NTTアドバンステクノロジ RPAで“現場フレンドリー”な業務改善を推進する方法とは?

NTTの生産性向上のためにRPAツールを独自に開発

エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社 ソリューション第二事業本部 ビジネスロボティクス ビジネスユニット ビジネスユニット長 博士(工学)濱野 輝夫氏
エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社 ソリューション第二事業本部 ビジネスロボティクス ビジネスユニット ビジネスユニット長 博士(工学)濱野 輝夫氏

業務効率化のためにシステムを刷新したのに、現場の作業は以前よりも煩雑になってしまった。こうした状況に陥る企業は少なくない。システム開発者だけでは、現場作業の詳細までは把握できないからだ。NTTアドバンステクノロジの濱野 輝夫氏は、「現場の業務改善を推進するためには、現場で働く社員が自ら考えて自律的に行動できるような環境が必要です」と強調する。こうした環境を実現するために、同社が開発したのがRPAツール「WinActor(ウィンアクター)」である。

WinActorは、パソコンを自動操作するシナリオを現場の社員が作成できる“現場フレンドリー”なRPAツール。同社が現場フレンドリーと表現する理由は、プログラミングの知識を一切必要としないからだ。グラフィカルなフローチャート画面で、様々な操作を規定するシナリオを作成可能。これにより、表計算ソフトやWebブラウザーといった個人向けのツールから、ERP(統合基幹業務システム)やグループウエアなどの業務システムまで、幅広いソフトウエアの操作を自動化することが可能だという。

同社がWinActorを開発した背景には、NTTグループ全体にかかわる課題があった。同グループでは2010年ごろから、あらゆる業務にWebシステムの導入を開始。しかし、新システムと旧システムの機能にはギャップがあり、これらをカバーするために人手による作業が発生していた。濱野氏は「冗長・単調で膨大な作業に、現場の社員が悲鳴を上げるような状況でした」と語る。

こうした課題を解決するために、NTT研究所に在籍する社員がRPAツールを開発。このツールをグループ会社に広げていくとともに、機能を洗練させていった。これを2014年に商品化したものがWinActorだという。


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受注業務に導入することで作業時間を10分の1以下に

WinActorに自動処理を行わせる際には、まずはシナリオを作成することから始まる。WinActorの起動後にPCを操作するとその内容を自動的に記録し、シナリオのひな型となるフローチャートを生成する。次にグラフィカルなフローチャート画面の上で、マウスによるドラッグ&ドロップやクリック操作でシナリオを編集する。豊富なユーザーライブラリーがそろっているので、プログラミングの知識がなくても条件設定の編集を行うだけで、高度なシナリオを作成することが可能だ。例えば、住所管理システムにおいて、「住所」と「旧住所」が異なるときだけ住所情報を更新するといったシナリオが簡単に作成できる。作成したシナリオを選択して実行すれば、後はWinActorがシナリオ通りの操作を自動的に行う。

ITに精通していない社員がシナリオを作成できる現場フレンドリーな環境が顧客企業から高く評価され、2018年3月末時点で850社もの導入実績を誇っている※1。シナリオの作成に高度な知識が必要な他社製ツールからWinActorに乗り換える企業も増えつつあるという。

図1 GUIによるシナリオの編集作業

図1 GUIによるシナリオの編集作業

マウス操作でシナリオを編集できるので、現場の社員だけでもシナリオを作成できる

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食品物流の大手ニチレイロジグループはそうした企業の1つだ。同社は、運送事業の基幹システムへの入力作業にWinActorを活用。表計算ソフトと基幹システムの間でデータを連携する作業を自動化した。この結果、人手による転記がなくなるとともにチェックや確認の作業も不要になり、業務の効率が大きく向上した。受注1件当たりの作業時間は、従来の130秒から10分の1以下の10秒へと大幅に削減した。

この業務における導入効果を高く評価した同社は、WinActorの適用範囲を拡大する計画だという。現在、現場の社員がWinActorで自動化できる業務を洗い出すとともに、シナリオを作成できる人材の育成にも努めている。WinActorで生産性を向上させた業務の動画を作成し、RPAツールの導入効果を社内にアピールしているところだ。

RPAツールの導入を成功させる秘訣を濱野氏は次のように語る。

「現場の社員が、ほかにも自動化できる作業がないかと探るような雰囲気を醸成することが大切です。つまり、業務改善に対する意識改革が、RPAツールの導入を成功に導くことになるのです」

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ロボットを容易に管理できるクラウドサービスも提供へ

同社では「使いやすさ」「利用シーンの拡大」「価値の増大」の3つを軸として、今後もWinActorを強化していく計画だ。

まず「使いやすさ」の面では、「操作性・適用性」と「管理のしやすさ」を追求する。前者では2018年度中に、対応するWebブラウザーの増加やビジュアルプログラミングGUI(グラフィカル・ユーザー・インタフェース)の刷新、Microsoft Office最新版への対応に取り組む。後者では、フローティングライセンス(どのコンピュータでも、ライセンス数の範囲内であれば利用可能にするライセンス方式)へ対応する※2

図2 WinActor導入による現場の改革事例

図2 WinActor導入による現場の改革事例

受注1件当たりの作業時間を従来の10分の1以下へと大幅に削減。確認やチェックの作業も不要になった

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次に「利用シーンの拡大」では、2018年度の下期に2つのクラウドサービスを投入する予定だ。1つ目の「ロボット管理サービス」は、社内にある複数のロボットをクラウドで一括管理するサービスだ。ダッシュボードから社内のロボットを一元的に運用管理することが可能になる。もう1つの「ROD(Robot on Demand)」は、ロボットの稼働状況に応じて従量課金するサービス。低コストで利用を開始できるので、小規模ユーザーに適したサービスだと位置付けられる。

最後に「価値の増大」では、パートナー企業のソフトウエアやサービスとWinActorを連携させることによって、複合型ソリューションの提供を目指す。例えば、米ベリントが提供するソフトウエア「デスクトップ&業務プロセス分析(DPA)」と連携することで、RPAツールを導入する前の業務選定・分析を支援するソリューションを提供する。米ドキュサインのクラウド型電子署名サービス「DocuSign」と連携して、紙ベースの承認行為を電子化・自動化するソリューションの提供も計画している。

濱野氏は「現場が自律的に改善活動に取り組むことは、業務改革の新たな潮流です。現場フレンドリーなRPAツールを駆使すれば、これを実現することが可能です」と強調した。

※1 導入実績は2018年4月現在で1,000社突破
※2 2018年6月、フローティングライセンス版を販売開始予定


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お問い合わせ

エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社
URL : http://www.ntt-at.co.jp/product/winactor/