「目的なきテレワーク」は失敗する 経営者が知るべき、働き方改革の勘所 働き方改革の中核的取り組みである「テレワーク」。しかし、着手したものの、なかなか成果が上がらないといった声を多く耳にするのも事実だ。その原因は何か。また、解決に向けて経営者はどんなことを考えるべきなのか。戦略的テレワークによる組織改革の研究などで知られる東京工業大学の比嘉 邦彦教授に、成果を上げるテレワークのポイントを聞いた。

導入する目的をしっかり見定めることが大切

東京工業大学大学院 環境・社会理工学院 比嘉 邦彦 教授 米国アリゾナ大学を修了後、1988年に経営情報システム専攻でPh.D.を修得。1989年からは、テレワークをテーマとした情報システムのあり方、組織改革、地域活性化などについての研究に従事し、企業への提言などを行っている。

――テレワークを導入している企業からは、テレワークを進めているが「なかなか効果が出ない」、あるいは「取り組みの途中で頓挫してしまった」といった声も多く聞かれます。その原因はどこにあるのでしょうか。

比嘉教授 私は、日本テレワーク協会が毎年、優れた取り組みを行った企業に授与する「テレワーク推進賞」の審査委員長を含め複数の審査員を務めており、直近の2年間だけでも200件以上にのぼる企業の事例を見てきました。そうしたなか、懸念しているのが、まるで“金太郎飴”のように、どの企業の取り組み内容もほぼ同じだということです。

 なぜこうしたことが起こるのか。大きな原因は、経営者の目的意識の希薄さにあると考えています。「はやりだから」「他社に乗り遅れるわけにはいかないから」といった思いが先行しており、一般的によしとされる手法を、うわべだけ取り入れてしまっている。これでは、結果が得られないのは明白です。大事なのは、まず経営者が、テレワークで実現したいことを明確にイメージすることです。

――その内容によって、必要な取り組みの手法は変わってくるということですね。

比嘉教授 その通りです。目的には、例えば「業務生産性の向上」や「コスト削減」、「ワークライフバランス改善」といったものがあるでしょう。ここで注意すべきは、前者2つが経営側の視座に立ったものであるのに対し、後者は働く側にフォーカスしたものだという点です。となれば当然、両者の間では制度や仕組みの設計アプローチが大きく異なるほか、効果計測のあり方も変わります。

 生産性向上やコスト削減を目指すなら、ワークライフバランスには言及しない。逆にワークライフバランスを目指すのであれば、決して生産性やコスト削減の観点を併せ持つことはしない。このように、目的を明確化して絞り込むことが、テレワークの成果を引き出すためには必要です。

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実践に当たっては、可能な限り制約を設けない

――実際のテレワーク導入に当たっては、どんなアプローチで取り組めばよいのでしょうか。

比嘉教授 例えば、先ほどお伝えした、「コスト削減」を目的にする場合、まずは社内のどこに削減できるコストがあるのかを可視化する必要があります。現場のヒアリングなどを行い、課題を浮き彫りにする。これにより、「社員の通勤交通費の圧縮」「終日外回りしている社員のデスクスペース削減」といった、より詳細な目的が見えるようになります。そうして初めて、適したテレワークの制度や環境、具体的な成果目標などの検討に入るべきなのです。

 また、取り組みを進める際には、目的に関係なく押さえるべきポイントもあります。それは、テレワーク実施に当たっての制約を、なるべく少なくし大きな範囲でやるということです。

 例えば、ある部門内の、数名の担当者限定で、デスクスペースを削減しても、それほど大きな効果は期待できません。コスト削減の効果が小さい上、中途半端な空きスペースができた程度では、ほかの目的に転用することも難しいからです。効果が出なければ、社内からの働き方改革への期待も薄れてしまう。結果として、取り組みは尻すぼみになりがちです。

 つまり「目的を定めたら、なるべく制約は少なく、なるべく大規模に実施する」――。これが、私が推奨するテレワークの導入方法です。

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「紙」と「固定電話」をICTツールで取り除く

――また、テレワークには様々なICTツールが欠かせません。ツール選定のポイントを教えてください。

比嘉教授 テレワーク実践の“ハードル”となるのが、「紙」による情報の運用と「固定電話」です。これらは人を特定の場所に縛り付けてしまうものとなるため、ICTによって、これらをなるべく使わなくて済むような方法を実現する必要があるでしょう。

 紙の電子化は言わずと知れたICTの強みです。現在はクラウド上のアプリケーションによって情報をスムーズに伝達したり、共有したりすることが簡単にできますから、社内の紙による情報共有に加え、これまで当たり前のように紙で運用してきた各種申請書や顧客との契約書なども、積極的に電子化することを企業は検討すべきです。

 最近はグループウエアを導入する企業も増えてきていますが、例えば「Office 365」「G Suite」といったビジネス用ツールを活用することで、会議資料のデジタル化を実現することもできます。議事録を同時編集し、その場で共有することもできるので、情報の運用を大幅に効率化することができます。

 もう1つの固定電話についても、現在は各社員が所持するスマートフォンを会社の内線電話として利用できるようなサービスが登場しています。例えば、NTTドコモの「オフィスリンク+」が該当します。これにより、社員はどこで仕事をしていても、オフィスと同様の音声通話によるコミュニケーションが図れます。

 また、紙も固定電話も、業務の根幹を支えてきたツールである以上、それを代替するツールの選定においては「信頼性」を重視すべきです。市場で十分な実績があり、安定性やセキュリティーの面で安心できるソリューションやベンダーを選ぶことが必須だと思います。

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成功すれば、継続的に投資回収効果が得られる

――ただ、ICTツールの導入にはコストがかかります。経営者はテレワークへの投資をどのように位置づけて考えるべきでしょうか。

比嘉教授 確かに、中堅・中小企業の多くは予算に限りがあるため、どうしてもテレワークを導入する際にコストをまず気にしてしまいがちです。もちろん、それは大事なことですが、得られる成果を最大化するには、ある程度の初期投資も必要です。

 こう考えてみましょう。テレワークの成果は、導入初年度だけに得られるものではありません。仮に初期投資に3億円かけても、年に5000万円のコスト削減効果が得られる仕組みが実現できれば、6年で回収のめどが立ちます。運用がこなれてくれば、削減効果は年々増大する可能性もあります。つまり、適正に運用すれば、遠からず確実に投資を回収することが可能であるというわけです。

 繰り返しになりますが、こうした投資回収が可能なのは、あくまで最初に正しく目的を設定し、それに沿った仕組みが導入できた場合です。効果計測も逐次行い、改善策を講じてPDCAを回していく。大企業、中堅・中小企業を問わず、そうしたやり方こそが王道であり、最善のアプローチだといえます。

 我が国が直面する少子化、労働力人口の減少といった問題を背景に、テレワークの重要性は今後ますます高まっていくでしょう。また、人材市場が売り手優位になっていくなか、テレワークができない会社は、働き手に選ばれなくなる可能性もあります。その意味で、テレワークは、企業の存続を左右する取り組みとさえいえるのかもしれません。

東京工業大学大学院 環境・社会理工学院 比嘉 邦彦 教授
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効果的なテレワークを支えるソリューション群を用意――「オフィスリンク+」「Office 365」「G Suite」

 NTTドコモは、効果的なテレワークの実践を支える各種ソリューションを提供している。

 「オフィスリンク+」は、クラウド電話帳を搭載した高機能FMCサービス。社員のスマートフォンに内線電話機能を持たせることで、省コストかつ利便性の高い社外における音声通話環境を実現する。また電話帳をポータルとして、ワンタッチ操作でメールや電話など、ニーズに応じた最適な連絡手段を使い分けることも可能。勤務終了後は内線着信をオフにし、かかってきた電話を会社の番号に転送するといった柔軟な運用も実現できるようになっている。比嘉教授の言うテレワークのハードルとなっている固定電話に対する最適なサービスといえる。

 また同社では、マイクロソフト/Googleがそれぞれ提供するクラウド型グループウエア「Office 365」「G Suite」も提供可能。音声通話とこれを組み合わせることで、いつでも、どこでも、PCやタブレット、スマートフォンなど多様なデバイスを使って、業務上のコミュニケーションや情報共有を円滑に行える仕組みを構築することができる。これにより、比嘉教授の言う制約である、人を特定の場所に縛り付けるということに対し、「どこでも同じ環境で仕事ができる」という環境を構築できる。これらのツールを使うことで、企業は社員のポテンシャルを引き出すテレワーク環境を実現できるだろう。

「Office 365」は、Microsoft Corporationの商標または登録商標です。
「G Suite」は、Google Inc.の商標または登録商標です。

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株式会社 NTTドコモ
ドコモと実現する「働き方改革」https://www.nttdocomo.co.jp/biz/