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社員を幸せにしたい 会社がすべきこと 優秀な人材が集まる、社員が幸せを感じる会社になるには何が必要だろうか。給料の額、福利厚生の充実、仕事のやりがいなどはもちろん重要な要素だ。ただ、こうした要素は会社の経営が安定して初めて実現できるものばかり。社員を幸せにできる、安定した会社になるための条件とは何かを探っていく。

Vol.2 事業承継で慌てる経営者 突然訪れるリスクにどう備える?

エヌエヌ生命保険
チーフマーケティングオフィサー
信岡良彦氏に聞く 《後編》

金管楽器や医療器具のめっきなどを手掛ける日本電鍍工業(さいたま市)の伊藤麻美社長が、エヌエヌ生命保険の信岡チーフマーケティングオフィサー(CMO)に法人向け生命保険による経営リスクの減らし方を聞く対談の後編。今回は、伊藤社長が会社を継いだときの経験を基に、事業承継にはどんなリスクが伴うのか、それを軽減するために保険がどのように役立つのかを聞いていく。

2018.5.18

分散した株式を買い取るにも
資金が必要

伊藤私は一人っ子ですので、会社の株を相続する際にもめ事はありませんでした。しかし、先代の兄弟が会社にいたり、後継者に兄弟がいたりすると事業承継の際に株が分散してしまうリスクがあります。支配的な株主がいなくなると、会社の経営が迷走したりしかねません。こうしたときにも生命保険が役立つことがあるのですか。

信岡お客様のニーズを探るカスタマー・エクスペリエンス(CX)チームが中小企業経営者からヒアリングした結果によれば、先代が遺言などを作って株を誰に相続するのかをあらかじめ明確にしておけば、相続はトラブルになることなく円滑に進むことが多いようです。

また、会社の定款であらかじめ、株の売り渡し請求について定めておけば、相続で株を取得した株主に対して強制的に会社に株を売り渡すよう請求できるので株の分散を防ぐことができます。

ただし、こうした売り渡し請求をするにも、会社が株を買い取るための資金が必要になります。この場合は、時価をベースにした当事者間の合意で株価が決まるので価格が高くなりがちです。その買取資金として保険金が役立ちます。

事業承継にまつわるさまざまなリスクについて話し合う信岡CMO(左)と伊藤社長(右)

伊藤前回伺ったような会社を存続させる場面と、今回のような事業承継の場合では、活用できる保険の種類に違いがあるのでしょうか?

信岡法人向けの生命保険は経営者の万が一のときに備えるものですが、その保険金は事業承継において必要となるさまざまな資金として活用できます。当社では事業承継が起きた際に必要となる資金を「かうじそ」と総称しています。「か」は借入金返済資金、「う」は運転資金、「じ」は自社株対策資金、「そ」は相続対策資金です。

2018年1月、当社では「中小企業経営者の『突然』の事業承継準備に関する実態調査」の結果を発表しました。2000人の中小企業経営者を対象に、法人向け生命保険に加入していた事業承継者が保険金をどんな用途に使ったのかを調べています。その結果、突然に事業承継をした人(突然承継者)と計画的に事業承継した人(計画承継者)では用途に違いがあることが分かりました。「借入金の返済資金」に保険金を使った人は突然承継者で33.3%、計画承継者で14.1%。「当面の事業運転資金」の場合は突然承継者が43.3%に対し、計画承継者は28.2%など、いくつかの用途では大きな開きが生じました。これは、突然承継をすることになった人ほど、借入金返済や運転資金確保のための資金調達に慌てたことを示しているのではないでしょうか。