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働き方進化論

支店が多い、外勤が多いなど、企業活動におけるナレッジの共有は規模の広がりと共に難しくなる。例えば、支店間を跨ぐ会議をどう設定するか。顧客からの要望をどうタイムリーに社内のスタッフに共有するか。そこでは単に迅速に動くだけでなく、顧客を納得させる質を伴ったアウトプットも常に要求される。外勤内勤を問わず、支店間の枠も超えて、付加価値を生み出す高密度のビジネス・コミュニケーションを実現できないか――。その課題に果敢に取り組み成果を上げたのが、全国規模でオフィス環境事業や商環境事業を展開する株式会社オカムラだ。


働き方の多様化に伴うコミュニケーションの希薄化が
課題として浮き彫りに

株式会社オカムラ
取締役
オフィス営業本部
首都圏営業本部長
河野 直木氏

2018年4月1日、株式会社岡村製作所は株式会社オカムラに社名を変更した。新社名にはオフィス家具などを製造・販売する“メーカー”から、“トータルソリューションカンパニー”に発展しようというメッセージが込められている。単なるオフィスづくりだけなく、そこでの“働き方の提案”も含めて、顧客のビジネスを支援していこうというのだ。
 オカムラの強みは顧客との密なコミュニケーションによる質の高い提案だ。全国に広がる支店網で常に顧客のそばに寄り添い、ニーズを引き出してきた。現在、オカムラの従業員は3000名を超え、全国93支店を数える。だが日々営業担当者が顧客と接し続けるワークスタイルには、大きな課題が内在していた。関東を中心に25支店を束ねる首都圏営業本部において、以前の状況を首都圏営業本部長 河野 直木氏はこう振り返る。
 「一言でいえば社内コミュニケーションの希薄化と非効率性です。お客様の近くに営業拠点を置くことには大きなメリットがある一方、支店が分散しているため、お互いの状況が分からず似たような提案を別々の支店で作っていたり、せっかくの成功事例が共有されず、同じ失敗を繰り返したりしていました。また大きなプロジェクトの場合、例えば東京と大宮などで合同チームを組むことがありますが、打ち合わせのために担当者が都度出張するなど、時間的なロスも大きくなっていました。私達の仕事は、営業担当者、デザイナー、プロジェクトマネージャー、オフィス施工の現場監督まで、“チームワーク”なくして成り立ちません。お客様のニーズに応えながら高い成果を生み出し続けるため、支店間そして社内外を密に結ぶコミュニケーション革新を早急に図る必要があったのです」
 働き方改革の具現化には“オフィス環境”“人事制度”“ IT 環境”の3つをバランス良く進めていくことが重要だと河野氏は語る。こうして、社内と社外、支店と支店を密につなぐ ICT ソリューションの検討が始まった。

全支店の社員をつなぐ新たなコミュニケーションツールを

株式会社オカムラ
オフィス営業本部
企画調査部 マーケティング課
御手洗 千陽氏

25支店を結ぶコミュニケーション手段をどうするか――。オカムラの首都圏営業本部がたどり着いた答えが、チャットベースの親しみやすいインターフェースで、プロジェクトごとの打ち合わせや資料の共有が簡単に行える Microsoft Teams だ。PC だけでなくスマートフォンからも使え、場所を問わないシームレスなコミュニケーションと情報共有を支援する。だが、新しいツールの一斉導入はそう簡単ではなかった。2017年夏の導入当時を振り返るのは、ICT の活用推進リーダーであるオフィス営業本部 企画調査部 マーケティング課の御手洗 千陽氏だ。実は導入当初は反対意見も多かったという。
 「普段からスマートフォンでチャットを使う若い世代は Teams にすぐ馴染んだようですが、メール文化が根強い世代からは反発がありました。特に多くの案件を抱える社内デザイン部門のディレクター陣からは“同時に進行する複数のプロジェクトをメール以外のツールですべて把握する自信がない”という声が圧倒的多数でした」
 そうした社員からの反対意見を受けて、御手洗氏が選んだのは強制ではなく“まずは試してから話し合いましょう”というフレキシブルな姿勢だった。
 「大人数が関わる、いくつかの大型プロジェクトに絞って Teams を試してみることを提案しました。もしうまくいかなければ他のやり方を考えましょう、というスタンスです。実際に Teams を導入して1ヶ月後にディレクターと話してみると、その反応は180度変わっていました。“ Teams は情報共有や進捗管理がとてもしやすい”“もう Teams がなければプロジェクトが成り立たない”という想定以上のリアクションが返ってきたのです」と御手洗氏は語る。
 新しいコミュニケーションツールを導入する際には、社内で共通ルールを作ることも重要だと御手洗氏は話す。
 「社外向けの正式なやり取りにはメールを使いますが、社内のやりとりでは“おつかれさまです”“よろしくお願いします”など無駄な作文も多いメールをやめて Teams のチャットを推奨しています。また、口頭での会話だけでなく資料を共有しながらのコミュニケーションが必要な場合には Skype for Business を使うなど、デモンストレーションを交えながらルールづくりを進めたことも功を奏しました」
  こうしたコミュニケーションの“交通整理”により、1日のメール数が300通超から50通程に激減したという社員も現れた。現在、首都圏営業本部では、新規プロジェクトを受注すると、その案件ごとに Microsoft Teams を活用することが常識になっている。チームには営業部門もデザイン部門も関係者が全員参加し、スピーディな情報共有と意思決定に欠かせないツールとなった。その後、トップ層が積極的に活用する等、様々な施策を重ねることで Microsoft Teams の利用は急拡大し、首都圏営業本部25支店をカバーするコミュニケーションツールとして定着していった。

Microsoft Teams活用を定着させるコツ

  • ●“使ってください”ではなく“試してください”という姿勢で働きかける
  • ●最初の Teams 活用成功事例を作り、波及効果で他部門への浸透を加速
  • ●メールや Skype for Business など“手段の使い分け”をルール化

メンバーの集合知があらゆるシーンで強力な武器に

株式会社オカムラ
オフィス営業本部
金融法人営業部 第一支店
田中 久喬氏

現在オカムラの首都圏営業本部では、Microsoft Teams によって400人規模のチームがネットワークされている。かつて1支店内に留まっていたコミュニケーションが首都圏全体に広がったメリットを、金融法人営業部第一支店の田中久喬氏はこう強調する
 「以前は新しい案件が動いた時に相談できるのは、同じ支店や今まで関わったことのあるメンバーだけでした。Teams を活用することで、支店や役職を超えて多くの人とリアルタイムにつながることができるのは大きな強みになっています。例えばあるオフィス提案のコンペ案件で、首都圏全体のチームにアイデアの募集をしました。そこで集まった数多くの案を活用することで、支店単位では決して出せなかったレベルの提案を実施でき、最終的にお客様の高評価を得て受注につながったのです。これはオカムラにとってだけでなくお客様にとっても、価値ある使い方だと思います」

そして営業担当者と連携して働くワークプレイスデザイン部のチーフデザイナー 武田京子氏は、プロジェクトメンバーへの情報共有において、Microsoft Teams が強力な武器になると話す。
 「オフィスのデザインを担当していますが、大きなプロジェクトの場合には支店の枠を超えて、営業、施工担当、プログラマーなど様々なメンバーとチームを組みます。以前は CAD 図面やデザイン資料はデータが重いため同報メールなどでは送りにくかったのですが、Teams のクラウドにアップロードすれば、迅速かつ平等にプロジェクトメンバー全員に共有できる点はとても役立っています」
 メールと違いスマートフォン等からもスキマ時間にコメントが返しやすく、「いいね!」機能があることでプロジェクトの進行もスムーズになった。また納期に追われがちなデザイナーだからこそ、Microsoft Teams には助けられているという。
 「オリエンからプレゼンまでの納期が短いプロジェクトの場合、頭の中でストーリーができていても企画書をつくる時間が足りないというケースがよくあります。そういった場合には Teams で似た事例や参考資料がないかをデザイナーのチームで投げかけると、各デザイン室から瞬時に役立つ情報が集まるので効率的に企画書の作成を進められます」

株式会社オカムラ
オフィス営業本部
ワークプレイスデザイン部
チーフデザイナー
武田 京子氏

Microsoft Teamsの活用メリット

  • ●プロジェクトごとにチームを立ち上げることでメンバー全員にリアルタイムに情報を共有
  • ●個別のメール送付がためらわれる重たい資料も Teams 上のクラウドで最新バージョンを一元管理
  • ●支店間を超えたアイデアによる質の高い提案実現と、資産を有効に活用したスピーディな資料作成

全員の成功体験の共有でプラス志向の組織を目指す

ほかにもオカムラの首都圏営業本部では、朝礼の音声を Microsoft Teams で共有し出張や直行の際にも情報共有を可能にしたり、アップロードした会議資料を PC やスマートフォンで見ることでペーパーレス化を推進したりなど、多角的な働き方改革を進めている。河野氏は導入プロジェクトの成果と今後の展望について次のように語った。
 「今では若手社員から支店長に至るまで、以前はバラバラの拠点と感じていた者同士が、“つながること”の意味を実感しています。それを見ると涙が出る思いです。首都圏営業本部でのこの成功体験を活かして、今後は全社規模で部門横断的に Teams を使っていきたいですね。3000名を超えるオカムラ社員が成功体験やノウハウを共有することで生産性を高めながら、全体がよりプラス志向の組織になっていくことを期待しています。ルーティン業務を効率化することで総労働時間を削減すると同時に、新しい価値を生み出す仕事を増やしていくなど、我々自身が率先して働き方改革に取り組んでいき、その体験や得られた成果をお客様にフィードバックしていきます」

column

人間を中心とした働き方改革の提案を通して
お客様のビジネスを支援

株式会社オカムラ
マーケティング本部
フューチャーワークスタイル戦略部
はたらくの未来研究所 所長
遅野井 宏氏

2015年に発足したオカムラ発の働き方改革プロジェクト「 WORK MILL(ワークミル)」を軸に、常識にとらわれないワークプレイス提案をしている同社。働き方改革におけるビジョンをマーケティング本部 フューチャーワークスタイル戦略部の遅野井宏氏はこう話す。
 「社内外の人たちと協力しながら、国内外のワークスタイル事例を研究する中でたどり着いた答えは“人間を中心とした働き方の設計をする”ということです。働く人にとって望ましい“オフィス環境”“人事制度”“ IT 環境”を連携させながら働き方を設計していくことが重要だと考えています」
 働き方改革を推進する企業で取り入れられはじめている“ ABW( Activity Based Working )”。モバイル端末等を活用し、いつ・どの場所で働くのが最も効率的かを自律的に選択しながら働くワークスタイルだ。
 「当社では働きやすいオフィス空間の設計に合わせて、ABW をベースに時短勤務やサテライトオフィスの活用、コアタイムのないフレックスタイムを設定する等、人事制度も大きく変革しています」
 オカムラでは働き方改革を推進するため、積極的にサテライトオフィスを活用する“オフィスラボ戦略”を展開中だ。近くにある部門同士を“ラボ”という形で統合することにより、朝は家に近いラボで効率的に働き、電車の空いている時間に座って通勤しながら情報収集するなど移動時間も有効活用することができる。
 また遅野井氏は、コミュニケーションにおけるロス、情報を探すロス等、それだけでは価値を生まない作業で時間を無駄にしている企業がまだ日本には多いと問題提起する。最近注目しているツールが、Microsoft 365 E5 の機能の1つで、個人の働き方を可視化できる MyAnalytics だ。
 「 MyAnalytics で自分の働き方を分析すると、“会議の回数が多く1つの会議が長い”“自ら率先して動いた業務は成果が出せている”“チームメンバーとのコミュニケーション量の多寡”など様々な気づきが得られます。今後はこうした自己分析も改革に取り入れていきたいですね。
 MyAnalytics のような可視化も含めて、このソリューションには“日本の働き方”を大きく変えるポテンシャルがあると感じています。オフィスという軸で働きやすさを支えていく我々オカムラとしても、マイクロソフトと業界を超えたコラボレーションをしながら、様々なお客様の働き方を支援するビジネスを展開していきたいと思います」


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