住友林業 理事 筑波研究所長 中嶋一郎氏

住友林業の研究開発機関である筑波研究所の所長として、既存の概念にとらわれることなく研究に挑む。W350計画の技術開発を担っている。

木を活かすことで環境に配慮した街を実現

都心に生まれる森のようなビル。木を活かすことで豊かな社会の実現へ
都心に生まれる森のようなビル。木を活かすことで豊かな社会の実現へ

「都心に高さ350mの木造のビルができるというのは、東京の真ん中にちょっとした里山が出現するということです。人間にとって快適な環境が生まれ、ビルそのものが生きものがすむ森になるでしょう」と住友林業筑波研究所長の中嶋一郎氏は語る。

木材比率9割の木鋼ハイブリッド構造による70階建ての木造建築物には、18万5000m³の木材が使用され、10万トン強のCO₂を固定できる。木は再生可能な資源であり、建築物の木造化が進むことで木材の使用量が増えれば、山林の循環とCO₂の吸収・固定が進むことにもなる。つまり、地球環境にとっても大きなプラスになるわけだ。

構想はまだ緒に就いたばかりだが、「資源」「材料」「建築」という木に関する研究開発のリソースを全て社内で持つ強みを活かして、建築構法や環境配慮技術、使用部材となる樹木の創出など新たな技術開発への取り組みを加速。木造建築物の可能性を広げていく。

建物内部は純木造で、外周部をらせん状に巡るバルコニーがメンテナンス空間も兼ねる構造になるという
建物内部は純木造で、外周部をらせん状に巡るバルコニーがメンテナンス空間も兼ねる構造になるという

「地震国日本には火災に関する厳しい法規制があります。今回の計画では我が国屈指の設計会社である日建設計の協力を得て、構造耐力上や環境上の課題をシミュレーションして、目指すべき建物の技術モデルを考えました。その結果、木造の高層建築物実現のためにクリアすべき課題が明らかになったことが大きな収穫です」(中嶋氏)

木を活かすことで豊かな社会の実現に貢献する

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今後の研究開発技術のロードマップでは、14階建てクラスの木造ビルの実現を目指すが、同社では国の支援や多方面からの協力を得ながら、連携して構想を推し進めていくという。

「この取り組みで得られる様々な技術は建築以外の用途にも使えます。高層建築物で使用した木材は住宅用建材として再利用し、さらに様々な木質建材として使用し、最後はバイオマス発電の燃料にするというカスケード利用が可能です。『木を活かすことで豊かな社会の実現に貢献する』という弊社の使命を形にする意味でも、グループの総力を結集して進めていきたいですね」(中嶋氏)

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