ソフトバンク AI/RPAのビジネス活用は「現場」が主役 新しいワークプレイス実現の方法論とは

社内業務改革にAI/RPAを活用 300件以上のプロジェクトが進行中

ソフトバンク株式会社 法人事業統括 法人事業戦略本部 副本部長 吉田 剛氏
ソフトバンク株式会社 法人事業統括 法人事業戦略本部 副本部長 吉田 剛氏

急速に進むデジタル化の波。しかし、その推進役を担うべきIT人材は慢性的な不足状態にある。経済産業省が2016年に発表した調査結果によると、2017年のIT人材不足数は39万5000人だ。こうした深刻なIT人材不足のなかで、ソフトバンクは自社の非IT人材を活用し、業務の自動化と人材育成の両面から継続的な改革を推進している。「目指すのは、全社員が最先端テクノロジーの推進者となることです」と同社の吉田 剛氏は述べる。

その一環として取り組むのが、AIやRPAなどを活用した業務改革である。既に40件のAIプロジェクト、300件のRPAプロジェクトが稼働。様々な業務領域に適用を進め、社員自らITを駆使してスキルアップを図り、自身のキャリアアップにつなげていくと同時に、自社人材による業務のデジタル化/自動化を進めている。

その経験から、AIおよびRPAの導入検討ポイントが見えてきたという。「最も大切なことは、最適な使い分けを図ることです。人の判断を支援する部分はAI、人が操作・作業する部分はRPAが担う。2つをうまく組み合わせることで、さらなる自動化も可能になります。ただし、間違ったときは人の判断を仰いだり、その後の動きやルールを事前設計したりするなど、すべてを無理に自動化しないことも重要なポイントです」と吉田氏は主張する(図1)。


図1 AI/RPAの導入検討ポイント

図1 AI/RPAの導入検討ポイント

業務処理の中で人が判断する部分はAIに学習させる。人が手動で行う操作・作業はRPAで自動化する。この組み合わせを最適化することで、業務の自動化領域が広がっていく

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また、AIやRPAはITツールだが、活用を推進する人材はITに精通している人が適しているとは限らない。「求められるのは、業務に精通していることです。これを生かして現場とコラボレーションし、アイデアを形にしていく力が大切です」と吉田氏は続ける。

現場主導のAI/RPA活用により、人材の育成とスキルの蓄積が進む。自社開発による対応領域の広がりに加え、ベンダー任せによる外部委託費の削減にもつながる。


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財務経理業務で年7130時間を削減 OCR-AIとRPAで入力作業の自動化も

それでは、同社は自社プロジェクトにおいて、どのように現場主導のAI/RPA活用を進めたのか。

例えば、財務経理の業務改革プロジェクトでは、若手を中心に人材をアサインし、IT推進室を本部内に設置。基本操作や安定化のコツを解説する3時間の少人数型(最大5名)講義研修と、約1カ月の実技研修によるカリキュラムを組み、17名のRPA製作者を育成した。

これにより、債権管理情報の抽出・集計、加工、結合、報告書作成など決算および資金管理にかかわる173案件の業務プロセスを自動化。「手動で対応していた場合に比べ、年間7130時間の業務時間を削減できました」と同社の上永吉 聡志氏は述べる。

このプロジェクトの成功ポイントは「処理数や頻度の少ない業務」まで効率化したことだという。処理数や頻度の多い業務は、自動化により大きな成果が見込めるためシステム改革の対象になりやすいが、処理数や頻度の少ない業務は俎上に上がりにくい。「ここにRPAを適用するのが効果的。一つひとつの粒は小さくても、数が多くなれば、効果は相乗的に高まっていきます」(上永吉氏)。

図2 カスマターサポート業務の削減効果

図2 カスマターサポート業務の削減効果

紙文書のスキャンによる情報のテキスト化とデータアップロード、テキスト化された読み取り結果の比較確認・修正、ファイルの統合/加工、データベースへのインポートまで、業務プロセスのすべてをOCR-AIとRPAで自動化した。人の作業は最終確認のみで済む

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また、カスタマーサポート部門では、画像認識AIを実装したOCR(OCR-AI)とRPAを組み合わせた入力業務の自動化を実験中だ。サービス申し込みなど紙ベースの書類の識字と入力作業をOCR-AIとRPAが自動実行する(図2)。手書き文字をテキストデータ化し、顧客管理システムにデータを自動反映することが可能となった。

導入の際は帳票ごとに読み取り対象領域の設定が必要になるが、現場社員が簡単な操作で設定できる。トランザクションの少ない業務でも、気軽な活用が可能だ。

「現場に負担を強いることなく、手動業務を自動化できることがスムーズな運用定着につながりました。この業務プロセスにおける人の作業は最終確認だけとなり、工数・時間の大幅削減につながると期待しています」と上永吉氏は語る。

 

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自社の経験とノウハウを強みに顧客のビジネス変革に貢献する

ソフトバンク株式会社 法人事業統括 プロセスマネジメント本部 副本部長 兼 RPA推進責任者 上永吉 聡志氏
ソフトバンク株式会社 法人事業統括 プロセスマネジメント本部 副本部長 兼 RPA推進責任者 上永吉 聡志氏

同社は多くの自社プロジェクトで培ったノウハウをソリューション化。顧客のビジネス改革も幅広く支援している。

AIと人型ロボット「Pepper」を活用し、店舗接客業務の効率化・高度化を支援しているのはその一例だ。店員の代わりにPepperが呼び込みや店舗案内を行う。AIを組み合わせることで、Pepperの学習作業が飛躍的に効率化された。

例えば、店舗スタッフがPepperに、接客の中でわからなかった言葉を聞く。するとPepperは記録した会話の内容から、案内できなかったキーワードを答える。店舗スタッフがその商品ジャンルや売り場を教えると、Pepperは意味を理解し、顧客の問い合わせに対して次回から適切に案内を行う。

注目したいのは、店舗スタッフとPepperとの会話のみで学習データの更新が完了することだ。「専門知識は一切必要ない。 会話で楽しくPepperを育てることができるのです」(上永吉氏)。今後は接客した顧客の様々なデータを分析し、マーケティング活動や接客応対力の強化を図るという。

このケース以外にも、同社は自社プロジェクトの運用で実績を積んだソリューションを様々な形で展開し、企業や組織を支援。さらに各種のトレーニングやeラーニングを含むRPA製作者の育成サービスなどを提供し、AI/RPAの導入と活用をトータルにサポートしているという。「今後も人とAI/RPAが共存するワークスタイル/ワークプレイスの実現を支援していきます」と吉田氏は訴えた。


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