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働き方進化論

ビジネス環境の流動性がますます高まる今、顧客に高い価値を提供し続けるためには、個人やチーム起点でイノベーションを加速度的に創出する必要があり、そのための環境づくりが経営に求められている。このような認識のもと、リクルートのグループ会社であるリクルートキャリアとリクルートジョブズでは着実に働き方改革を進め、さまざまな施策を積み重ねてきた。そして、現在取り組んでいるテーマが、社内コミュニケーションの強化である。コミュニケーションの改革が、社員の意欲やパフォーマンスにどう影響したのか? 同社グループにおける取り組みを紹介する。


イノベーション創出の加速を目指し働き方改革を推進

リクルートグループが働き方改革の目標として掲げるのは、「イノベーションの創出を加速させること」。株式会社リクルート 働き方変革担当役員 野口孝広氏は、「不確実性が高く変化に富むビジネス環境のなかで、今まで以上に新しい価値を創造して社会に貢献していくためには、より一層組織の多様性を高めながら、社員が個々の能力を存分に発揮できる環境が必要です。そして、その先にイノベーション創出の加速があると考えています」と語る。
 これまでの取り組みついて野口氏は、「リモートワークの推進やそれに伴うセキュリティの強化、人事制度の変革、IT ツールの活用などさまざまなことにパラレルに取り組んできました。これらは相関関係があって何かを変えるとどこかに副作用が起こります。そのため、第1ラウンドは失敗してもいいくらいの気持ちで、実証実験をスピーディに、数多く推し進めてきたのです」と話す。

働き方の多様化に伴うコミュニケーションの希薄化が
課題として浮き彫りに

取り組みを重ねるなかで、課題として浮上してきたのが、ミドルマネジメント層(部課長に相当)によるマネジメントの難易度が上がっているという問題だ。組織のフラット化により管理する人数が増加傾向にある一方、マネジャー自身もプレイヤーとしての成果が求められ、絶対的な時間が足りないという問題が浮上していた。
 その実態を事業会社リクルートキャリア メディアサービス事業本部 マネジャーの津田学氏は、「リクルートは、もともとみんなで互いの課題を共有し、ワイガヤしながら問題解決を図るという社風がありました。しかし、近年オフィスのフリーアドレス化やリモートワーク推進などによって、物理的に対面する機会が減り、距離感が生まれていました」と語る。

株式会社リクルートキャリア
メディアサービス事業本部
中途メディアサービス営業統括部
営業2部 1グループ マネジャー
津田学氏

また、別の事業会社リクルートジョブズ 営業本部 高崎グループ/宇都宮グループ グループマネジャーの福島盛太郎氏は、「私は、高崎と宇都宮の2グループを見ており、それぞれのグループに十分な時間を確保することが必要でした。しかし物理的にも距離がある2グループをみることはとても難しく、そのためメンバーに対しても常に最適なタイミングで的確なアドバイスを行うことが難しくなっていました。また、定例の会議では報告や共有事項に終始してしまい、新たなアイデアやひらめきを共有する時間や仕組みが足りないことも課題でした」と語っている。
 このような現場の課題解決を ICT の側面から支援するため、営業職や企画職の社員が使いやすいコミュニケーションツールを検討した結果、両社が選択したのがチャットベースで様々な情報共有が行える「 Microsoft Teams 」である。

株式会社リクルートジョブズ
営業本部 エリア営業統括室
エリア営業推進3部 高崎グループ/宇都宮グループ
(2018年3月時点)
グループマネジャー
福島盛太郎氏

お客様への対応スピード向上やアポイント数の増加などに大きな効果

Microsoft Teams を使い始めたことで、成果があったと2人のマネジャーが口をそろえるのが、まずコミュニケーションの量と質の向上である。「メールを使っていたころは、たとえば提案書を全員で共有しづらい仕組みでした。Microsoft Teams を使えば、それが簡単にできます。提案書を1人でゼロから作るのではなく、他の人のアイデアを参考にできるので、効率よく提案書の質を上げられます。また、リアルのコミュニケーションではその場にいない人の意見は聞けませんが、Teams ならどこからでも参加できるので、提案に対するアドバイスも活発になりました」と説明する。さらに2つのチームを管理する福島氏は、「物理的に離れている高崎と宇都宮のチームをつないで使っています。これによりお互いのエリアで得られた知見を即座に共有できるようになりました」と語る。
 コミュニケーション量と質の向上は、ビジネスのスピードアップにつながっている。「今は、誰かが質問をすると、ほぼ10分以内に他のメンバーが回答したり、過去の類似案件の資料をアップするといったことが起きています。たとえば、お客様先を出た直後に疑問を投稿して、それに対して帰りの電車で回答を受け、帰社した時にはもうお客様への回答ができるという具合です」(津田氏)
 業務プロセスの改善によりコア業務へ割ける時間が増えるという効果も出ている。福島氏は「会議時間を約55%削減し、お客様と向き合う時間を創出できた結果、アポイント数が増加し、なかでも新しいお客様と会話する回数が40%も増加できました」と断言する。
 さらに、マネジャーの負荷軽減という効果も見逃せないという。メンバー間で自律的に質問、回答が行われるようになった結果、「マネジャーがメンバーに次から次と質問されて、自分の業務に手が付けられないというようなことがなくなりました」と津田氏は語る。

Microsoft Teams 活用効果

メンバー間のコミュニケーションが増加し業務プロセス改善も実現

両社における取組についてリクルートが行った調査によると、利用者の大半が相談と質問頻度が増えたと答えた。特にメンバー間の横のコミュニケーションが増大しており、営業メンバー内の相談・質問頻度は87%が、営業・内勤スタッフ間の相談・質問頻度は90%が増えたと回答。
 また、意思決定リードタイムの短縮についてもプロセス全般において約半数が「短くなった」と答え、高い活用効果が認められた。(グラフ参照)

メンバー間のコミュニケーションの増大

意志決定リードタイムの短縮

株式会社リクルート
働き方変革推進室
エバンジェリスト
趙 愛子氏

Microsoft Teams を活用した組織では、メンバーが気軽に情報を発信できるようになり、互いの課題を把握したり経験者がアドバイスを与えるといったコミュニケーションが明らかに活性化する。リクルート働き方変革推進室 エバンジェリスト 趙愛子氏は、「メールのようにあいさつ文を書いたり、CC に誰を入れるか悩む必要がなく、コミュニケーションが圧倒的に早く、楽になります。チャットに紐づけて文書共有ができる点も優れています。それに絵文字や写真、動画なども活用できる“楽しい”という要素、これも見逃せません。導入したある部門で話を聞いたところ、“ Microsoft Teams を使い始めてから仕事が楽しくなり、提案の質も上がった結果、数カ月ぶりに営業目標を達成しました”というエピソードを聞きました。コミュニケーションの改革がいかに重要か、確信できました」と評価する。

こういったツールを使う場合、メンバーが積極的に情報を発信しなければ形骸化しがちだが、今回トライした組織では、そうならないための工夫を凝らしている。リクルートジョブズの福島氏は「 Teamsは、自由にチャネルを設定できるので、たとえば青森出身者とか、バンド好きといった仕事と直接関係ないチャネルを作り、自由に使っていいという雰囲気づくりに気を配りました。また、最初はあらかじめ数名のメンバーにチャット上で質問をするよう頼み、それに自分が答えることで、効果を見せていきました」と語る。リクルートキャリアの津田氏は、発言内容を仕事に限らないチャネルを作る他に、「リーダー格と若手の2人のメンバーに、積極的に発言してコミュニケーションを引っ張ってくれるよう頼みました。また、投稿を読んだら「いいね」ボタンを押すことをルールにしました」と工夫を話す。

プロジェクトを話し合うチャットに紐づけて、あらゆる文書を一括管理できる。リソースを一元化することで本質的なコミュニケーションに集中できる。

コミュニケーションデータを分析し
組織ビルディングに活かしていきたい

株式会社リクルート
働き方変革推進室
シニアプランナー IT担当
川岸滋也氏

リクルートでは今後、蓄積したコミュニケーションデータの分析と活用を検討している。そこでは Microsoft 365 E5 に含まれる分析ツール「 MyAnalytics 」が活躍する。MyAnalytics は、会議やメールに費やした時間、誰とコラボレーションをしているかなどを可視化し、AI がよりスマートな働き方を提案してくれる機能だ。
 リクルート 働き方変革推進室 シニアプランナー IT担当 川岸滋也氏は、「 MyAnalytics で、各メンバーは、自分がどんな仕事に時間を使っているか、どんな人とどんなやり取りをしているかが可視化されます。これが社員の気づきになり、改めて仕事の進め方を考え直すことができるでしょう。その分析結果を評価や組織ビルディングに活かすことで、組織の生産性が向上し、業績に反映させることもできると考えています」と期待を語った。
 コミュニケーションの質と量を圧倒的に向上させ、イノベーション創出の加速を支援するリクルートグループの働き化改革の取り組み。今後の展開と成果に注目が集まる。

column

業績と人材育成を左右する5つのスキル」

取材の中でリクルート野口氏は、「働く」を研究し続けている「リクルートワークス研究所」が国内の約2000社のマネジメント層へアンケートを行った結果を紹介。「ジョブアサインメントの際に、特に業績と人材育成を左右する5つのスキルが非常に重要であることが浮き彫りになりました」と以下を紹介した。

  • ① リアルタイムフィードバック:注意やポイントの指摘は事前に行う
  • ② ディスクローズ性:成功、失敗含めオープンである
  • ③ 手上げ誘導:仕事を割り当てる際、あたかも自ら手を挙げたかのように誘導する
  • ④ 加筆修正:文書の加筆修正などの際、メンバーがためになったと思うアドバイスを行う
  • ⑤ 期待値調整:上の要求を伝えるだけでなく、目標設定を組織に合わせて調整する

野口氏は、「 Microsoft Teamsは、①、②、④に対して、非常に効果的です」と語り、成果をあげる組織マネジメントに有効であることを評価した。


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