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社員を幸せにしたい 会社がすべきこと

Vol.1 法人向け保険に入って事業存続のリスクを減らす エヌエヌ生命保険 チーフマーケティングオフィサー 信岡良彦氏に聞く 《前編》

「家業イノベーションラボ」で
後継者支援

伊藤税理士や会計士を通じて、保険を「経営を支える重要なツール」として、もっと経営者に知ってもらう必要がありますね。

信岡はい。ぜひ経営者の皆様に知っていただきたいです。

また、保険の啓蒙とは直接関係していませんが、中小企業の経営を支えるひとつの試みとして、現役の経営者だけではなく、将来事業を継ぐ後継者の皆様を支援する活動を行っています。社会貢献活動の一環として、2017年11月から、NPO法人ETIC.(エティック)、NPO法人「農家のこせがれネットワーク」と提携して始めた「家業イノベーションラボ」です。

これは既に事業を承継されて革新的な取り組みで活躍されている若手経営者と、家業を営む実家があり、将来的に継ぐことを考えている若手社会人や学生も含めた後継者候補をつなぐ取り組みです。このようなネットワークを作ることで、家業を継ぐ意味やその可能性、家業を基盤にイノベーションを起こすためのヒントを得ていただくことにより後継者育成の一助となることを目指すものです。

農家のこせがれネットワーク代表の宮治勇輔さんはみやじ豚という会社の代表でもあります。家業の養豚場を継いで「みやじ豚」というブランド豚肉を作り上げた“家業イノベーター”です。その宮治さんがこんなことをおっしゃっていました。

「事業承継の主役は先代社長ではなく後継者。承継は最も友好的な会社の乗っ取りだ。技術、歴史、文化など(家業の)何に後継者が価値を感じ、それを継ぐことで何を達成したいのかが重要だ」

私もそう思います。私たちは保険による資金面の支援に加えて、こうした視点から後継者の事業承継の準備に対してもサポートを強化したいと考えています。

エヌエヌ生命保険は、中小企業の後継者や後継者予備軍の若者を支援する「家業イノベーションラボ」という活動にも力を入れている

伊藤私は創業者の父が亡くなった後に社長になったので、自分で会社の文化を変えていかないといけませんでした。父の後を継いだ先代の社長は結果的に会社の状態を悪化させたので、その分、私の色に変えることはやりやすかった。しかし、社員が私を見る目は厳しかったですね。資金が承継の全てを解決できるとは言いませんが、重要な部分を補ってくれる支えにはなります。

信岡家業イノベーションラボに参加した後継者たちも皆、古参社員や先代からの取引先との関係づくりに苦労したと話していました。保険商品があれば、少なくとも財務や資金繰りなどの苦労は軽減することができます。

その上で、この家業イノベーションラボで大事なことは、後継者が経営者になるには覚悟が必要だと気づいてもらうことにあります。「親がやっていた仕事だから」となんとなく家業を継ぐのではなく、経営者として「自分が何を実現したいのか」という主体性を持って臨むことが何より大事なのです。

(この項続く、構成:吉村克己、編集:日経BP総研 中堅・中小企業ラボ)