特別冊子ダウンロード

働き方進化論

去る2018年4月4日に日本マイクロソフトで実施された『働き方改革実践プロジェクト発表会』では、参加12チームがそれぞれの働き方改革の取り組みのプロセスと成果を発表した。その中から注目すべき4つの事例を紹介する。社内外を問わず自由な発想で ICT ツールをフル活用し、新たなコミュニケーション創出と業務効率化につなげたアプローチとは?各営業本部のマネージャーに訊いた。


CASE 01:流通サービス営業統括本部
顧客の変化をデータで把握し会話の質を高める

日本マイクロソフト株式会社
エンタープライズ事業本部
流通サービス営業統括本部
統括本部長
成塚 歩氏

流通業界は少子高齢化とそれに伴う労働人口の減少の中で大きな転換期を迎え、デジタルテクノロジーの進歩と新たな競合の登場が市場環境を激変させつつある。そうした中、流通サービス営業統括本部における働き方改革では、顧客の動きをいち早くキャッチし、コミュニケーションの量と質の向上を実現することがテーマとなった。「営業担当者はできる限り多くの時間をお客様と過ごすべきである」という原則を貫き、非生産的な業務に割かれている時間の削減を図り、「週20時間以上をお客様先で過ごす」という目標が掲げられたのだ。
 「まず4名の営業担当者の1ヵ月の働き方を Power BI で分析しました。可視化してみると、1週間の平均労働時間40.5時間のうち、顧客との対面時間は目標値に近い19.6時間確保されていたものの、社内作業が10.9時間、移動が10.4時間あることが明らかになりました。そこで、この時間的ロスを解決し、さらにお客様と過ごす時間を量・質の両面から拡大することを目指したのです」と統括本部長の成塚氏は語る。

営業担当者4名の働き方を Power BI と MyAnalytics で可視化。改革の切り口をここから導き出していった。

まず社内業務効率化のため、Microsoft Teams 上に BOT を築き、経費精算方法や出張の承認フローなど、ノンコア業務に関する問い合わせを24時間365日、スマホから行えるようにした。これにより、週平均で一人当たり1.5時間の作業時間を削減できた。
 さらに、顧客と対面している時間の質を上げるために、Twitter 上の顧客に関連するキーワードや、ニュース、株価情報などを Power BI で自動収集。顧客関連情報を1つのダッシュボードでリアルタイムに見られるようにした。その結果、商談時に旬の話題や周辺ニュースの提供など会話の引き出しを広げることができ、タイムリーな提案ができるようになった。

社内業務効率化のため Microsoft Teams上にボットを構築。経費精算や各種の承認フローなどの確認を24時間スマホから行えるようにした。
Power BI を活用して、顧客に関する様々な情報をダッシュボードに一元化。対面での商談時、データに基づいた質の高いコミュニケーションの広がりに貢献。

加えて顧客とのコミュニケーションにも Microsoft Teams を用いることで、リアルタイムの情報共有、大容量ファイルのスムーズな受け渡しが可能になり、顧客との距離感が一層縮まっただけでなく、ミーティング時間の削減など副次的な効果も出ている。成塚氏は、「現在16社のお客様と Teams を活用していますが、今後は約80社の担当顧客全体への拡大を図っていきたいですね」と決意を新たにしている。

流通サービス営業統括本部における取り組み成果

  • 業務効率化のため Microsoft Teams 上に BOT を構築し一人当たり1.5時間/週の社内作業を削減
  • Power BI でソーシャル情報/ニュース/ファイナンス情報などを複合的に分析し顧客に最適な提案をタイムリーに実施
  • 16社の顧客と Microsoft Teams を活用し、リアルタイムに近いコミュニケーションを確立

CASE 02:西日本営業統括本部
顧客との緊急対応にチャットを活用し関係性を好転

日本マイクロソフト株式会社
業務執行役員
エンタープライズ事業本部
西日本営業統括本部 兼 西日本第一営業本部
統括本部長
川原 俊哉氏

西日本営業統括本部では、働き方改革の推進に先立って現状の問題点と改善目標について広く部内の意見をヒヤリングした結果、いくつかの改善すべきポイントが顕在化した。まず、「部内の情報共有をより円滑にして、有機的なコラボレーションを図る必要がある」ことが判明。次いで、「データ活用を促進し、スピーディで的確な意思決定を進めたい」、さらに「働き方を可視化して、一層改善を進めたい」という意見も寄せられた。
 一方改善ポイントを阻害している要因に目を向けてみると、社内外のコラボレーションに関するものが多かった。統括本部長の川原俊哉氏は「それらの課題は、チャットベースのコミュニケーションが行える Microsoft Teams を活用することで解決が図れるのでは、と考えたのです」と語る。
 同本部の取り組み発表で大きな反響が寄せられたのは、部内だけでなく、緊急対応事案を抱えていた顧客との間でもあえて Microsoft Teams を活用したことだ。「緊急だからこそ、より緊密なコミュニケーションを形成し、事態の早期解決を図りたい」という思いによるものだった。その結果、チャットベースのコミュニケーションによって、情報共有のスピードが加速し、顧客担当者との間で一層詳細な本音のつき合いを深めることができた。さらに「議論」や「相談」だけでなく、カジュアルな「立ち話」など、さまざまなレベルでコミュニケーションが図れるようになり、フォーマルな会議を開催しなくても、以後の案件対応が進めやすくなったという。

西日本営業統括本部における取り組み成果

  • 顧客とチャットできると自然な会話で本音を引き出しやすくなり、距離感が縮まる。使わない手はない!
  • リアルタイムにこだわらずに「議論」「相談」「立ち話」ができるため、会議なしで案件対応を進めやすくなった
  • 会議を開催する場合でも、事前に会話できているため短時間で済ませられるように

「当初は厳しい意見をいただくことも多かったお客様から『コミュニケーション深化に役立つ』『非常に便利だ』という声をいただき、最近では逆に『今、ちょっといいですか?』と、お客様からアプローチしてこられることも多くなってきました。チャットというコミュニケーション手段がもたらした、これは本当に驚くべき変化です。実際に会議を開催する場合にも、事前に Teams 上で情報共有を進められるので、会議時間の短縮と会議密度の向上にもつながっています」と川原氏は話す。
 緊急対応を契機として、顧客との絆を深める狙いで始めたチャレンジではあったが、結果的に相互の障壁も低くなり、信頼関係を深めることができた。チャットというツール活用の好例と言えるだろう。

CASE 03:運輸・サービス営業本部
負荷をかけずファクトベースで部下の状況を把握

日本マイクロソフト株式会社
エンタープライズ事業本部
エンタープライズ事業本部
運輸・サービス営業本部
本部長
竹内 洋二氏

マネージャーと営業担当を貫くデジタル活用こそが、顧客への提案力向上の源泉だ。運輸・サービス営業本部では、従来5名だった営業チームが14名体制になり、3倍近くへと陣容が拡大した。大きくなった組織には、それにふさわしいコラボレーションの仕組みが必要になってくる。一方で各自の担当アカウントも増加し、14人で90社を担当することになった。すなわち、1担当でより多くの顧客をカバーするために、運輸・サービス営業本部の営業担当者は、顧客対応の徹底的な効率化を図る必要に迫られていたのだ。
 本部長の竹内洋二氏は「チーム全体でコラボレーションを強化し、最終的なビジネス成約率をアップすること。そしてそれを実現するため、各人の業務プライオリティを迅速に決定しビジネスチャンス発掘につなげていく、チームとしてのデジタルトランスフォーメーションが必要でした」と話す。
 一方、チーム全体を束ねるマネージャーは、自らも顧客と過ごす時間を拡大し、確かなアウトプットを出さなければならない。同時にメンバー一人ひとりとコミュニケーションを深め、サポートしていくことが求められる。
 「限られた時間の中で部下の状況を把握し、密度の高い1on1ミーティングを継続して行う必要がありました。そこで、部下に負荷をかけずに事実に基づいた会話を行うために、Power BI、MyAnalytics、OneNote といった複合的なツール活用を進めたのです」(図参照)

マネージャーと部下の1on1ミーティングにおいて、働き方の振り返りに Microsoft 365 の様々なツールをフル活用。短時間でもデータに基づいた密度の高いコミュニケーションを可能にした。

効果的な動きを生み出すために、週次のビジネスサイクルを曜日ごとに決定。月曜に全体で戦略・戦術の見直しを図り、火曜~木曜は各自が外に出て、お客様のためにフル稼働。そして金曜日に、当該週の実績を振り返り翌週への再準備を進めるものとした。そのためのコミュニケーション手段として、Microsoft Teams を活用している。
 同本部では適切なコーチングと優れたツールの活用によって、組織拡大とコミュニケーション緊密化という二律背反の課題を克服。さらに、Microsoft Teams 活用においては顧客のBDM(意志決定者)をも巻き込み、関係性強化も実現した。実際のビジネス成果においても、期末の数値目標を達成している。

運輸・サービス営業本部における取り組み成果

  • メンバーのコラボレーション状況や現在の達成率などを MyAnalytics や Power BI を用いて手間をかけずに1on1ミーティングで確認
  • ファクトベースの1on1ミーティングで、マネージャーがメンバー全員を的確にサポート
  • 顧客とのコミュニケーションにも Microsoft Teams を活用し関係性を強化

CASE 04:デジタルトランスフォーメーション事業本部
新人の効率的なフォローでオンボーディング時間を大幅削減

日本マイクロソフト株式会社
デジタルトランスフォーメーション事業本部
ビジネスイノベーション推進本部本部長
内山 光樹氏

短期間で急速な陣容拡大を進めてきたデジタルトランスフォーメーション事業本部では、逐次的な採用で入社期間も様々な入社したての社員の比率が非常に高い。そのため、それぞれの意識や働き方のスタイルが不均等になりがちで、組織としてのベクトル合わせが課題となっていた。
 同本部の内山氏は「日本マイクロソフトとしての基本的な働き方や、そこで求められるスキル習得の効率化、円滑なコラボレーション環境の創出など 新人のフォローアップを促す仕組みづくりを進めました」と話す。
 ポイントは、組織内の知見の蓄積~共有~活用だった。そこで、Microsoft Teams を標準ツールに定めて窓口の一本化を図り、提案書や製品情報、教育コンテンツなどもここに集約した。さらに業務連絡や顧客向けコンテンツ、役立つURL集、自由な情報流通のための書き込みスペースである「カフェテリア」等を設置し、誰もが積極的に活用することを促した。

デジタルトランスフォーメーション事業本部での取り組み例。新人社員とのコミュニケーションの効率化やナレッジ共有に Microsoft Teams を有効活用。フリートークができるチャンネルでは自己紹介も活発に行われた。

「その結果、新人のフォローアップについては、従来3カ月間で平均6.43時間/月の勉強会を開催していたものが、Teams の活用によって、2.45時間/月となり、50%以上のオンボーディング時間削減を達成できたのです」と内山氏は成果を話す。副次効果として「新旧メンバー一丸となって問題解決に当たろう」という機運も醸成されたという。
 デジタルトランスフォーメーション事業本部ではこのほかにもメール対応時間などを MyAnalytics で可視化、コミュニケーションを Microsoft Teams に移行するなど働き方の改革も計り、一人当たりの業務時間を2.5時間/週削減、一方で部内コミュニケーションを3倍活性化することにも成功している。

取り組みの結果、新人とのオンボーディング時間の3カ月間の平均は2.45時間/月となり、以前の状況から50%以上の削減を達成した。

デジタルトランスフォーメーション事業本部における取り組み成果

  • 新人のオンボーディング時間を50%削減
  • 各自の業務時間を2.5時間/週削減
  • 部内コミュニケーションが3倍活性化

現場から始まる働き方改革がビジネス成果に結実する

以上概観してきたように、現場起点の働き方改革には、“自分たちの働き方の課題を自分たちで工夫して解決していく”スタンスが共通している。全社一様のトップダウンの働き方改革施策だけではなく、こうした部門単位の改善こそ、それぞれが持つリソースのパワーを最大化し、ビジネスの成果につなげていく“真の働き方改革”と言えるだろう。
 そして、部門単位で行ってきた働き方改革の成果を互いに共有することで新たなコラボレーションや知の共有が生まれ、最終的にトップダウンの働き方改革との調和・融合が進む。日本マイクロソフトの営業部門における様々な取り組みは、そうしたモデルケースとして大いに参考になりそうだ。

PAGE TOP

SPECIAL DOWNLOAD

『働き方進化論〜変化を味方にする働き方〜』無料ダウンロードはこちら

RELATED CONTENTS

働き方改革コンテスト 人事本部の挑戦 デジタルトランスフォーメーションで「働き方改革NEXT」へ!