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日経ビジネスONLINE SPECIAL
本当の「働き方改革」が新しいビジネスを生み出す
積水ハウス株式会社 代表取締役社長兼COO 阿部 俊則氏
1975年入社。東北営業本部長、首都圏本部長などを歴任。2008年、現職に就任

積水ハウスが、第4次中期経営計画「BEYOND 2020に向けた“住”関連ビジネスの基盤づくり」をスタートさせて1年。足元の収益を確保しながら、持続的に成長可能な企業となるための体制作りを急いでいる。少子高齢化で住宅市場の縮小が懸念される中、どのような戦略を取るのか。目標達成のために必要なものは何か。積水ハウスが目指す“企業像”を、阿部俊則社長兼COOに聞いた。

聞き手:日経ビジネス発行人 高柳正盛

本当の「働き方改革」が新しいビジネスを生み出す

積水ハウスが、第4時中期経営計画「BEYOND 2020に向けた“住”関連ビジネスの基盤づくり」をスタートさせて1年。足元の収益を確保しながら、持続的に成長可能な企業となるための体制作りを急いでいる。少子高齢化で住宅市場の縮小が懸念される中、どのような戦略を取るのか。目標達成のために必要なものは何か。積水ハウスが目指す“企業像”を、阿部俊則社長兼COOに聞いた。

聞き手:日経ビジネス発行人 高柳正盛

2020年を最終年度とする第4次中期経営計画がスタートして1年が経ちました。

2020年を最終年度とする第4次中期経営計画がスタートして1年が経ちました。

第4次中計の目的は大きく2つあります。1つは、2020年までの収益を確保すること。そして、もう1つは2020年以降も持続的に成長できる企業となるための基盤を作ることです。1年目、まずまずのスタートが切れたのではないでしょうか。2017年、景気情勢は良かったと思いますが、週末に多くの台風が来襲するなど、必ずしも住宅メーカーにとって経営環境に恵まれていたわけではなかった。それでも、これまで時間をかけて育ててきた賃貸住宅や高齢者住宅、保育園、ホテルなど、「住」に関連するビジネスが新たな売り上げと利益を生み出し、戸建のマイナス分をカバーできました。

積水ハウスといえば、戸建のイメージが強い。

積水ハウスといえば、戸建のイメージが強い。

確かに、戸建は今でもビジネスの中核ではあります。しかし、それだけではサステナブルに成長できない。ここ数年で、住宅市場を取り巻く環境は激変しています。急激に進む少子高齢化、訪日外国人の増加、良質なホテルの不足など、住関連ビジネスに新しいニーズが発生してきた。だから今回の中計では「住に特化した成長戦略の展開から事業創出へ」をテーマとして掲げているのです。既に、工期短縮と店舗利用のしやすさが特徴である3・4階建て住宅が賃貸住宅の65%を占めるまでに成長しているし、リフォームや不動産活用を提案する事業も成果を上げています。

戸建も同じです。COP23でも注目を集めたゼロ・エネルギー住宅の取り組みをはじめ、新年からバーチャルリアリティ技術を駆使した営業手法も全国で開始するなど、イノベーションを拡げています。従来の発想で住宅を提供するだけでは満足してもらえません。より価値の高い住宅を提供しなければ、生き残ることはできないと考えています。

独自開発の「フレキシブルβシステム」構法により、都会の狭小地にも大開口や大空間を備えた3・4階建てを実現。

独自開発の「フレキシブルβシステム」構法により、都会の狭小地にも大開口や大空間を備えた3・4階建てを実現。縦横に柔軟に広がる空間を最新のVR技術で体感いただく取り組みも強化

人材育成こそが持続的成長の鍵

新しい価値を提供するためには、顧客の要望をきめ細かく聞き、それに応えた提案をすることのできる人材が必要になりますね。

新しい価値を提供するためには、顧客の要望をきめ細かく聞き、それに応えた提案をすることのできる人材が必要になりますね。

そうです。何より大切なのは優秀な人材です。今、「働き方改革」が話題になっていますよね。実は、顧客のニーズに応えることは、働き方改革の実現そのものなのです。働き方改革こそが、新しいビジネスを生み出すとも言えます。

真の働き方改革は、単に早く帰ることではないでしょう。時短は大切ですが、何より重要なのは仕事が楽しいと思えることであるはずです。積水ハウスの働き方改革を一言で言えば「わくわく ドキドキ 心躍る職場づくり」。自分の企画や提案がお客様に喜んでいただけて、それが会社で正当に評価される。これほどうれしいことはないし、生活の充実にもつながるでしょう。そのための環境づくりをするのがトップの仕事だと思っています。

付加価値の高い仕事をするのは楽しいことですが、単純に既存の仕事に上乗せされ、挙句の果てに「早く帰れ」と言われるのでは、従業員はたまったものではないですね。

付加価値の高い仕事をするのは楽しいことですが、単純に既存の仕事に上乗せされ、挙句の果てに「早く帰れ」と言われるのでは、従業員はたまったものではないですね。

はい。だから、リーダーがビジネスの取捨選択をして、価値の高い事業に社員の力を集中させる必要があります。例えば、積水ハウスの戸建事業では、中高級路線をブレずに進みます。価格競争に走るのではなく、本当に価値のある住宅を顧客にしっかり売っていく事業スタイルを定着させたのです。既存事業を新たな事業に転換させるのは、とても勇気のいることです。しかし、それができなければリーダーではないし、真の働き方改革を実現させることはできません。

ビジネスの取捨選択をしたら、あとは部下に対して目標を明確に示し、コミュニケーションをしっかりと取ってマネジメントしていく。これしか会社を活性する方法はないでしょう。きちんと話をすれば、部下も粘り強く仕事ができるようになります。最近は、「やり抜く力」を持った社員が増えたと感じています。

とはいえ、積水ハウスの現状に満足はしていません。活躍する女性社員は増えましたが、まだ十分ではないし、定着率も、もっと上げられるはずです。

鍵を握るのはレベルの高い管理職をいかにそろえられるかなのですが、これは容易なことではありません。それでもトップは覚悟を決め、時間をかけて優れた現場リーダーを育てなければならない。海外の事業展開でも、これは同じです。今後、人口が急増するグローバル市場を狙ってビジネスを展開していきますが、やはり鍵を握るのは現地のリーダーなのです。積水ハウスが提供する価値をきちんと顧客に伝えられる人材を、世界中で育て、2020年以降も成長し続けられる企業にするつもりです。

インタビューを終えて

阿部さんが社長に就任して10年が経ちました。在任期間の長いトップは得てして自信過剰になりがちですが、阿部さんの口からは派手な話はほとんど出ません。「もう少し、がーんと儲けると言ったらどうですか?」と仕向けるのですが、発言はいたってシンプル。先行きの見通せない時代だからこそ、阿部さんのような地に足の着いた経営が求められるのかもしれません。

積水ハウス
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