/243057090

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