今日のアイデアが明日のイノベーションを創る ビジネス革新を最速化する「鉄則」とは? vol.1

業種を越えたイノベーションも創出可能に Tech革命で生まれるチャンスとリスク

vol.1 業種を越えたイノベーションも創出可能に Tech革命で生まれるチャンスとリスクvol.2 企業をつなぐ新しいシステム基盤「OpenCanvas」日本の金融イノベーションがここから生まれる

新たな価値創出に向けた活動を全方位で展開

株式会社NTTデータ 執行役員 第四金融事業本部長 三宅 信一郎氏
株式会社NTTデータ 執行役員 第四金融事業本部長 三宅 信一郎氏

デジタル技術の急速な進歩は、企業のビジネスや日々の生活にも劇的な変化をもたらした。現在では特別なIT知識を持たない一般消費者でも、市場に提供されている様々なサービスを手軽に活用できる。

こうした状況を背景に、企業ITの担い手である情報システム部門やSIerの役割も大きく変化しつつある。「これからも、各種の業務システムを維持し続けることの重要性に変わりはありません。しかし、その比率が徐々に下がってくるであろうことも確かです。今後はユーザーの方々に支持されるユニークなサービスを、いち早く投入して市場を獲得する——。そうした前向きな取り組みに、より一層、力を注いでいくことが求められます」とNTTデータの三宅 信一郎氏は指摘する。

同社では、こうした時代の変化に即応するための活動を意欲的に展開している。「長年にわたり、銀行やクレジットカード会社などの金融機関向けサービスを提供してきた当社は、高度な安定性や信頼性が要求される、いわゆる『SoR(Systems of Record:重要な情報を記録するシステム)』を強みとしてきました。しかし近年では、新たな変革を成し遂げるための『SoE(Systems of Engagement:ビジネスをつなぐシステム』にも積極的に取り組んでいます」と三宅氏は続ける。

例えば、その1つが、「オープンAPI」への対応だ。金融機関の決済機能とFinTechベンチャーの各種ソリューションを組み合わせることで、金融イノベーションをさらに加速させるのが狙いだ。

同社でも、国内ほぼすべての金融機関が利用する「ANSER」サービスの残高照会や入出金明細連絡、振込・振替などの機能を、API経由で利用できるサービスを提供。「さらに、この取り組みをもう一歩進めたのが、ANSERの各種APIとその管理機能を包括的に提供するクラウドサービス『OpenCanvas(オープンキャンバス)』です。ここでは金融機関やFinTechベンチャーの方々が、新しい金融サービスをよりスピーディに展開できる環境を実現しています」と三宅氏は話す。

※API:Application Programming Interface。あるシステムのデータや機能を外部から利用するための手順や仕様を定めたもの。


様々な業態の企業が柔軟に連携できるエコシステムを確立

OpenCanvasには金融イノベーションを支援する様々な先進機能が備わっている。中でも注目されるのがAI(人工知能)/機械学習技術の活用を全面的にサポートしている点だ。囲碁ソフト「AlphaGo」の活躍などで、一般にも広く知られるようになったAI技術だが、金融サービス分野においてもその可能性に期待する声は大きい。しかし、AIを用いたサービスを新規開発する場合、従来は多種多様なAIの特性を把握した上で、個別に連携開発を行う必要があった。そしてこのことが、AI活用の大きな障壁となっていた。

「そこで今回当社では、自社開発の『Altemista Cloud AI Connector』の技術を活用し、Amazon Web ServicesやGoogle、IBM、Microsoftなどの企業が提供するAI/機械学習サービスとOpenCanvasとのAPI接続を可能にする機能を新たに追加しました」(三宅氏)

このAI接続サービスを利用すれば、各社のAIの違いを意識することなく、効率的にアプリケーションを開発することができる。三宅氏は「お客様からも、こうしたオープンなAI活用を実現しているのは世界的に見ても日本のANSERだけと高い評価をいただいています」と語る。

NTTデータがこれほど「オープンであること」にこだわるのは、それこそがイノベーションの源泉と考えているからだ。「我々SIerは、昔から一貫して『統合化して最適化する』という役割を担ってきました。今後の新しい金融サービスの創出に向けても、金融機関やFinTechベンチャーなどのプレーヤーが、柔軟につながれる環境を提供する必要があると考えています。共通インタフェースの上で、いろいろなアイデアを自由に持ち寄って形にできるエコシステムを確立できれば、日本の金融イノベーション、さらには銀行、金融機関、他業界を含めた社会イノベーションを生み出すことも可能になるはずです」と三宅氏は言う。


機械自身によるデータ活用でビジネスの俊敏性を大きく向上

株式会社NTTデータ 執行役員 第四金融事業本部長 三宅 信一郎氏

新たなサービスの創出に向けては、アジリティ(俊敏性)も重要なポイントとなる。いくら画期的なアイデアを思い付いたとしても、マーケットへの投入に長い時間が掛かるようでは、ユーザーの支持は得られない。「当社でも、『基盤』『プログラム開発』『データベース(DB)』の3つの領域で、ビジネスのアジリティを高めるための取り組みを進めています」と三宅氏は説明する。

1点目の基盤については、先にも触れたOpenCanvasがこれを担う。高信頼のクラウド環境やAPI管理基盤、ユーザー同士をつなぐ共創の場を用意することで、強固なイノベーションの土台を確立。また、APIやアジャイル開発などの手法を用いることで、個別プログラムをできるだけ開発しなくても済む環境を提供していく。

「3点目のDBについても、これまで広く利用されてきたリレーショナル・データベース(RDBMS)の代替を提供したい。データの正規化やテーブル設計に多くの工数を要するRDBMSでは、新たな価値創出を素早く行うことは困難です。新しい技術も活用し、音声、画像、テキストなどの非構造化データも含めた多様なデータを、迅速に価値へと変えていける環境を目指します」(三宅氏)

既に具体的な成果も表れ始めている。例えばある企業では、社内の情報系データ統合をNTTデータと共同で実施。その結果、従来の開発手法と比較して、開発期間を1/3 〜1/4に短縮することに成功した。また、クレジットカード会社を対象とした別の事例では、加盟店Webサイトの内容審査などをITで自動化する仕組みを構築。従来は人手で行っていたチェック作業が不要になることで、業務の大幅なスピードアップを実現している。

「こうしたマシン・エグゼキュータブル、つまり機械自身が自動的にデータ活用を行うような環境を実現していくことが、これからの当社に課せられた使命だと考えています」と語る三宅氏。さらに、その先に見据えているのは、今後の社会変革への貢献だ。

「我々の直接のお客様は金融関連企業ですが、その向こう側には製造、流通、小売、医療など、様々な分野の企業・団体が存在します。そうした方々への貢献を果たしていくことが、金融業界自体の価値向上にもつながっていくはず。当社としても、しっかりとそのお手伝いをしていきたい」と三宅氏は力強く語った。


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